ここには12枚の『問い』が書かれたカードがあります。
ゲストが、それぞれ選んだカードに書かれた『問い』について、インタビューを通じてゆっくり考えていきます。
カードには何が書かれているか、ゲストにはわかりません。
ここでの『問い』とは、唯一の正しい答えがあるものではなく、思考を深め、さらなる問いを生んだり、生涯にわたって何度も問い直したりするような本質的なもの。
そして、ゲストの考えや価値観、人柄に触れるようなものが含まれています。
簡単に答えは出なくても、こうした考える時間自体に意味があるのかもしれません。
いま、少しだけ立ち止まって、あなたも自分や周りの人に問いかけ、想いを馳せてみませんか。
近畿地方にある総合病院の地域包括ケア病棟や循環器・腎臓内科、整形外科・脳神経外科・耳鼻科などで5年ほど勤務。2024年4月より上京し、訪問看護ステーションの看護師として働く。看護学生時代からイラスト投稿をはじめ、現在は看護師向け媒体でコラムや漫画などを担当。
小児科4年、整形外科・泌尿器科・内科系の混合病棟3年、その後、派遣で1年ほどクリニックや施設、ツアーナース、保育園などさまざまなフィールドで勤務。現在は整形外科病棟で非常勤をしながらライターとして活動して5年以上経つ。最近の楽しみは、仕事終わりのお酒と推しとまんが、それと美味しいごはんを食べること。
副業をやめるのか、絵が描けなくなるのであれば
白石:
はじめまして、今日はよろしくお願いします。ツナさんは、5年働かれていた病院を退職して、今年から東京にきて訪問看護ステーションで働きはじめたそうですね。これはどのようなきっかけがあったんでしょうか。
ツナ。:
気づいたらあっという間に5年経っていましたね。転職自体は4年目で考えていたんです。あまり詳しいことは話せないんですけど、実は病院が副業ダメなところで。私が学生のときからイラストを描いて活動していることは、上司も知っていて一部容認されていたんですけど、いよいよ病院としてはダメだと。上司や看護部長さんは「いいじゃん」と応援してくれていたんですけどね……。それで、副業をやめられそうかという話があがり、絵が描けなくなるのであれば転職を考えてもいい時期かなということで、4年目で師長さんに相談しました。こんな私の状況や気持ちを汲んでくださる師長さんだったので、いろいろと相談させてもらって、あと1年頑張るという結論になりました。
白石:
病院で副業ダメなところはまだまだ多いですよね……。それで転職を考えたタイミングで、なぜ東京で、訪問看護だったんでしょうか。
ツナ。:
これも特別、訪問看護師になりたかったわけではなく、最初は柔軟に派遣で看護師を続けようかなとも思っていたんです。だけど、ちょうどその頃にイラストでSNS発信しているなかで、知り合った訪問看護師さんがいて、「うちに見学来てみたらどう?」と誘ってくれて、見学に行ったのがきっかけですね。これまで病院という大きな組織で働いてきたので、10数人の同世代のスタッフと和気あいあいと働いてみるっていいなと思って。あとは、単純に堅苦しい書類選考や面接が嫌だったのもありますね。そのときは、もう見学と同時に面接のような形になっているし、管理者ともスタッフさんともやりとりして、本音で話せるようなフランクさもあっていいなと。
見学する前は東京で訪問看護ステーションに就職するなんて全然考えていなかったんですけど、歳の離れた姉が東京で長年看護師していたこともあって、東京に住んでみるのもいいなと思うようになって、もうそのまま見学の時点で入職を決めました。姉の存在も大きかったと思います。東京に行く、暮らす、働くイメージが少しでも持てていたので。今思うと、本当に本能で動いていましたね。
はじめての地域で、はじめての訪問看護
白石:
これまで病院で働いてきて、はじめての地域で訪問看護師として働くことになって、なにかツナさんのなかでギャップってありましたか。
ツナ。:
基本、なにが起こってもあまり驚かなくなっちゃったところはありますね。だけど、指示の曖昧さというか、「発熱したときは○○を飲ませてください」とか、そうしたルールの違いみたいなところは少し驚きました。あとは、利用者さんの情報量の多さですかね。この家は何階にあって、ここはインターホンがないからノックしてから入るとか、利用者さんが出てくるのを待つのか、清拭でオムツ交換でも洗浄するボトルはここにあって、お湯はこうやって出すとか、その家と利用者さんごとの細かなルールが多くあります。
