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医療現場で当たり前に使っているカタカナやアルファベットの業界用語、「多分英語だからそのままでも外国人患者さんに通じるかも!」と思っていませんか?
じつは、医療現場は通じないカタカナ英語や英語以外の外来語、おかしな造語が飛び交っています。
そんな業界用語に注目し、外国人患者さんに通じる正しい英語の発音やそのポイント、現場で困ったときに使えるフレーズを紹介します。
本日のカタカナ英語:デクビ
「おしりにデクビできてる」
看護師さんなら「デクビ=褥瘡」という意味で使ったことや聞いたことがあるのではないでしょうか。
褥瘡とは、持続的な圧迫や摩擦などで循環障害が生じ、組織は局所的壊死を起こした状態をいいます。
「デクビ」はカタカナだし、そのままでも通じる英語なのでは、とみなさんは思っていませんか?
「デクビ」は、ドイツ語の「dekubitus(デクビトス)」が由来です。
英語にも「decubitus」という医療用語がありますが、あまり使われることはありません。
英語圏では、「pressure ulcer」や「bed sore」がよく使われています。
「ulcer」は、最初の「ア」にアクセントおいて「アルサァ(ʌ́lsər)」が英語に近い発音です。
「sore」は、「R」の発音を意識して「ソァ(sɔr)」が英語に近い発音です。
日本の医療現場では、医療者間や記録には「褥瘡」、患者さんへの説明には「床ずれ」を使ったりしますよね。
英語圏でも、医療者間は「pressure ulcer」、患者さんへの説明には「bed sore」というわかりやすい言葉を選んで使います。
さて、みなさんは「褥」という言葉がなぜ使われているのか疑問に思ったことはありませんか?
医療用語以外であまり見たことがありませんよね。
「褥」は、「しとね」と読み、座ったり寝たりするときの敷物の古風な呼び方のようです。
なるほど、寝たきりのお布団でできてしまう創、と考えると違和感はないですね。
昔は、この「褥」という漢字を使った看護用語(例えば、「褥布」「就褥」「褥月」など)が多数使われていたようですが、15画もある難しい漢字ですから簡単な漢字に徐々に変換されていきました。
現在は、常用漢字にも載っていない難解な漢字です。
そろそろ「褥瘡」も、簡単な漢字に置き換える時期かもしれませんね。
•Changing a patient's position every 2 hours helps prevent bed sores.
(2時間おきの体位交換で床ずれを防ぎます)
30歳を過ぎてからアメリカで看護師をめざした私は、偉人たちの言葉や名言に何度も背中を押してもらい、一歩ずつ前に進む勇気をもらいました。
人はみな、多かれ少なかれ何かに悩んでいます。
そんなときに立ち止まってほしい言葉を紹介します。
T-shirtsやポスター、タトゥーのフレーズにもよく使われる「anonymous (読み人知らず)」の言葉です。
私がこの言葉に出会ったのはアメリカ留学中です。
この短く直球なメッセージが心に響き、忘れないようノートの端に何度も書いていました。
「思い出」とは、くだらない思い出ではありません。
死を目の前にして心満たされる「思い出」とは、自分の可能性を信じてみずから作り上げ成し遂げた最高の時間のことです。
反対に「夢」とは未完の状態、つまり、できなかったことです。
人が死ぬ前にもっとも後悔することTOP5の中に「自分のやりたいことをやらなかった」があります。
私自身、「他人の望む人生を歩んでしまった」「自分のやりたいことが何もできなかった」と後悔する末期がん患者さんを看取った経験があります。
無念な気持ちを抱きながら亡くなる人の最期を看取ると、複雑な思いが交差しました。
人は生きたように死んでいくことしかできないのだと、改めて感じます。
“夢でおわることがないように、毎日少しずつ自分のキャンパスに色をのせていこう”、今もそんな気持ちにさせてくれる言葉です。
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佐藤まりこ
生まれも育ちも北海道。しかし、寒いのが苦手で大学卒業とともに上京し大学病院に勤務。さらなる暖かさを求めて2009年、米国・ロサンゼルスに留学。2010年、California RN(Registered Nurse) Licenseを取得するが就職先が見つからず無念の帰国。2012年、駐在妻として米国・オレンジカウンティーにカムバック。2013年、Refresher/Reenter-Update Education Programで総合病院の急性期病棟実習を修了。その後、念願のRNとして内視鏡センターに勤務し充実した日々を送るが、2016年、夫が日本に帰りたいと言い出しふたたび無念の帰国。帰国後は、子育てに奮闘しながらも幸せな田舎暮らしを謳歌し大学病院に勤務中。
幸せな時間は、「川の字で寝る休日のお昼寝」。