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医療現場で当たり前に使っているカタカナやアルファベットの業界用語、「多分英語だからそのままでも外国人患者さんに通じるかも!」と思っていませんか?
じつは、医療現場は通じないカタカナ英語や英語以外の外来語、おかしな造語が飛び交っています。
そんな業界用語に注目し、外国人患者さんに通じる正しい英語の発音やそのポイント、現場で困ったときに使えるフレーズを紹介します。

本日のカタカナ英語:デブリ・デブリードマン

「デブリするって」
看護師さんなら「デブリ=壊死組織の除去」という意味で使ったことや聞いたことがあるのではないでしょうか。

壊死組織は、創治癒の妨げになるため、それを取り除き、肉芽形成を促すことを目的とした外科的処置が施されます。日本の医療現場では、「デブリードマン」が正式名称となっています。
「デブリ」や「デブリードマン」はカタカナだし、そのままでも通じる英語なのでは、とみなさんは思っていませんか?

「デブリードマン」は、フランス語で「切開」を意味する 「debridement」に由来します。
「デブリードマン」はフランス語読みなので、英語としては通じません。

「デブリードマン」に相当する英語は、同じスペルですが、読み方が異なります。
英語で「debridement」は、「デブリードメント(dibríːdmənt)」です。
最後の「ト」は、果物の種を飛ばすように「トゥ」と発音するとより英語らしくなります。

「デブリ」は「デブリードマン」の略語として使いますが、これも日本でしか通用しません。
「デブリ」の発音に似た英語は「debris(dəbríː)」です。
「debris」は「破片」や「がれき」などという意味があり、医療用語としては「剥離物」や「壊死組織」という意味で使われます。
つまり、英語で「デブリ」は、取り除く対象の壊死組織です。
ちょっと紛らわしいですよね。

•You are having debridement the day after tomorrow. Debridement is a surgical procedure that helps your bed sore heal by removing dead tissue.
(あさってデブリードマンを行います。デブリードマンとは壊死組織を取り除き、床ずれを治す外科的処置のことです)





30歳を過ぎてからアメリカで看護師をめざした私は、偉人たちの言葉や名言に何度も背中を押してもらい、一歩ずつ前に進む勇気をもらいました。
人はみな、多かれ少なかれ何かに悩んでいます。
そんなときに立ち止まってほしい言葉を紹介します。


「Think outside the box」は、ビジネスで重宝するイディオムとして紹介されることが多く、ご存じの方も多いかと思います。

「inside the box」が従来どおりのやり方や考え方だとすると、「outside the box」は形にとらわれず自由にアイディアを考え出すことを指しています。

誰が考えたかわからない「こうあるべき」という概念を取っ払うのは、これからの時代を生きるうえで大切な指針だと改めて思います。

総務省が発表したデータによると、10年後も企業が存続している確率は、わずか6.4%といいます。これは業界・職種を問わず、10年の間に90%以上が新しい仕事に取って代わるということ。
医療業界はとくに閉鎖的なので、既成概念に囚われている人が多すぎるように感じます。

時代の波に完全に流される必要はありませんが、時代を見据えた行動をしないと容赦なく淘汰されていくことでしょう。まずは、自分がそれを意識しながら発言していかないとと思います。

「Think outside the box」は、医療業界でもmainstream(思考の主流)となるのはそう遠い未来の話ではありません。
20代・30代のみなさんが、枠にとらわれずどんどん斬新なアイディアを出して発展する医療って、けっこう楽しそうで、「どうなるんだろう!」ってワクワクしませんか?

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佐藤まりこ
生まれも育ちも北海道。しかし、寒いのが苦手で大学卒業とともに上京し大学病院に勤務。さらなる暖かさを求めて2009年、米国・ロサンゼルスに留学。2010年、California RN(Registered Nurse) Licenseを取得するが就職先が見つからず無念の帰国。2012年、駐在妻として米国・オレンジカウンティーにカムバック。2013年、Refresher/Reenter-Update Education Programで総合病院の急性期病棟実習を修了。その後、念願のRNとして内視鏡センターに勤務し充実した日々を送るが、2016年、夫が日本に帰りたいと言い出しふたたび無念の帰国。帰国後は、子育てに奮闘しながらも幸せな田舎暮らしを謳歌し大学病院に勤務中。
幸せな時間は、「川の字で寝る休日のお昼寝」。