さんけつ
看護学校から国立大学へ編入し、大学病院に就職。療養病院、精神科病院、地方の総合病院、デイサービス、訪問入浴、介護付き有料老人ホームなど学生時代から含めて9年の経験がある看護師。現在は指定難病限定の住宅型有料老人ホームで働きながら看護師向けの「さんけつブログ」を運営中。




こんにちは、さんけつです。

さて、今回は私が看護専門学校から看護大学へ編入学した後、在学中に働いていた介護付き有料老人ホームについて「働いてみなければわからなかったこと」を紹介していきます。

なぜその介護付き有料老人ホームで働いてみようと思ったのか

私が介護付き有料老人ホームで働こうと思った理由は大きく2つです。

大学の先輩が働いていた


まず私が介護付き有料老人ホームで働いた理由の1つ目は、大学の先輩が働いていたからです。

同じ看護専門学校から同じ大学に編入学していたS先輩が先に働いていたので安心だと思い働き始めました。実際、S先輩から働く前にいろいろと教えてもらえたため働きやすかったです。

臨床経験がなくても働けた


介護付き有料老人ホームで働こうと思った2つ目の理由は、前回の「訪問入浴サービス」、前々回の「デイサービス」と同様に、看護師としての臨床経験がなくても働かせてもらえたからです。

これまでもお話ししたように、私は看護専門学校卒業時に国試に合格して看護師免許はあったものの、卒業後すぐに看護大学に編入学したため、当然ながら臨床経験はまったくありませんでした。

看護師免許があっても臨床経験がないと働ける職場は限られてしまうのですが、介護付き有料老人ホームは難しい看護業務はなく、臨床経験がなくても問題なく働けました。

介護付き有料老人ホームで担当した業務

介護付き有料老人ホームで担当した業務内容は以下の通りです。

・バイタル測定
・注入
・吸引
・尿道カテーテルの交換
・往診医の対応
・配薬、薬のセット
・食事介助
・夜間のオンコール
・認知症患者の対応

オムツ交換や入浴介助は介護士が担当していたので、体に負荷がかかるような業務は少なく、臨床経験がなくても行える処置がほとんどでした。

また、私の働いていた職場では看護師の夜勤はなく、当番制で夜間のオンコールが月に1回程度ありました。私もオンコールを担当しましたが、2年間働いたなかで1回だけ「内服を落としたので新しい薬を出してほしい」というオンコールで呼ばれたことがありました。

私が働いていた介護付き有料老人ホームは、利用者さんが亡くなったときはできるだけ日中に対応するという方針だったため、他の施設に比べてオンコールの担当でも電話がかかってくることが少なかったです。

介護付き有料老人ホームで働くなかで対応に困った業務は往診医の対応です。医師が常駐していないため2週間に1回の往診があります。私が働いていた有料老人ホームでは特に提携しているクリニックや病院がなかったこともあり、利用者それぞれで往診医が違いました。そのため医師ごとに対応の仕方や細かいルールが違ったため、ルールを覚え、対応に慣れるまでに時間がかかりました。

介護付き有料老人ホームで働いてみてはじめてわかったこと

介護付き有料老人ホームで働いてみてはじめてわかったことが2つあります。

病院のように拘束・抑制ができない


介護付き有料老人ホームは生活の場であり、治療の場ではないため、基本的にミトンや胴抑制などを使用することはできません。もしやむを得ない場合は家族の同意や評価など適切な段階を踏む必要があります。

また、ミトンや胴抑制などの代表的なものだけでなく、4点柵や車いすベルト、眠剤で昼間に寝かせるといったことも身体拘束に当たります。そのため、認知機能低下が著しい利用者さんや易怒性が高い利用者さんの場合には、さまざまな手を尽くし、生活できるように関わることが大変でした。

点滴や採血の物品はクリニックのものを使う


介護付き有料老人ホームで採血や点滴を行う際は、クリニックの物品を使います。定期的な採血や点滴、抗生剤の投与などの指示が往診医から出た場合、施設のスタッフがクリニックへ取りに行き実施します。

また、決められた分しか利用者に請求できず、それ以上に物品を使った場合はクリニックの持ち出しになってしまうため、臨床経験がなかった私にとっては「失敗できないな」というプレッシャーがありました。

介護付き有料老人ホームで働いたことで得られたもの

介護付き有料老人ホームで働いたことで得られたものは、認知機能低下で行動が落ち着かない利用者や易怒性の強い利用者さんに対して、身体拘束や薬を極力使わずに生活できるように援助するという経験です。

「働いてみてはじめてわかったこと」でもお話ししたとおり、介護施設では身体拘束ができません。そのため現場で関わる看護師や介護職員で対応するしかありません。

このような状況で行動が落ち着かない、易怒性の強い利用者さんへの対応で、うまくいった方法は次の通りです。

・「あの扉の向こうを確認したい」など目的のわかりづらい言動でも、いったんそれに付き合ってみる。
・易怒性の強い時は遠くから様子をみて、あまりこちらから話しかけない。
・立ち上がってしまってなかなか座わらない利用者さんには「座ってゆっくり話を聞きますよ」と伝える。

このように対応することで、時間がかかったとしても最終的には落ち着く場合が多くありました。介護付き有料老人ホームを経て、大学卒業後に大学病院に就職した時も、忙しいなかであっても上記を意識することで患者さんが落ち着いて過ごせる時間を作ることができました。



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