わかりあえなくてよい
いりやまさとし/作・絵
ジャイブ 2005年刊
定価 950円+税
©いりやまさとし/ジャイブ株式会社
あかいくまはあかが好きで、家じゅうあかいものをそろえて暮らしていました。みどりのくまはみどりが好きで、家じゅうみどりのものをそろえて暮らしていました。2 人はそれぞれの色が一番素敵だと思っていました。ところがある日……。
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みどりのくまは だんだん、「あかい いろって きれいだな…」とおもえてきました。
みどりのくまは おもいきって いまの きもちを はなしてみました。
すると、あかいくまも「わたしも おなじことを おもっていた」と いいました。
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その2人が結婚したら、あかとみどりそれぞれの色を生かした暮らしになりました。そして、ふたりのもとにしろい天使がやってきました。
あかとみどりのくまは互いの色が混ざり合うのではなく、自分の色をなくしたわけでもありません。互いの色をそのまま受け止め、生かしあっています。つまり、互いに折り合いをつけています。
新人と先輩のとらえ方のズレ
ある看護研修でのこと。新人看護師は先輩看護師の「あきれた表情」「目が合わない」「挨拶をしない」などの言動や行動を“無視(反応しない)”ととらえていました。しかし、先輩は「無視したつもりはない」「患者対応をしていた」「きつく言うと落ち込むと思って遠慮して言わなかった」など、“無視(反応しない)”の意味や真意が違っていました。互いに言葉で本音を伝えあわないため、とらえ方に“ズレ”が生じています。
些細なことでさえ、それぞれの習慣・信念・価値観などには違いがあります。ぶつかりあうことで、相手との違いに気づくことができます。好かれようとして気遣いするのではなく、“私は私、わかりあえなくてもよい”という思いで、自分の気持ちや考えを伝えてみることです。
考えてみましょう
【問1】自分と他者が互いに「わかりあえない」「ぶつかりあった」経験やエピソードを教えてください。
【問2】自分と他者との違いを認めるためにはどうしたらよいでしょうか?
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オフィスJOC(Japan Okan Consultant)代表
心といのちの専門家(オカン)
看護師40 年、看護部長を17 年務めた後、人材育成・相談業務を中心に活動。自殺防止の電話相談では10 年間で約1,800 人の悩みを聞いてきた。またワークショップデザイナーとして対話の場づくりを約3,000 人に実践。2019 年にはオフィスJOC を起業し、「ケアする人をケアする」「がんばリーダーを応援する」「対話の場をつくる」をコンセプトに、日本を元気にするための活動を行っている。現在は全国の医療・介護系の研修をオンラインとリアルの両方で開催。2020 年からはオカプロ(オカン力プロフェッショナル)養成塾のほか、塾生たちとの「オカン対話Café」「がんばリーダー育成講座」をスタート。主な著書に『リーダーのための育み合う人間力』(医学書院)、『ケアする人をケアする本 医療スタッフのための人間関係力』(gene)などがある。