それでも、看護師として病院で働くなかである程度の型ができていたからか、訪問看護に来てギャップはありつつも、基礎編から応用編に来られた感はありましたね。
白石:
ある程度どこから覚えていったらいいか、わからないときにはどうしたらいいかみたいなことはわかっている段階かもしれないですね。
ツナ。:
そうですね、これは覚えたほうがいいな、聞いとかないといけないとか、なんとなくわかるようになっているんだと思いました。だけど、まだ比較的新しいステーションなので病院のようにきっちりとマニュアルがないぶん、直感が頼りみたいな部分は多いかもしれないですね。なので、自分で気づかないと流れていってしまう部分もあると思います。これはちょっとわかりにくいかも、自信ないかもと思ったところは積極的にメモしたり、写真を撮ったりして情報共有・相談するようにしています。まだ転職して1か月とかなんでわからないことも多いですね。
白石:
先ほど、あまり驚かなくなったという話がありましたけど、それってなにかで鍛えあげられたんでしょうか。
ツナ。:
なんでしょうね。驚かなくなったのは、病棟時代からですかね。驚いていたらきりがないというか。SNSでもいろんな人がいるんだと知って、自分が関西から東京に行くこともそんなにすごいことではないのかなと思ったというか、たぶんやってみたらそんなに大変なことではないのかなって。なんか感情であまり左右されなくなってきたのかな……。
イラストは自分自身を表現する手段、楽しみのひとつ
白石:
ツナさんは学生のときからイラストを描かれていましたよね。最初のきっかけはなんだったんですか。
ツナ。:
最初にSNSで載せたのは、携帯を持ち出した高校生の頃ですね。その頃はアニメの絵とか載せていました。看護に特化しはじめたのは、看護学生1年生の半ばか後半ぐらいです。授業中に眠くならないように、シャーペンで描いていたらくがきで。レポートとか死ぬほど字を書いていたから、なにか面白いことできないかなと思って、課題のプリントの端っこに「これ面白くね?」と思ったものを描いて、写真に撮ってSNSにあげていました。
最初は内輪で「わかるわかる」と盛り上がっていただけだったんです。それから、ある程度投稿数がたまってくると、同じ学校以外の子も見てくれるようになって、そうしたら絵だけをアップするアカウントを作ろうと思って、誕生したのがこの青い魚です。
白石:
え、青い魚?(笑)……ずっとイルカなのかなぁと思っていました。
ツナ。:
イルカじゃないんですよ(笑)。本名やあだ名からいろいろもじってイラスト用のアカウント名として「じゃあツナでいいや」と思ってつけたんですけど。
白石:
そうなんですね。ちなみに今看護師の仕事とイラストの仕事ってどんなバランスでやっているんですか。
ツナ。:
看護師が6~7割でイラストが3~4割とかですかね。訪問看護は常勤で働いていて、日勤行って夜帰ってきて描きたいなとか、締め切りが近いとなったら奮い立たせて描いて、描きたくないなと思ったら描かないこともある。常勤ですごいねって言われることあるんですけど、そうやって働く状況を作っておかないと働かんのですよ。どれだけ時間が与えられようと、やらんときはやらんのです。よく追い詰められていますね。本当にギリギリ間に合うところでいつも帳尻合わせている感覚ですね。
白石:
話を聞いていると、ツナさんにとってイラストの仕事ってそこまでウエイトは重くないというか、あくまで看護師をしつつというイメージなんでしょうか。
ツナ。:
そうですね、あくまで趣味に近いというか。イラストは自分自身を表現する手段のひとつで。仕事にしてしまうと、やっぱり描くこと自体がつらいものになってしまうという感覚はあったので。絶対にこれは1本でやっていくのはやめようと思っていましたね。今後AIとかいろいろ出てくるでしょうし、イラストの需要はどんどん減っていくだろうなと。だから楽しみのひとつであってほしいかなって。外部の刺激があってこその表現出力ですからね。思い描いたものが形として目に見えるようになったときの感動がやっぱり好きなので。イラストはおまけみたいなものかもしれないですね。
今の自分がどこで、どんな選択をしてどういう風に働こうと
白石:
なるほど。ツナさんって、SNSとかデジタルネイティブ世代って感じだと思うんですけど、いろんな情報の取り方がうまいのかな、慣れているのかなという印象もあるんですけど、その辺はどうですか。
ツナ。:
