みなさんこんにちは!
前回は、IVUS(intravascular ultrasound:血管内超音波アイバス)の基本的に見るところのお話をしました。今回は、IVUSのときやIVUSの画像によって変わる、カテナースやIVUS担当以外のスタッフの注目ポイントについてお話ししていきたいと思います。
IVUS担当以外のスタッフの注目ポイント
①IVUSが入らない?!
病変部をIVUSのカテーテルが通過するかどうか?が、この後の治療戦略を考える一つのバロメーターになることもあります。
例えば、事前の冠動脈CTの画像から病変部に強い石灰化があることがわかっている場合に、IVUSカテーテルが病変部でつっかかり、挿入が困難な場合には、他のデバイスも挿入できないことが考えられます。このことから“動脈硬化を削る”治療をすることが検討されます。
《私たちの行動は?》
□ 削る準備をする?!
②IVUSで虚血?!
冠動脈の病変がとても細いとき、IVUSカテーテルで血流を塞いでしまうことがあります。IVUSカテーテルは1mmくらいの太さがあるので、それと同じくらいの狭窄具合ならIVUSカテーテルを入れただけでも血流は無くなってしまいます。
《私たちの行動は?》
□ 心電図を見る
・STが上昇するかもしれません
・不整脈が出るかもしれません
□ 患者さんを見る
・胸痛などの症状が出るかもしれません
→IVUSカテーテルを抜いたら血流再開
→多くの胸痛は改善していきます
③IVUSで末梢塞栓を予測?!
風船治療をしたときに、詰まっているものが血流に乗って流れて、末梢血管を詰めてしまうことがあります。そうなると、冠動脈の血流がゆっくりになるSlow flow(スローフロー)という現象が起きます。これにより心筋虚血が起こります。スローフローが起これば、早急に血流改善のため、薬剤で末梢血管を拡張させて塞栓を解除しなくてはなりません。
この状況は、IVUSを見ると予測することができます(図1)。血管の内側にボコっと出っ張った物体(プラーク)の後ろ側に、真っ黒に抜けた画像を確認することがあります。これをアテニエーションプラークといいます。見つけたときには末梢塞栓の要注意画像となります。術者とIVUS担当者のあいだで「アテニエーション引いてるなー」っていう会話が聞こえたら末梢塞栓に備えましょう。
《私たちの行動は?》
□ 心電図を見る
・STが上昇するかもしれません
・不整脈が出るかもしれません
□患者さんを見る
・胸痛などの症状が出るかもしれません
→ ニコランジル(シグマート®︎)やニトロプルシドナトリウム水和物(ニトプロ®︎)などが必要になるかも
→ 血圧低下に注意!
IVUSは、IVUS解析を行うスタッフと施行医だけが見ていたらいいものではありません。
といっても、難しいすべての画像を見極める必要はありませんが、今回お話ししたことだけでも抑えておくと、みなさんの行動が一歩早くなるかもしれませんね。
今回はここまで。
ありがとうございました。
新生会総合病院 高の原中央病院
臨床工学科 MEセンター
西日本コメディカルカテーテルミーティング(WCCM)副代表世話人
メディカセミナー『グッと身近になる「心カテ看護」~カテ出しからカテ中の介助、そして病棟帰室後まで~』など多数の講演や、専門誌『HEART NURSING』、書籍『WCCMのコメディカルによるコメディカルのための「PCIを知る。」セミナー: つねに満員・キャンセル待ちの大人気セミナーが目の前で始まる! 』など執筆も多数。