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医療現場で当たり前に使っているカタカナやアルファベットの業界用語、「多分英語だからそのままでも外国人患者さんに通じるかも！」と思っていませんか？
じつは、医療現場は通じないカタカナ英語や英語以外の外来語、おかしな造語が飛び交っています。
そんな業界用語に注目し、外国人患者さんに通じる正しい英語の発音やそのポイント、現場で困ったときに使えるフレーズを紹介します。
本日のカタカナ英語：ネクる/ネクロってる
「ネクロってる」
看護師さんなら「ネクる/ネクロってる＝壊死」という意味で使ったことや聞いたことがあるのではないでしょうか。
医療現場では、組織の一部が死に至ることを「壊死」、壊死した部分が黒色に変色したり泥状で悪臭を放つ状態を「壊疽」といいますが、「ネクる」はどちらにも使用します。
「ネク（る）」はカタカナだし、そのままでも通じる英語なのでは、とみなさんは思っていませんか？
「ネク（る）」は、英語で「壊死」を意味する「necrosis」を略語化したものです。
「necrosis」は、「死」を意味する古代ギリシア語に由来します。
通じる英語は、真ん中の「ロ」にアクセントを置いて「ネクロースィス」が英語に近い発音です。
病棟勤務でとくに印象に残っている医療事故があります。
ミトン抑制中の患者のミトンを外したとき、手指の一部が黒色壊死を起こしていました。
原因は、ミトン内部の糸がほつれて指に絡みつき血行障害を起こしたためでしたが、各勤務帯の確認事項である抑制箇所の観察が行われておらず、訴訟問題に発展したケースでした。
それから病棟では、抑制患者の確認事項テンプレートが作成され、勤務交代時に引き継がれるシステムが確立しました。医療安全対策は強化されたのですが、部屋持ちだった看護師や管理者はかなり責め立てられ疲弊していったのを覚えています。
医療者へのメンタルフォローが組織化されていたら、当時の同僚はどんなに救われただろうと悔やまれます。
今でもミトンを使用するときは、当時の状況が思い起こされます。
抑制箇所の観察は忘れずにお願いします。
•Necrotic wounds will become black.
（傷口が壊死して黒くなります）
30歳を過ぎてからアメリカで看護師をめざした私は、偉人たちの言葉や名言に何度も背中を押してもらい、一歩ずつ前に進む勇気をもらいました。
人はみな、多かれ少なかれ何かに悩んでいます。
そんなときに立ち止まってほしい言葉を紹介します。
アメリカでもっとも愛され、愛され続ける第16代アメリカ合衆国大統領エイブラハム・リンカーン（Abraham Lincoln）の言葉です。
前回は、彼の波乱万丈な半生のほんの一部を紹介しました。
今回は、それでもあきらめなかった彼の後半生を紹介しましょう。
小学校すらまともに通えなかった彼は、25歳で弁護士の勉強を独学で始め、その2年後、弁護士資格を取得します。弁護士として仕事をするかたわら政界にも進出し、イリノイ州下院議員を4期務めたあと、連邦下院議員にも選出されます。しかし、その道のりは失敗の連続で、下院に選出されるまで2度落選を経験しています。また、私生活では、強烈な性格の女性と結婚し、本人が「地獄行き」と友人に漏らしたほどです。4人の子どもをもうけますが、次々と急死し、長男だけが成人したといいます。その後、大統領に就任しアメリカを二分する南北戦争に至ります。
ざっくりした紹介ですが、独学で弁護士資格に挑むところから、“決めたら見切り発車で突き進む”感が出ていますよね。
失敗を繰り返し、どんな有様でもけっしてあきらめず、信じて突き進む彼の生き方は、多くの人を魅了し続けています。
落ち込んだとき、あきらめそうになったとき、エイブラハム・リンカーンの生涯は、きっとあなたの心に何かが灯るはずです。
ご興味がありましたら、ぜひ一度彼が残した言葉と人生に触れてみてくださいね。
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佐藤まりこ
生まれも育ちも北海道。しかし、寒いのが苦手で大学卒業とともに上京し大学病院に勤務。さらなる暖かさを求めて2009年、米国・ロサンゼルスに留学。2010年、California RN（Registered Nurse） Licenseを取得するが就職先が見つからず無念の帰国。2012年、駐在妻として米国・オレンジカウンティーにカムバック。2013年、Refresher／Reenter-Update Education Programで総合病院の急性期病棟実習を修了。その後、念願のRNとして内視鏡センターに勤務し充実した日々を送るが、2016年、夫が日本に帰りたいと言い出しふたたび無念の帰国。帰国後は、子育てに奮闘しながらも幸せな田舎暮らしを謳歌し大学病院に勤務中。
幸せな時間は、「川の字で寝る休日のお昼寝」。