ん~どうでしょう。怖がりな世代かなとは思いますね。情報に触れすぎていてやっぱり1回で正解の道にいきたい、そのためにいろいろ調べる、いろんな人に聞いてみるみたいな雰囲気は感じます。だけど、結局はやってみないとわからないことだらけだと思って、しかもいろいろ調べて、漁って漁ってやった気になっちゃうんですよね。実際に行動している人たちは少数なのかな。だから自分では情報取るのが上手っていう感覚はあまりないですね。みんなどうしよう、どうしようって周りの友だちは言っているかもしれないです。
白石:
でも、先ほどのイラストAIの話とかもそうですけど、ツナさんは自分のことも、世の中のことも俯瞰的に見ているような飄々としたところがありますよね。
ツナ。:
そうですか。やっぱり病院で働いていたからなんでしょうね。患者さんが亡くなっていくことが多かったので、本当にこんな形で亡くなられるんや、人ってこんなに簡単に一生が終わるんやという経験が何度もあって。今の自分がどこで、どんな選択をしてどういう風に働こうと、そんなにすごいことではないのかなと思うこともありました。リアリティを持てなくなってしまったのか、リアリティを感じすぎてしまったのか、自分でもよくわからないんですけど。でもそう考えると、どこまででもやれるし、どこまでやったって誰も気にしないしって思うようになりました。
私が転職するときや東京に行くとき、「いいね!」って言ってくれる人がほとんどだったんですけど、「ずっと県内にいたのに、東京に行くの?」「訪問看護いったら病棟戻れないよ」「今より収入が落ちたらどうするの」と驚いたり心配される声も少数あったんですよ。そうやっていろいろ言う人って、やったことがない人で、次の日にはそれを言ったことすら忘れてしまう人もいると思ったんです。だから人の言うことはすべて当てにするわけじゃなくて、人からどう言われたとて、やっぱり自分にしかわからないものがあって、好きなことやったもん勝ちみたいなところがあるなと思いましたね。いろいろ心配ごとがあっても、結局受け止めるのは私であって、受け止めたとして致命傷にはならんだろって思ってきました。
白石:
「~とて」ってツナさんらしい言葉ですね。言われたことの取捨選択、その先を考えられるか、考えられないかは人によるんだろうなって。それが人生のなかでも大きい気がします。しかもその状況をツナさんは楽しんでいるのかなとも感じますね。
今後自分が生きていくうえで糧となるものがあるか
白石:
それでは、質問のカードを準備したので、こちらから好きなものを選んでください。
ツナ。:
左から7番目で。
白石:
「自分がこれだけはやりたくないことはなんですか」ですね。
ツナ。:
え~なんだろう。不本意な職場で仕事を続けること、嫌だなと思いながら働くこと、過ごすことですかね。
白石:
ツナさんにとって不本意とは、たとえばどんな場面があるんでしょうか。
ツナ。:
忙しすぎる現場とか、人間関係が悪い、これ間違っているよなと違和感を抱えながら働かなきゃいけないとか……。
白石:
そういう3点セットがあるんですね。病院とかで働いているとわりと遭遇しそうな事柄かなとも思ったんですけど、これまでどうしていたんですか。
ツナ。:
100%ありますよね、アンハッピーセットみたいな。そのなかでも自分のなかの許容範囲だったのかなとは思います。ただ、端的にそのアンハッピーセットだから嫌ってなるわけではなくて、その状態でも自分にとってなにかメリットがあるなら続けると思うんです。めちゃくちゃ忙しいけど、ここの人たちが好き、人間関係がいいわけではないけれど、疲弊しすぎない環境があるとか、プリセプターやるまでは頑張るとか……。
自分が今後生きていくうえで糧になるものがあるんだったら、それが自分の体力でまかないきれるものだったら続けます。あとは自分を育ててくれた家族や、お世話になった人たちに顔向けできなくなるようなことはしたくないですね。今の自分の生き方や考え方は、いろんな人たちに出会ってお世話になったからこそ辿り着いたものだと思うので。
白石:
ツナさんにとっては自分の糧となるものだって、はっきりわかるものですか。
ツナ。:
