みなさんこんにちは。
前回に引き続きロータブレーターについてお話ししていきますが、今回はロータブレーターってどんなものなのか? 何を準備するのか? についてお話ししていきます。
ロータブレーターの仕組み
ロータブレーターは、アドバンサーとかロータバーと呼ばれる清潔物品と、専用のガイドワイヤー、駆動装置、窒素ボンベ、そして加圧バック・ロータカクテルで構成されます(図1)。
ロータバーは1.25〜2.25mmまで6サイズあります。1.75mmまでは6Frのガイディングカテーテルで、2.0mm以上は7Frのガイディングカテーテルで挿入することができます。
ロータバーの先端にはダイヤモンドが散りばめられていて、このバーを高速回転させることで、柔らかいものに当たればツルンと滑り、石灰化のような硬いものに当たると削れるというような仕組みになっています。
高速回転は1分間に19万回転というスピードで、これは窒素ガスをプロペラに勢いよく吹き付けることによって回転を生み出しています。ものすごく早く回転させることで、カテーテルは熱を持って熱くなってしまいます。そのため、アドバンサー内を通じて、ロータバー先端から冷却の目的で生理食塩水を流します。この生理食塩水を細いカテーテル内と動脈内に流すために加圧バックが必要になるのです。生理食塩水内には、施設の工夫としてニコランジルや硝酸薬(ニトロ)、抗凝固薬(ヘパリン)などが混ぜられ、ロータカクテルと呼ばれています。
ロータによって削れた石灰化は微粒子に粉砕され末梢に流れ去るとされていますが、このロータカクテルに添加する薬が物語っている通り、ロータで切削した後は削りカスが末梢血管に詰まってしまうこと(末梢塞栓)がしばしば見受けられます。少しでも末梢塞栓しないように、冷却水目的の生理食塩水に末梢を広げるようなお薬が添加されているのです。
施行前の準備
それでも末梢塞栓を防げないときもあります。その場合には、ニトロプルシドナトリウムやニコランジルなどのお薬を、カテーテルを通じて冠動脈注入する場合があるので準備が必要です(図2)。
ロータブレーター施行中は心筋虚血のために血圧低下する場合もあります。また、冠血流を増やしておき、削りカスが勢いよく流れていき、末梢塞栓を少しでも起こさないようにするためにも血圧の維持は大切です。ロータブレーター施行前はあらかじめ120mmHg以上の血圧にしておくところもあります。そのためノルアドレナリンなどの昇圧薬の準備をしておきます。
どこまで準備? どのように投与? などは施行医とよく打ち合わせしておくとよいでしょう。
準備はこれくらいでしょうか。
次回は、ロータブレーター施行時に起こり得ること、私たちは何を見ておくべきか?など、削っている途中とその前後の私たちの行動について具体的に考えていきます。
次回もよろしくお願いいたします。
ありがとうございました。
新生会総合病院 高の原中央病院
臨床工学科 MEセンター
西日本コメディカルカテーテルミーティング(WCCM)副代表世話人
メディカセミナー『グッと身近になる「心カテ看護」~カテ出しからカテ中の介助、そして病棟帰室後まで~』など多数の講演や、専門誌『HEART NURSING』、書籍『WCCMのコメディカルによるコメディカルのための「PCIを知る。」セミナー: つねに満員・キャンセル待ちの大人気セミナーが目の前で始まる! 』など執筆も多数。