みなさん、こんにちは。

前回「自分のふるまい方」についてお話しました。相手が不快にならないか、しっかりと考えて振る舞うことが大切です。仲間同士で、お互いのふるまい方をチェックしあうとよいのではないかと思います。

さて今回は、「基本の5項目」の5番目になります。前回の「ふるまい方」と似ていますが、もっとも基本である「礼儀作法」についてお話していきます。

親しき仲にも礼儀あり~信頼関係を築くための土台

「親しき仲に礼儀あり」ということわざがあります。私はこれが本当に好きです。なぜかこの逆は嫌いなんです。本当に嫌なのですよ(笑)。

たまに、いらっしゃいますよね。少し親しくなると、なんでもずけずけ言う人。相手の様子なんてお構いなしに、ずかずかとパーソナルスペースに入ってくる人…。それはいったい誰のためなの!? なんて、不快なだけ気持ちを抱えて、もやもやすることも少なくありません。

私は、それを患者さんの立場で考えてみます。もし言われた相手が患者さんだったら、きっと容易には反論できないでしょう。だからこそ私たちは、しっかりと気をつけていかないといけません。

礼儀が身についてない人を信頼するのは困難です。最低限の礼節を守ることは、信頼関係をきちんと構築するための土台と考えています。

細かな所作に気を配る~想いと行動は関連する

訪問に行った先での扉の開け閉めや靴の脱ぎ方、靴の置き場所などに、きちんと気を配ってますか? 仮に、あなたが「訪問看護に行ってあげている」と少しでも思っていたら、それは細かな所作にあらわれるでしょう。それはやがて態度に出て、信頼関係にヒビが入りかねません。

想いと行動は関連しています。なので礼儀作法をきちんとすることで、気持ちも謙虚でいられると思います。必要以上にへりくだる必要はありませんが、気持ちよい関係でいたいですよね。また長続きできる関係性にもつながると考えます。

基本的なことほどきちんとする~スタッフ面接で私が見ているところ

スタッフの面接のとき、採用するかどうかの大切なところですが、私はまず、その人の礼儀作法や所作を見ます。挨拶、服装やカバンの置き方、椅子の引き方、ドアの開け閉めなどなど。また、履歴書の出し方など、細かなことへの配慮の様子も見ていきます。

こうした思いは、自分の入院体験にあるかもしれません。若いとき、短期間だったのですが、入院したことがあります。看護師さんによって部屋のドアを雑に開ける人、丁寧に開ける人、また静かに丁寧に処置をしてくれる人、トレーや物品を大きな音を立てて置く人、さまざまな看護師さんがいました。その際に思ったのが、丁寧に静かに動作をされる人ほど信頼できるというものでした。

それはこちらの立場にきちんと立てているからだと思います。夜中の見回りの際に、大きな足音を立ててこられる看護師さんにはうんざりしました(笑)

この違いはどこからくるのでしょうか? それは共感能力です。相手の立場に立つ、これしかないのではと思います。自分ができているかの確認をするとしたら、「自分が反対の立場ならどうか」をつねに考えてほしいと思います。

基本的なところがきちんとできない人に、大切な利用者さんのところに行ってもらうことはできません。礼儀作法とは相手への思いやりであり、それは所作にあらわれると思うので。これも日々の練習ではないでしょうか。

今回のまとめ

患者さんへのよい看護を展開できても、基本的な礼儀作法ができていないと元も子もありません。自分のためにも、ぜひ気をつけていきたいところです。

先にも記載した「相手の立場になって考える」こともそうですが、仲間同士で確認や声かけができるメンバーだと、なおよいなあと思います。では。





社本昌美
訪問看護ステーションふく・ふく代表・管理者/精神科認定看護師
精神科看護に長年魅了されています。地域で水が流れるように精神科看護を浸透させたい!そんな思いで2023年8月に訪問看護事業所を立ち上げました。 訪問看護につながる手前の方にも、よくお話をしに伺います。人生をどのように過ごしたいか、希望はなにか?そんなことを会話のなかから探り、ストレングスの視点でかかわることが大好きです。精神科看護に魅了され、わくわく働ける看護師を多く育成したいと思っています。
時間があると登山をしながら日本中を旅しています。四季折々の日本の山々に包まれて至福のときを過ごしています。