心臓はどうやって動いているのか?

心臓は筋肉の塊(=心筋)でできているんですよね。

心臓はご存知のとおり、左右の心房と左右の心室4つの部屋に分けられています。

では、それぞれの部屋はどのような役割があるのでしょうか?

  全身をめぐった血液が、上大静脈・下大静脈より、冠動脈によって心臓にめぐった血液が冠静脈洞より、右心房に注ぎ込まれます。

血液を受け取った右心房は真下の部屋、右心室へ血液を届けます。

右心房と右心室の間には三尖弁と呼ばれる扉がありますが、右心房は扉をこじ開けることなく、右心室が動くことによって乳頭筋につながった腱索が三尖弁を操り人形のように引っ張り、三尖弁の扉を開けます。

扉が開くことによって右心房は容易に血液を右心室に届けることができるのです。



これは、左心房から左心室への血液の流れも同じです。

肺から酸素化された血液が肺静脈から左心房へ注ぎ込まれ、僧帽弁が開かれると左心室に血液が届けられます。左心室に届けられた血液は、左心室の筋力をフルに使って、頭のテッペンから指先まで全身の隅々に血液が届けられるのです。

私たちがいつもみている血圧は、この血液が流れる様子を圧力で表現しているのですね。

いい血圧はすべてタイミング

では、全身に流れる血液の勢いは左心室の筋力がすべてなのでしょうか?

左心室のがんばりだけでは、いい血圧は生み出せないんですよね。右心房が全身の血液をキャッチし、右心室にうまく届けて、右心室がその血液を勢いをつけて肺に血液を届けます。

酸素化された血液は左心房に届けられ、タイミングよく左心室へ血液を渡します。

いいタイミング、ほどよい量の血液を受けとった左心室は、自慢の筋力で勢いをつけて、血液を全身に送り込むのです。

つまりは、餅つきのように、ほどよい量の餅米を臼に入れ、ほどよい量の水をつけ、息を合わせてタイミングよく混ぜながら、杵で勢いよく突く。心臓の中を巡る血液はすべての条件が揃った時に、美味しい餅……ではなく、いい血圧が生み出せるのです。

心臓は、4つの部屋がそれぞれの役目を果たすことで、血液の流れの勢いを作り上げてるんですね。でも、私たちがいつも見ている血圧を作るには、まだまだ秘密が隠されています。これから先もその秘密を紐解いていきたいと思います。

今回はここまで。
お付き合いありがとうございました。

プロフィール:野崎暢仁
新生会総合病院 高の原中央病院
臨床工学科 MEセンター
西日本コメディカルカテーテルミーティング(WCCM)副代表世話人
メディカセミナー『グッと身近になる「心カテ看護」~カテ出しからカテ中の介助、そして病棟帰室後まで~』など多数の講演や、専門誌『HEART NURSING』、書籍『WCCMのコメディカルによるコメディカルのための「PCIを知る。」セミナー: つねに満員・キャンセル待ちの大人気セミナーが目の前で始まる! 』など執筆も多数。