みなさんこんにちは!

このシリーズも始まってまもなく2年。なんとこのたび50回目となりました! これもひとえにいつも読んでいただいているみなさまのおかげです!

最近は「いつも読んでるよ!」とお声がけいただけることもが多く、ただただうれしい限りです! ありがとうございます。

そして、このように長い年月続けられたのもメディカ出版さん、そして当シリーズの担当である懐の深い敏腕プロデューサーDさんのおかげです! いつもありがとうございます。ネタが続く限り、、、もう少しだけ続けさせていただければと思います。

今後も、若い方々に
心カテを好きになっていただく、
心カテに対する苦手意識を少なくしていただく、
ことを目標に書き続けさせていただきます。

よろしくお願いいたします。

今回は記念すべき50回目ということで、私が考える心カテにとってイチバン大切なことについてお話しさせていただきたいと思います。まるっきりもって私見だけのお話。今回だけご容赦ください。


私が心カテにイチバン大切だと思うもの。それは情報です。情報が患者さんを安心・安全な治療に導きます。

1)心カテを知る

心カテに関係するすべてのスタッフは、まずは心カテというものを知らなければなりません。自分が担当する患者さんが、いまから何のために、何をするのか?ということは知っておかなくてはいけないことだと思います。

病棟・外来スタッフも同じです。その患者さんがこれからどのような治療をするのか? これまでどのような治療してきたのか? ということは、知っておかなくてはなりません。それが医療を提供する私たちの仕事なのです。

その患者さんの治療に関わる一人ひとりが、これは患者さんにとって最良の治療であると自信持って医療を提供する必要があるのです。そこではじめて患者さんに安心してもらえるのではないでしょうか。

そのためには、心カテに関する情報は持っておかないといけないと思います。その情報量・内容は、職種・経験によって違いがあっていいんです。最終的にチームみんなの情報を合わせて、治療に必要な情報クオリティにすればいいんです。

患者さんに安全に治療を受けてもらえるように、医師がやるのではなく、先輩がやるのではなく、私が、私のできることをやるんだ!ということが大切です。

また、患者さんに安心してもらえるように、患者さんの疑問に答えられるような情報をまずは持っておきましょう。

2)患者さんを知る

特に心カテスタッフは、心カテ室に入ってきた患者さんと「はじめまして」ではいけないと思うんです。それは、術前訪問をしよう!ということだけではありません。心カテ室に入ってくる患者さんの情報をあらかじめ知っておこうということです。

基本的なことで言えば、患者さんのお名前・性別・身長・体重、これは当然ながらとても大切な情報です。「〇〇さんおはようございます!」って名前を呼んで挨拶すると、患者さんはそれだけでも「私のことを知ってくれている」と安心してくれるでしょう。

身長・体重を知っておくことによって、薬剤の投与量などをあらかじめ決めておくことができます。その延長で、腎機能を知っておくことによって腎保護のため造影剤を最小限に留めたり、アレルギー歴を知っておくことで造影剤アレルギー発症に備えて、あらかじめ万全の準備をしておくことができるでしょう。また、術前のCT画像の情報でカテーテルのサイズなどが決まり、あらかじめ準備しておくことができます。つまり、患者さんの情報を知っておくことにより、万が一のときの対応が一歩二歩早くなるのです。

カテ室で待つ私たちが、〇〇さん待ってましたよ、あなたのことはわかっていますよ!ってお迎えすることができれば、患者さんは安心して身を任せてくれるでしょう。

3)情報を共有

心カテチームにとって重要なのは、持っている情報は共有すること。私だけが知っている情報。病棟だけが知っている情報。医師だけが知っている情報。それは、情報としてはとても小さなものになってしまいます。

情報は、チーム内で共有することにより、より大きな情報になります。それぞれが持っている情報が重なり合うことによって、より深いものになり、それが結びつき合うことによって、治療を行ううえで有益な大切な情報になるのです。

例えば、外来で採血したときに気分不良を起こした患者さん。カテのIC時にカテを受けるかどうかかなり迷われていた。そしてカテ前の病棟では心カテが不安との訴えがあった。この情報が心カテスタッフに伝えられることによって、カテ中・終了時の迷走神経反射により注意することができるほか、カテ室入室時から不安を取り除くために、いつも以上の話し掛けなどの配慮ができ、より注意深く患者さんの観察をしたり・バイタル変動により早期に気づくことができるのではないでしょうか。

情報は各セクション・職種間で共有することにより、より有益な大きな情報になるのです。

4)情報を活かす

最後に、最も重要なのは、情報を活かすこと。情報は貯蓄するために収集するのではありません。活かすために情報収集するのです。

心カテスタッフは、バイタルサインのモニタリングがもっとも重要な仕事です。バイタルサインには心電図や観血血圧、SpO2のみならず、患者さんの様子なども含められますが、モニタリングにルールや順番など、決まったものはありません。事前に収集された情報から、患者さんに合わせて、そのシチュエーションに合ったモニタリングをする必要があるのです。

例えば、ACS(急性冠症候群)とルーチンのカテではモニタリングは変わってきます。3枝(冠動脈の右冠動脈・前下行枝・回旋枝)病変の患者さん、大動脈弁狭窄のある患者さん、アレルギー既往のある患者さん、心機能が悪い患者さん……それぞれにモニタリングする視点は変わってきます。

まずは、この患者さんがどういう患者さんなのか? この情報を持っているチームが、より安全な治療を提供することができるのではないでしょうか?


ここまでお話ししていたように、心カテに関わるすべての方にとって大切なもの、それは情報なのです。

1)心カテを知る
2)患者さんを知る
3)情報を共有
4)情報を活かす


情報を得て、共有し、活かすことによって、患者さんに安心・安全な治療を提供できるのです。


今回は、私が考える大切なことについてお話しさせていただきました。今後もみなさんのお役に立てるような情報をお伝えすることができればと思います。

これまでも、今回の50回目も、お付き合いいただきましてありがとうございました。
そして、これからもお付き合いのほどよろしくお願いいたします。

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プロフィール:野崎暢仁
新生会総合病院 高の原中央病院
臨床工学科 MEセンター
西日本コメディカルカテーテルミーティング(WCCM)副代表世話人

メディカセミナー『グッと身近になる「心カテ看護」~カテ出しからカテ中の介助、そして病棟帰室後まで~』など多数の講演や、専門誌『HEART NURSING』、書籍『WCCMのコメディカルによるコメディカルのための「PCIを知る。」セミナー: つねに満員・キャンセル待ちの大人気セミナーが目の前で始まる! 』など執筆も多数。