しゅがー
手術室5年目のオペナース。左側頭葉神経膠腫(グレード3)の治療中。2021年11月に覚醒下開頭腫瘍摘出術を受けました。術後、職場復帰を目指して失語症のリハビリ中です。
インスタグラム @sugar.openurse


「脳腫瘍の疑いです」

医師から伝えられた言葉に“……まさか、私が?”と驚きました。

私はオペナースです。最初におかしいなと思ったのは、言われた言葉の意味がたまにわからなくなることでした。術中、器械出しをするときに、医師から何を言われているかがわからないのです。「ペアン?」「コッヘル?」何か言われているのはわかります。でも、言葉の意味がわからないのです。

言葉が出にくいこともありました。局所麻酔の手術を担当しており、患者さんが帰室する際に車いすにご案内していました。

「ベッドから車いすに移動しましょう」

声を掛けるときのいつものセリフ、その「車いす」が、わからなくなったのです。車いすは目の前にあるのに、「車いす」の言葉がどうしても出てこなかったのです。“なんだか最近、物忘れが多いな”と思っていました。

“最近耳が聞こえにくいなぁ”とも思っていました。特に右耳の閉塞感があり、耳鼻咽喉科を受診。原因は不明で、ストレスかもしれないと言われました。

「最近、耳が聞こえにくいんですよ~」

手術室スタッフと雑談をしているとき、一度MRI を撮ってみたら? と、先生が検査をオーダーしてくださいました。すると、撮影後に放射線技師さんから、

「気になったところがあったので、頭のほうまで撮影しました。今から脳外科に見てもらったほうがいいです」

そう言われました。
脳外科を受診すると、パソコンの画面にはMRI 画像が映し出されていました。頭の中に、大きな影がはっきりと見えています。

「左側頭葉の脳腫瘍の疑いで、これは、手術前提になりそうです。設備が整っている病院に紹介します」

先生の説明を聞きながら、“脳の手術って痛いのかな……時間もかかりそう……”と、なんとなく実感がわかず、そのまま診察室を後にしました。



オペナースしゅがーの脳腫瘍日記#001

MRI画像。本来は耳の単純MRIのオーダーでしたが、放射線技師さんが機転をきかせてくれ、頭部まで撮影してくださったそうです。その画像で脳腫瘍が発覚しました。放射線技師さんに、後日お礼に行きました。見つけてくださって、本当にありがとうございました!


本コラムは『OPE NURSING(オペナーシング)』2022年9号からの再掲載です。



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