“血液のがん”と聞くと、みなさん、どのようなイメージをもたれるでしょうか? 白血病やリンパ腫など“まれ”ながんばかりで、「ほとんど知らない」「化学療法に不安を感じる」「好中球減少症や血小板減少症などの看護に慣れていない」「患者さんに質問されても答えられない」…などと苦手意識をもつ人がほとんどだと思います(むしろ、得意だという人なんてめずらしい!)。 そのような方にむけて、このたびWEB講義『よくわかる!血液のがん』をリリースいたします。講師の諫田淳也 先生(京都大学大学院医学研究科 血液・腫瘍内科学 助教)にお話をお伺いいたしました。

――「血液のがん」のテーマは“メディカのセミナー”では諫田先生が初めてになります。WEB講義「よくわかる!血液のがん」ですが、看護師向けのレクチャーということで、工夫・配慮されたことを教えてください。

「血液のがん」はよくわからない、白血球や血小板が低いのは怖い、といった漠然とした意見をよく聞きます。実際、頻度が低い病気ですので、慣れないという点においては、仕方がない面はあるのですが、もう少し「血液のがん」のことを知ってくれていたらそこまで遠ざけなくてよいのになぁ、と思います。

そんな「血液のがん」に苦手意識をもっている看護師さんに、少しでも基本からわかりやすく理解いただけるよう、そして患者さんの看護に活かすことができるように、配慮いたしました。

――「血液のがん」は、まず、疾患が多種多様です。そして、抗がん剤の種類も豊富で、移植も含めると、治療法もたくさんあります。病態、治療のこと、患者ケアも含め学ぶことは膨大です。わたしたちは、どこから学ぶのがよいでしょうか?

どの患者さんに関しても共通である、「“血液のがん”患者のアセスメントに必要な知識」と「“血液のがん”患者に特有の病棟での管理とケア」を見て勉強していただくのがよいかもしれません。

そのうえで、自分がケアしたことのある、あるいは印象に残っている、「血液のがん」の項目を見て勉強するのがよいのではないでしょうか? 患者さんをイメージしながら勉強すると、よりわかりやすいと思います。

――イントロで「血液のがん」は「進行期でも生存曲線がプラトーに達する(根治が期待できる)」なので、「われわれ(医療者側)もがんばって治療していこうといつも思っているのです」と話されていました。これ以外で、日常診療で心がけていることを教えてください。

「血液のがん」、特に白血病は、ひと昔前は不治の病とされていましたので、病名を告知された患者さんの精神的なショックは計り知れません。また、一部の「血液のがん」は非常に急速に進行しますので、心の準備が整う前に入院、そして抗がん剤治療が開始されます。

もちろん発症した事実を変えることはできないのですが、治って元気にされている患者さんもたくさんいらっしゃいますし、治療の進歩が速い領域でもありますので、そういった意味で期待がもてる病気でもあります。

精神的に厳しい状況において、少しでも患者さんの心の支えになれるように心がけています。

――諫田先生は造血幹細胞移植がご専門と伺いました。今後の移植治療について、看護師に知っておいて欲しいことがございましたらお願いします。

造血幹細胞移植は合併症が比較的多い大がかりな治療ではあるのですが、移植技術や支持療法の進歩により、より有効に、そしてより安全に実施できるようになり、白血病など「血液のがん」の治療成績は移植医療により各段に改善しています。

さらには、ご家族、骨髄バンク、臍帯血バンクを探すことにより、ほぼすべての患者さんにドナーが見つかるようになってきており、また年齢の上限は65歳から70歳ぐらいまでに上がっています。その中で、適切な時期に(遅れずに)移植治療を受けることがとても重要となります。

移植という治療の選択肢は患者さんも悩むところではあると思いますし、施設によっては転院が必要になることもあり大変ではありますが、そういった移植医療がもたらすよい面も知っていただけたらと思います。

――最後に受講者へメッセージをお願いします!

ぜひ、一人でも多くの看護師さんに、「血液のがん」に苦手意識がなくなってほしいと思います! この動画が少しでもそのお役に立てましたら幸いです。

諫田淳也
京都大学大学院医学研究科血液・腫瘍内科学助教






『よくわかる!血液のがん』
代表的な疾患を一つひとつわかりやすく説明します!

▼プログラム
1)“血液のがん”患者のアセスメントに必要な知識
2)急性白血病 ~異常な白血球が無限に増えて、正常な血液細胞が作れない!
3)骨髄異形成症候群 ~「骨髄」の造血管細胞が「異形成」を呈し、正常な血液細胞が作れない!
4)多発性骨髄腫 ~形質細胞の腫瘍が、骨を溶かし、多発骨折・高カルシウム血症などを引き起こす!
5)悪性リンパ腫 ~リンパ節がどんどん腫れてくる!
6)“血液のがん”患者に特有の病棟での管理とケア


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