私がわかったかどうかの自信はあまりないですけど、4年目で辞めたいと言ったときに「あと1年頑張ってほしい」と言われて頑張れたのは、リーダー業務のようにその年数でないと経験できないものがあったからですね。職場に変な人はいましたけど人間関係は良いほうで、だけど謎の疲労が蓄積するようになって寝ても疲れが取れない、頭痛が続いたり自律神経もめちゃくちゃだったんですよね。だけど、メンバーとして働くだけではなくて、リーダー業務が少しできるようになると、患者さんのことだけでなく病棟全体の視点で考えられるようになったことは大きいなと思っていて。自分でもこんなことができるようになったんだって、自覚するタイミングが何度かあって、それはいい経験だったなと、自分のためになったなという感覚でした。
それでも、やっぱり見通しが立たない不安やつらさはありますよね。これは自分が半年続けたとて変わらないんだろうな、自分が動けるようになったらなにかわかることなのかっていうのは、最初の1~3カ月くらいでわかると思うんです。だからやっぱりやってみないとわからないって話になるんですよね。自分が失敗しまくっているというか、失敗はするもんやと思っているので。後輩にも迷っていたら「やってみ」「行っておいで」って言いますね。「失敗しても大丈夫」「帰ってきたらいいから」って。
そもそも失敗と思わない、良かったなと思えることがあったからこその合理化
白石:
ツナさんの場合、なにをもって失敗とするかっていうのもありそうですね。
ツナ。:
そうですよね。そもそも失敗って思わないようになりました。合理化の天才やと思います。なにも後悔はない、今となっては。その瞬間、瞬間には死ぬほど不安になるし、後悔もしたと思うんですけど。少し落ち着くと、やっぱりあれは意味があったのかもしれないと、つらいなかでもたぶんこれは筋トレみたいな時期だから、いつかこの伏線は回収されると思っていました。一度合理化が上手になると、ずいぶん楽になりますよ。
私、この間チャリのカギを2つ同時になくしたんですよ。あれだけ買ったときにきちんと保管しなきゃと思っていたのに。だから最近は通勤も徒歩になって、30分歩いて通っていました。その間に職場の人とゆっくりしゃべる時間があったり、街を歩いたことで道が覚えられるようになったり……。自転車のカギをなくしたダメージはあったんですけど、「たぶん今なくすタイミング、なくすべきタイミングやったんや」って思いましたね。なくしてなかったら自転車で事故にあっていたかもしれないなとか。
白石:
ええ、それは面白い。ツナさんはレジリエンス(復元力・回復力)が高い人なのかもしれないですね。なにか失敗して落ち込んだとしても這い上がる力が強いというか。
ツナ。:
そこまで落ちているとすら思っていないかもしれないですね。いろいろ間違いは起こしている、周りにも迷惑はかけていると思うんですけど。
白石:
それって元々の性格もそんな感じなんですか。
ツナ。:
いや、元々の性格は周りのことをいろいろ気にして、悩みに悩みぬく、優柔不断なタイプだったと思います。これ詳細は言えないんですけど、看護学生2年目くらいのときに、いろいろ悩んだ時期があって。そのときに本当に支えてくれる人っているし、本気で怒ってくれたり、心配してくれたりした友人や家族がいて。同時に、自分の殻が割れたというか、いい意味でどうでもよくなった部分もあったんですよね。悩んでいる間にも周りの人の時間は進んでいくし、自分はこんなに悩んでいても周りはいつもの日常で。
そこでどん底まで落ちて、だけどいろいろと得られたものが多かったと思います。人の言うことってそこまで気にしなくていいし、やらないとわからないことってたくさんあるし、自分のことを大切にしてくれる人を大切にしたらいいと。つらいことって避けて通るばかりじゃないかもしれない、自分に起こったことがなにか意味があるものなのかもしれないと思うようになって。そこから周りの言葉よりも、自分の直感で動くようになったんですよね。ん~言語化難しいですが。
白石:
その出来事って、その瞬間に殻が割れた感じなのか、時間をかけていった感じなんでしょうか。
ツナ。:
時間をかけてですね。一瞬トラウマみたいになりかけたんですけど、よくよく考えてみたら、あれは経験してよかったなと今になっては思えますね。良かったなと思えることがあったからこその合理化やと思うんです。神は我を見捨てなかったというか。
白石:
なるほど、今日ところどころ名言出てきますね(笑)。
一度失敗したらもうその先はない、なんてことはない
白石:
それでは最後の質問です。「あなたが後輩の看護師に伝えたいことはなんですか」です。
ツナ。:
