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医療現場で当たり前に使っているカタカナやアルファベットの業界用語、「多分英語だからそのままでも外国人患者さんに通じるかも!」と思っていませんか?
じつは、医療現場は通じないカタカナ英語や英語以外の外来語、おかしな造語が飛び交っています。
そんな業界用語に注目し、外国人患者さんに通じる正しい英語の発音やそのポイント、現場で困ったときに使えるフレーズを紹介します。

本日のカタカナ英語:ゼク

「ステった患者さんゼクするって」
看護師さんなら「ゼク=病理解剖」という意味で使ったことや聞いたことがあるのではないでしょうか。
「病理解剖」は、亡くなられた患者さんのご遺体を解剖し、亡くなった原因などを検討することです。

「ゼク」はカタカナだし、そのままでも通じる英語なのでは、とみなさんは思っていませんか?

「ゼク」は、ドイツ語で「切開」を意味する「sektion(ゼクチオン)」が由来です。
「ゼク」は、英語で「autopsy」です。
最初の「オ」にアクセントを置いて「オートプスィー(ɔ́tɑ̀psi)」が英語に近い発音です。

今日は、新しい「ゼク」について少し紹介しましょう。
みなさんは「バートプシー」や「オートプシー・イメージング(AI)」という言葉を聞いたいことはありますか?
どちらもCTやMRIなどの3D画像処理技術を用いて、画面上に遺体の合成イメージを映し出して行う遺体を傷つけない死亡時画像診断をさしています。
「バートプシー」は、スイスのベルン大学のグループが提唱しているVirtualとAutopsyを融合させた造語です。
「オートプシー・イメージング」は、日本の法医学領域で提唱され2000年ごろから本格的に研究が始まっています。

現時点では、従来の死体解剖がスタンダードとなっていますが、今後こうした画像診断を利用した解剖が主流となることを予測し、世界中で解剖画像診断のシステム開発が進んでいるそうです。

•An autopsy is a medical exam of a body after death in order to determine the cause of death, etc.
(病理解剖とは亡くなった後に死因の特定などを行う医学的検討をいいます)





30歳を過ぎてからアメリカで看護師をめざした私は、偉人たちの言葉や名言に何度も背中を押してもらい、一歩ずつ前に進む勇気をもらいました。
人はみな、多かれ少なかれ何かに悩んでいます。
そんなときに立ち止まってほしい言葉を紹介します。


今日はイギリスのおもしろいことわざを紹介します。
直訳すると「好奇心は猫を殺す」となり、ことわざにしては穏やかではない印象ですよね。

古くからイギリスには「A cat has nine lives(猫に九生あり)」という表現があります。猫は高いところから落ちても軽く身をかわし、なかなか死なないことからこの言葉が生まれたようです。この表現が元となって、「nine lives」は「簡単にはくたばらない」「しぶとい」という意味で使われます。

さて、簡単には死なない猫でさえ好奇心によって命を落とすことから、「curiosity killed the cat」は、好奇心が過ぎると身を滅ぼすという戒めに使われます。
他人への極端な詮索が好まれないのは、世界共通のようですね。

私事ですが、旅行先で好奇心から命を落としかけた経験があります。
中南米を旅行中、人々の暮らしが見てみたいという好奇心から大きな街道を外れて横道に入った途端、雰囲気が一変しました。直感で危険を察知したのですが「もう少し進んだらまた横道が出てきて元の大きな街道に戻れるだろう」と安易に考え、どんどん奥に進んでしまいました。
一向に横道が出てこないので引き返そうとしたときには、時すでに遅く、数人の地元の方に囲まれていました。「もうダメかも……」と思ったとき、かわいい制服を着た女子高生らしき団体が通りがかり、何やら私に叫んで「ついてこい」というジェスチャーをしています。彼女たちについていくと元の大きな街道まで案内してくれました。すべてスペイン語だったので、彼女たちが何を言っていたかわかりませんでしたが、推測するに「観光客はこの街道から外れてはいけない、殺されてもおかしくなかった」などと言っているように感じました。

初めての土地への好奇心と旅行者という解放感から、警戒心が薄れ、異国の地で身を滅ぼすところでした。

今日の言葉は、自分の体験から深く共感することわざです。
海外旅行の際は、ぜひ私のような安易な行動をとらず、楽しい思い出を作っていただければと切に願います。

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佐藤まりこ
生まれも育ちも北海道。しかし、寒いのが苦手で大学卒業とともに上京し大学病院に勤務。さらなる暖かさを求めて2009年、米国・ロサンゼルスに留学。2010年、California RN(Registered Nurse) Licenseを取得するが就職先が見つからず無念の帰国。2012年、駐在妻として米国・オレンジカウンティーにカムバック。2013年、Refresher/Reenter-Update Education Programで総合病院の急性期病棟実習を修了。その後、念願のRNとして内視鏡センターに勤務し充実した日々を送るが、2016年、夫が日本に帰りたいと言い出しふたたび無念の帰国。帰国後は、子育てに奮闘しながらも幸せな田舎暮らしを謳歌し大学病院に勤務中。
幸せな時間は、「川の字で寝る休日のお昼寝」。