書籍『予防のためのせん妄ケア』(詳しくはこちら)の著者が、臨床で役立つせん妄の基礎知識をクイズ形式で出題・解説します。
Q
せん妄が出現した患者のご家族への対応で、正しいのはどちらでしょうか?
入院中にせん妄が出現した患者のご家族から、「入院中に認知症の診断をしてほしい」と相談がありました。受け持ち看護師のあなたは、家族にどのように対応しますか?
A:「精神科にコンサルテーションしてもらえるか、主治医に尋ねる」
B:「入院中には認知症の診断はできないため、退院後に物忘れ外来を受診してもらうよう家族に説明する」
正解はこちら
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[ B ]
【解説】
DSM-5-TRの、せん妄の診断基準を確認しましょう。
B→〇
病識、身体診療、臨床検査所見から、その障害がほかの医学的疾患、物質中毒または離脱(すなわち乱用薬物や医薬品によるもの)、または毒物への暴露、または複数の病因による直接的な生理学的結果により引き起こされた証拠があることが、せん妄の定義のひとつです。
一般病棟に入院されている患者は原疾患の治療のために入院しており、せん妄を起こすリスクがあるわけです。すでにせん妄が出現している場合もあり、せん妄の除去が優先されます。認知症は、入院中の身体状態が回復しせん妄が消失した後でないと、正確な確定診断をすることはでききません。
【患者・家族への説明の例】
「入院中に、まずはお体を回復させてから(せん妄がなくなってから)、退院後に物忘れ外来をご予約下さい」
【執筆】
関西医科大学総合医療センター 精神看護専門看護師
書籍の案内
勉強会でもそのまま使えるスライド形式!
「せん妄予防でするべきことなんて、耳タコだよ! やっても効果がないから困ってるんじゃない!」と疲れ切っているあなた。「するべきこと」を効果的に行えるポイントを教えます。「火消し」は消すのが仕事じゃない!火を出さないことがかっこいいんだ!
サイズ : B5判 168頁
ISBN-10 : 4-8404-8522-4
ISBN-13 : 978-4-8404-8522-7
目次
・はじめに
・執筆者一覧
【第1章 せん妄はなぜ予防が大切なのか】
■1 知っておきたいせん妄の基礎知識
■2 せん妄はなぜ予防が大切なのか
【第2章 今日からできる予防の取り組み】
■1 予防のための薬剤の知識
不眠時に使用する薬剤と問題点
ベンゾジアゼピン系薬剤
オレキシン受容体拮抗薬
抗うつ薬
処方薬の整理
■2 知識を実践につなげる
せん妄の診断基準の観察ポイントを押さえる
注意と意識
変動性
認知
意識と昏睡
複数の病因
■3 外来からはじめるせん妄予防プログラム
なぜ外来からせん妄予防をはじめるのか
外来でのアプローチ
入院当日に行う評価
観察と看護計画立案
せん妄ケア
【第3章 起こってしまったせん妄への対応】
■1 明日からできるせん妄の治療
抗精神病薬を知ろう
補助療法を検討しよう
せん妄のリスクがあれば、ためらわずに薬剤を使おう
■2 せん妄のときの効果的な申し送り
不眠と不穏を見分ける
それぞれのときに使用する薬剤
治療的な申し送りで伝えること
■3 多職種で取り組む効果的な対策
精神科リエゾンチームの実際
薬剤師の役割
臨床心理士/公認心理師の役割
作業療法士の役割
医療ソーシャルワーカーの役割
【第4章 明日から使える高齢者ケアのヒント】
■1 明日からできる高齢者ケア
認知症患者さんへのかかわり
かかわるときにできる工夫
■2 地域につなぐための高齢患者のケアの見直し
高齢者を地域につなぐ
フレイルの基礎知識
フレイルを悪化させないためのケア
①睡眠
②痛み
③BPSDとの鑑別
④社会機能のリカバリ
■3 「病棟別・疾患別」の家族も含めたせん妄ケア
ICUせん妄編
一般病棟編
アルコール離脱せん妄編
緩和ケア編
【第5章 社会的な視点からみたせん妄対応】
■1 拘束・抑制と患者さんの権利擁護
一般病棟と精神科病棟の比較
身体的拘束の定義
身体的拘束の法的根拠
■2 高齢者のQOL向上のためにできること
健康寿命を延ばす取り組み
退院後のQOL低下を防ぐために
患者さんの自己効力感を高める
地域への橋わたし
引用・参考文献
索引
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