チームで助け合う
いわむらかずお/作
童心社 1985年刊
定価 1,200円+税
お父さんとお母さん、おじいさんにおばあさん、そして10匹の子どもたち。ねずみ一家の冬の暮らしを描いた絵本です。真っ白な雪で覆われた外の景色とは対照的に、家の中はあたたかなオレンジ色が基調となっている絵が印象的です。
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ストーブ もえてる、あたたかい へや。
みんなで なに つくってる?
のこぎり ゴーリゴり。はさみ ショキショキ。
やかんが シュルシュル なっている。
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そんな温もりを感じる家の中では、14匹の家族それぞれが役割を持って動いています。みんなで遊べる“とんがりぼうしゲーム”をつくるお父さんと子どもたち。また、何匹かの子どもたちはおじいさんとそりを作り、台所にはお母さん、おばあさんとおまんじゅうを作る子どもたちもいます。おまんじゅうができあがると14匹が集まって食べ、おやつのあとはお父さんたちが作ったゲームをしてみんなで遊びます。雪が止むと今度は全員が外へ出て、おじいさんたちが作ったそりで遊びます。
14匹それぞれが家族の中での役割を果たしています。また、役割のないものは誰一人としていません。互いに協力し合い、助け合っています。
ひとりで抱え込まない
次世代リーダーの育成で私が力を入れているのは“リーダーの育み合い”です。次世代リーダーたちは、「何でもできないといけない」「何にでも応えないといけない」と鋼のような強いリーダー像を持っています。私は研修を通して「誰もがリーダー」といろいろな人に役割を任せて、育ち合いながら、力を出し合って一つのものをつくりあげていく体験をしてもらっています。一人ひとりが役割を自覚して、任せ・任され、助け・助け合います。どの人にも役割があり、期待される存在です。リーダーがひとりで抱えこむのではなく、一人ひとりが役割を自覚してチームで助け合います。
考えてみましょう
【問1】あなたは職場で周囲からどのような役割だと思われていますか?
【問2】助け合えるチームにするために、あなたはこれから何をしますか?
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オフィスJOC(Japan Okan Consultant)代表
心といのちの専門家(オカン)
看護師40 年、看護部長を17 年務めた後、人材育成・相談業務を中心に活動。自殺防止の電話相談では10 年間で約1,800 人の悩みを聞いてきた。またワークショップデザイナーとして対話の場づくりを約3,000 人に実践。2019 年にはオフィスJOC を起業し、「ケアする人をケアする」「がんばリーダーを応援する」「対話の場をつくる」をコンセプトに、日本を元気にするための活動を行っている。現在は全国の医療・介護系の研修をオンラインとリアルの両方で開催。2020 年からはオカプロ(オカン力プロフェッショナル)養成塾のほか、塾生たちとの「オカン対話Café」「がんばリーダー育成講座」をスタート。主な著書に『リーダーのための育み合う人間力』(医学書院)、『ケアする人をケアする本 医療スタッフのための人間関係力』(gene)などがある。