これまで話してきたことのまとめみたいになっちゃいますけど、なにを言われても気にしない、いや気にしたほうがいいこともあるんですけど。そのなかでも自分のやりたいことやってくださいという気持ちが一番ですね。つらいことしんどいことがあって、失敗したくないって思うかもしれないけど、大丈夫だからいっておいでって。これは身近な後輩にも言います。一度失敗したらもうその先はない、と思っている子ばかりなので。そんなことはない、大丈夫やって。
先のこと、考えすぎなくていいんですよ。致命傷にはならないから大丈夫やってスタンスさえ持っていてくれたら、周りになにか言われてどうしようとか、それはもうどうしようもないんですよね、なにをしていても言われるし。いろいろ言われるかもしれないけど、それってその人の主観じゃないですか。その人にはそう見えたし、その言葉をその人がその場で選んだだけであって。それをそのまま受け取らんとき、って思っていれば自分のこと守れるじゃないですか。
白石:
なんだかアドラー心理学とかの課題の分離、怒りはその人が自分で選択しているみたいな話ですね。それを受け入れるか、受け入れないかは自分で決めるって感じですか。
ツナ。:
そうですね。自我という名のバリアを、みんなもっとバリアを張ったらいいと思います。相手からの言葉をすべて受け取らなくていい、もっと取捨選択したらいいと。たとえば、私のイメージでは相手と自分とのスペースを少し空けるんです。相手からなにか厳しく注意されたとしても、ちょっと1回そのスペースに置いておいて、事実だけもらっておいて、あとはもうそのときの怖い口調や表情とかはどうでもいい。自分は外側から見たらそう見られているんだって、事実だけ最低限もらっておいて。あ……たぶん、それが糧になるんですよね。それで相手の言葉を丸くしてから、自分のポッケに入れればいいのかなって。
白石:
かわいい表現が出ましたね。事実と感情をわける、そういうクッションをうまく使いこなしていけるといいですよね。相手が怒っているのは、その人が怒りという感情を選択しているからで、こちらもその感情に合わせたり、飲み込まれたりする必要はないって、私も思います。
ツナ。:
ありがとうございます。今日は一番自分のなかで言語化できた!と思ったのと同時に、こんなにも自分は語彙力がなかったのかと思ったりして。難しいですね……インタビュアーさんはすごいです。私なんか、最終的にもう笑かせればいい、笑かしたもん勝ちやと思っていたので(笑)。
白石:
(笑)。インタビューって普段あまり考えたり、言葉にしてこなかったりしたけど、しゃべり出したら実は自分にこんな考えがあったんだみたいな話が聞けるとすごく嬉しいです。今日もツナさんのお話とても面白かったです。ありがとうございました!
インタビュアー・白石弓夏さんの著書
私もエールをもらった10人のストーリー
今悩んでいるあなたが元気になりますように
デジタルアートや3Dプリンタを看護に活用したり、看護をとおして一生の出会いをつかみ取ったり、在宅のほうが担い手が少ないから訪問看護に従事したり、苦しかった1年目のときの自分を手助けできるようにズルカンを刊行したり、医療と企業の橋渡しをするためにスタートアップに就職したり、悩みながらも新生児集中ケア認定看護師の道をまっすぐ進んだり、ロリータファッションモデルとして第一線で活躍しながら看護師を続けたり、目的に応じて疫学研究者・保健師・看護師のカードをきったり、社会人になってから「あっ、精神科の看護師になろう」と思い立ったり……。
さまざまな形・場所で働く看護師に「看護観」についてインタビューしようと思ったら、もっと大事なことを話してくれた。看護への向き合い方は十人十色。これだけの仲間がいるんだから、きっと未来は良くなる。「このままでいいのかな?」と悩んだときこそ、本書を開いてほしい。
目次
◆1章 クリエイティブな選択肢を持つこと 吉岡純希
◆2章 大きな出会いをつかみ取ること 小浜さつき
◆3章 現実的な選択肢をいくつも持つこと 落合実
◆4章 普通の看護師であること 中山有香里
◆5章 ものごとの本質をとらえる努力をすること 中村実穂
◆6章 この道でいくと決めること 小堤恵梨
◆7章 好きなことも続けていくこと 青木美沙子
◆8章 フラットに看護をとらえること 岡田悠偉人
◆9章 自分自身を、人生や仕事を見つめ直すこと 芝山友実
◆10章 すこしでも前を向くきっかけを作ること 白石弓夏
発行:2020年12月
サイズ:A5判 192頁
価格:1,980円(税込)
ISBN:978-4-8404-7271-5
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