みなさんこんにちは。

今回はロータブレーターのときの私たちの具体的な行動についてお話ししていきます!
お付き合いよろしくお願いします!

まずは声かけから

ロータブレーターは削るとき、ものすごく大きな音がします。いきなりそんな音がしたら患者さんはびっくりしてしまいます。

患者さんは事前に「石を削りますから!」と説明を受けていると思いますが、どんなものだろうと疑問に思っているところ、あんな大きな音がしたら余計に不安になってしまうでしょう。

患者さんには必ず前もって以下のことを2つのことを説明しておきましょう

声かけ①
「とても大きな音がします。びっくりしないでくださいね」

声かけ②
「治療中に胸が痛くなることもあります。また、その痛みは大きな音がした後も続くことがあります」


この声かけは、ロータブレーターの準備中に済ませておきましょう。ロータブレーターがカテーテルの中に入る前に、チェックとして体外で駆動させますので、その前には声かけしておきたいところですね。

具体的な行動

1.血圧のモニタリング NIBPを確認しておこう!
いよいよロータブレーターがカテーテル内に入っていきます。使用しているカテーテルのサイズ(6Frか? 7Fr以上か?)とロータバーのサイズの組み合わせ次第では、いつも見ているカテ先の圧(観血血圧)は見ることができなくなる場合があります。

ロータバーがカテーテルに入る前に、カテ先の圧とNIBP(マンシェット血圧)の差を見るため、NIBPを測定します。このNIBPの値とカテ先の圧の差を記録しておき、例えカテ先の圧が消失しても中枢圧の予測ができるようにしておきます。

2.血圧の維持
前回もお話ししましたが、ロータブレーター施行時はあらかじめ血圧を高めにしてから施行することが多いです。事前に施行医ともコミュニケーションを取っておき、常に現在の血圧の情報が提供できるようにしておきます。

血圧コントロール、昇圧薬の投与が外回りに任せられている施設では、ロータバーがカテーテル内に入る前に目標の血圧になっているように調節します。

3.心電図変化
冠動脈の血流への影響は、ロータバーが冠動脈に入った瞬間から起こり得ます。ロータバーがカテーテルから出て、冠動脈に入ったときから心筋虚血が起こるので、心電図変化(ST上昇など)は、このときからしっかりと観察しておきましょう。もちろん心電図が変化するということは、患者さんに症状が出てくることもあるので、患者さんの観察・声かけを忘れないようにしましょう。

4.削っているとき
削っているときは、カテメンバーのみんなにわかるように、バイタルサインを大きな声で伝えることが大切です。変化がなくても「変化がない」ということを伝えることも大切です。

削っているときは、施行医はロータバーの操作に集中しています。そのような場合、バイタルモニターを見るのは難しい状態です。このまま削り続けてもいいのか? それともいったん削ることを中断したほうがいいのか? バイタル次第ということもあります。

また、心電図のSTが上がっているような場合、少し上がっているのか? それともかなり大きく上がっているのか? わかりやすく端的に伝えることも大切です。

そして、何よりも血圧が維持できているのか? ということはとても大切な情報です。維持できているなら「血圧変動なし!」、少しでも下がってきたら「血圧100切りました!」など、わかりやすく大きな声で伝えることがとても大切です。

5.バイタルが戻ったのか? 戻ってきているのか?
削り終わったらもう大丈夫!ではありません。上昇したSTが戻ってきているのか? それとも上昇したままなのか? 削り終わった後に、「ST戻ってきています!」「 上昇したままです!」という情報も伝えましょう。

STが上昇したままの場合は、削りカスが末梢に飛び、末梢塞栓している可能性があります。ニトロプルシドナトリウムやニコランジルなどの薬が必要になることが考えられます。末梢塞栓の解除には必要な薬ですが、この薬によって血圧低下することが予測されます。投与後はよりしっかりと血圧モニタリングすることがとても大切です。

また、STが戻りきっていないときには、PVCなどの虚血性の不整脈に要注意です。もしかしたら心室細動(VF)を誘発してしまうかもしれません。

6.ロータの回転数
バイタルの変動では起こりませんが、ロータの回転数も大切な情報です。ロータは19万回転/分といった超高速回転により削っていきます。この回転が石灰化したところに当たり削れていくと回転数は低下します。その回転数の変動が「削れている、削れていない」の目安になります。削っているときには回転数を大きな声で術者に伝えましょう。


今回は、ロータブレーターのときに私たちはどこに注目するのかをお話ししました。ロータブレーターこそ、術者一人では治療することができません。私たちの目と声がなければ治療することができないのです。

ぜひ、私たちも治療に参加しましょう!

ありがとうございました。

▼バックナンバーを読む

プロフィール:野崎暢仁
新生会総合病院 高の原中央病院
臨床工学科 MEセンター
西日本コメディカルカテーテルミーティング(WCCM)副代表世話人

メディカセミナー『グッと身近になる「心カテ看護」~カテ出しからカテ中の介助、そして病棟帰室後まで~』など多数の講演や、専門誌『HEART NURSING』、書籍『WCCMのコメディカルによるコメディカルのための「PCIを知る。」セミナー: つねに満員・キャンセル待ちの大人気セミナーが目の前で始まる! 』など執筆も多数。