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医療現場で当たり前に使っているカタカナやアルファベットの業界用語、「多分英語だからそのままでも外国人患者さんに通じるかも!」と思っていませんか?
じつは、医療現場は通じないカタカナ英語や英語以外の外来語、おかしな造語が飛び交っています。
そんな業界用語に注目し、外国人患者さんに通じる正しい英語の発音やそのポイント、現場で困ったときに使えるフレーズを紹介します。


本日のカタカナ英語:エント

「201号室の患者さん何時にエント?」
「302号室の患者さんは明日エント予定です」
看護師さんなら「エント=退院」という意味で使ったことや聞いたことがあるのではないでしょうか。
医師や看護師の記録にも退院を意味する「ENT」はよく使われます。
アルファベットを使っているし「ENT」はそのままでも通じる英語なのでは、とみなさん思っていませんか?

「エント」は、ドイツ語の「Entlassen(エントラッセン)」が由来です。
英語で「退院」は「discharge」です。
「チャ-」にアクセントを置いて「ディスチャージ(dɪstʃάɚdʒ)」が英語に近い発音です。
もうすこし簡単に「going home」や「get out of hospital」に置き換えてもいいでしょう。

ちなみに、英語圏の医療現場で「ENT」の略語はよく使われていますが、意味はまったく異なります。
英語圏の「ENT」は、「Ear, Nose, and Throat」の頭文字をとって「耳鼻咽喉科」を意味しますよ。

さて、「退院」で注意したいのが、海外と日本の会計事情です。
日本では、退院日に会計を済ませていただくのが一般的ですが、海外では後日請求書が自宅に郵送されるシステムがほとんどです。
しかも、請求書は信じられないほどあちこちから送られてきます。
私が勤めていた日帰りの内視鏡センターでは、病院・主治医・麻酔科医・病理の4カ所から請求書が届くことを患者さんに説明していました。
みなさん、後日届く請求書のトラブルは、想像に難くないでしょう。
私自身もびっくりする請求額に呆然としたことがあります。
患者さんそれぞれ保険会社が異なるので、事前に請求額を算出することは意外と難しくトラブルに発展することは少なくないのです。
1つにまとまった明朗会計の日本の医療システムは、本当に素晴らしいんだということに気づかされました。
外国人患者さんの退院を担当された際には、会計を済ませてから帰宅するよう声掛けを忘れないようにしましょう。

You are able to go home within about 1 week after your surgery.
(術後一週間程度で家に帰れるでしょう)

「go home」は「get out of hospital」に置き換えてもいいでしょう

「discharge」を使う場合は「you can be discharged」のほうが自然です

Please stop by the counter to pay your bill on the day of discharge.
(退院日に清算のため会計窓口にお立ち寄りください)

もし会計窓口の番号がわかっていたら「No.5 counter」などと伝えるともっと親切ですね。




30歳を過ぎてからアメリカで看護師をめざした私は、偉人たちの言葉や名言に何度も背中を押してもらい、一歩ずつ前に進む勇気をもらいました。
人はみな、多かれ少なかれ何かに悩んでいます。
そんなときに立ち止まってほしい言葉を紹介します。


2005年スティーブ・ジョブズ(Steve Jobs)がスタンフォード大学の卒業式で行った伝説のスピーチに使われたフレーズです。
ここでいう点とは過去の出来事のこと。
苦難の時期に学んだことや人との出会いが後の人生に役立ったとき、すべての出来事のつながりや意味を理解した体験を表現しています。
私は、アメリカで看護師になる夢を志半ばで諦めて帰国するときに、この言葉に勇気づけられました。
30代前半の大事な時期を棒に振ってしまったと自暴自棄になりましたが、”諦めなければ必ずチャンスはまた訪れる”、”この帰国は自分にとって必要なんだ”と気持ちを切り替え自信を持つ原動力につながりました。
その1年半後、再度渡米し本当に看護師として働くことになるなど、その当時は思いもよらないのです。
ジョブズは言います、「将来を見据えて点と点を結びつけることはできない。後で振り返って見たときにしか、点と点を結びつけることができない」と。
つまり、点と点が必ず結びつくことを信じて、今は行動するしかないのです。
苦難の時期に直面し自信を失いかけているあなたへ
「Connecting the dots」

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佐藤まりこ
生まれも育ちも北海道。しかし、寒いのが苦手で大学卒業とともに上京し大学病院に勤務。さらなる暖かさを求めて2009年、米国・ロサンゼルスに留学。2010年、California RN(Registered Nurse) Licenseを取得するが就職先が見つからず無念の帰国。2012年、駐在妻として米国・オレンジカウンティーにカムバック。2013年、Refresher/Reenter-Update Education Programで総合病院の急性期病棟実習を修了。その後、念願のRNとして内視鏡センターに勤務し充実した日々を送るが、2016年、夫が日本に帰りたいと言い出しふたたび無念の帰国。帰国後は、子育てに奮闘しながらも幸せな田舎暮らしを謳歌し大学病院に勤務中。
幸せな時間は、「川の字で寝る休日のお昼寝」。