みなさん、こんにちは。いよいよ冬らしくなってきました。
先日、こたつを新調しました。それまで使っていたのは、23年前、夫が結婚するときに持ってきた1人用の小さなこたつでした。壊れてはいなかったのですが、私がパソコン作業をしたり、娘が勉強をしたりと狭くなってきたため、思い切って長方形の大きなものに買い替えたのです。天板が広くなり作業がしやすく気に入ってますが、なんだか寂しさもあります。確かにそこには、小さな古いこたつの「居場所」がありました。

さて今回は、「居場所」について考えます。

スタッフの役割分担

病棟勤務をしていると、委員会や係など、なにかしらの役割が降ってきますよね。イヤイヤしていた人、勉強になるなあと前向きにとらえる人など、受け止め方はさまざまです。でも、今回の「役割」は、委員会や係の話ではありません。

「役割」とは、本来は「個性」や「特徴」に基づいて割り振られるものです。たとえば、面倒見のよいスタッフが、忘れたものをそっと渡してあげたり、悩みを聞いてあげたり、元気付けたり。ユニークな個性を持つスタッフは、病棟の雰囲気づくりに一役買うでしょう。また、ふだんから落ち着いているスタッフは、クレームなどがあってもしっかりと考えて、みんなにもその考えを教えてあげられたりするかもしれません。

管理者がその人の「特徴」や「個性」をきちんと見て評価できていれば、特徴や個性は「役割」に昇華されるのです。

そのままでいい(ただし、利用者さんや事業所のためにがんばっている人の場合)

その人の特徴や個性を見て、それが及ぼす影響をきちんと把握し、管理者がスタッフに「そのままでいいですよ」と思えることが、よい雰囲気の職場にするのではないかと思っています。そのためには、やはり対話です。スタッフを知ることが大事で、ほかのスタッフがその人をどう見ているかもよく聞き取ります。

ただし、手を抜いたり協力しないスタッフに、「そのままでいいですよ」とはいいません。いいわけがありません。それは個性や特徴ではなく、チームや職場の雰囲気を乱すものであり、指導が必要です。あくまで利用者さんや事業所のためにがんばっているスタッフの場合です。

必要とされる感覚が、ここを居場所にする

仕事をしていくうえで、仕事の内容より「自分がここで必要とされている」「職場で自分の役割がある」という感覚を持てるか持てないかで、モチベーションが変わったことはないでしょうか。スタッフにそう感じてもらえるためにどうかかわるか、どう仕掛けていくかが、管理者の役割のひとつだと、私は考えています。

そのためには、「事業所をこうしていきたい」「利用者さんにこんなかかわりがしたい」など、管理者が希望を語ることが大切です。そんな希望のなかに、「あなたがいるから、これができた」「これができそう」と言われたら、スタッフはどう感じるでしょう。

私が病棟にいたときにいっしょに勤務していた師長は、方向付けがとても上手な人でした。私の個性を見つけて、認めてくれて、いっしょに病棟を盛り上げるように方向付けてくれました。本当に仕事が楽しいなあと思えたものでした。その後、その師長は異動になり、仕事がすこしつまらなくなったことを思い出します。

今回は「自分がこの職場にいてよい」という感覚や、「自分の職場での役割」を自覚できるとよいなあというお話でした。管理者さん自身も「ここにいてよい」と思って仕事をしてほしいです。
ではまた。





社本昌美
訪問看護ステーションふく・ふく代表・管理者/精神科認定看護師
精神科看護に長年魅了されています。地域で水が流れるように精神科看護を浸透させたい!そんな思いで2023年8月に訪問看護事業所を立ち上げました。 訪問看護につながる手前の方にも、よくお話をしに伺います。人生をどのように過ごしたいか、希望はなにか?そんなことを会話のなかから探り、ストレングスの視点でかかわることが大好きです。精神科看護に魅了され、わくわく働ける看護師を多く育成したいと思っています。
時間があると登山をしながら日本中を旅しています。四季折々の日本の山々に包まれて至福のときを過ごしています。