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医療現場で当たり前に使っているカタカナやアルファベットの業界用語、「多分英語だからそのままでも外国人患者さんに通じるかも!」と思っていませんか?
じつは、医療現場は通じないカタカナ英語や英語以外の外来語、おかしな造語が飛び交っています。
そんな業界用語に注目し、外国人患者さんに通じる正しい英語の発音やそのポイント、現場で困ったときに使えるフレーズを紹介します。

本日のカタカナ英語:ヘモ

「ヘモの軟膏処方してください」
看護師さんなら「ヘモ=痔」という意味で使ったことや聞いたことがあるのではないでしょうか。
痔の注入軟膏の商品名にも「ヘモ」は使われています。

「ヘモ」はカタカナだし、そのままでも通じる英語なのでは、とみなさんは思っていませんか?

「ヘモ」は、英語で「痔」を意味する「Hemorrhoid(ヘモロイド)」の「Hemo」をローマ字読みした略語です。
英語圏で、「痔」を「Hemo」と略して使うことはありません。

「hem(o)-」は「血」を意味する言葉です。
医学用語にもhematology(血液学)、hematuria(血尿)、hemoglobin(ヘモグロビン)など頻繁に出てきます。
「-rrhoid」は、「突出」や「出っぱり」を意味する「protrusion」の接尾語です。
「hemorrhoid」の意味がわからなくても、接頭語や接尾語の意味を知っていると、血管が膨らんで出っぱった状態を表現していることがわかります。

英語圏の患者さんは、医学用語の「Hemorrhoid」よりも「piles」を使うのが一般的です。
日本語でいうところの「Hemorrhoid」が「痔核」、「piles」が「痔」という感じでしょうか。
「piles」は、最初の「パ」にアクセントを置いて「パイルズ(pάɪlz)」が英語に近い発音です。

さて、3人に1人が痔で悩んでいるといわれる日本。
日本人にとって痔は、非常に身近な病気ですよね。
では、肉食の多いアメリカ人はどうでしょうか?

実は、アメリカ人の20人に1人が痔という数字が出ています。
日本の痔主率が圧倒的に多いことに驚きますよね。
その理由として考えられるのが、羞恥心です。
「おしりが痛いけど恥ずかしい」という理由から受診が遅れて重症化するケースが、他国と比べて多い傾向にあるようです。
痔も生活習慣病の1つですから、早期発見・早期治療が大切ですね。

Bleeding from the anus is one of the most common symptoms of piles.
(肛門からの出血は、痔によくある症状の1つです)





30歳を過ぎてからアメリカで看護師をめざした私は、偉人たちの言葉や名言に何度も背中を押してもらい、一歩ずつ前に進む勇気をもらいました。
人はみな、多かれ少なかれ何かに悩んでいます。
そんなときに立ち止まってほしい言葉を紹介します。


日本人は、「謙虚」なことが美しく品があると考えますよね。
一方、アメリカ人は、しっかり自己主張する力を育てようとします。
しかし、決して「謙虚さ」を評価していないわけではありません。
それが、今日の言葉です。

アメリカのクリニックで働いていたとき、この「Humble(謙虚さ)」がなく解雇された同僚がいました。
彼女は、効率よく仕事をこなすのですが、態度が著しく横柄でした。
過剰な自信家で仕事上のトラブルも多く、批判を受けると翌日は体調不良で欠勤を繰り返すことがルーティン化していました。ある日、見かねて注意をした院長の妻とケンカになり、即日解雇が下りました。
まさに「身から出た錆」と言えますが、仕事の速さだけでは人材を選ばない職場の対応にちょっと見直すところもありました。

謙虚と自信は、相反する言葉のように感じますが、このバランスが人間関係や仕事をうまくこなすコツのように感じます。
今日の言葉のように、謙虚さを忘れず控え目にふるまい、自分の強さや自信は内に秘めるひとは、とても魅力的です。

「我が強い」ではなく、「控え目だけど芯が強い」女性に少しでも近づこう!
これが、2022年の秘かな私の目標です。

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佐藤まりこ
生まれも育ちも北海道。しかし、寒いのが苦手で大学卒業とともに上京し大学病院に勤務。さらなる暖かさを求めて2009年、米国・ロサンゼルスに留学。2010年、California RN(Registered Nurse) Licenseを取得するが就職先が見つからず無念の帰国。2012年、駐在妻として米国・オレンジカウンティーにカムバック。2013年、Refresher/Reenter-Update Education Programで総合病院の急性期病棟実習を修了。その後、念願のRNとして内視鏡センターに勤務し充実した日々を送るが、2016年、夫が日本に帰りたいと言い出しふたたび無念の帰国。帰国後は、子育てに奮闘しながらも幸せな田舎暮らしを謳歌し大学病院に勤務中。
幸せな時間は、「川の字で寝る休日のお昼寝」。