しゅがー
手術室5年目のオペナース。左側頭葉神経膠腫(グレード3)の治療中。2021年11月に覚醒下開頭腫瘍摘出術を受けました。術後、職場復帰を目指して失語症のリハビリ中です。
インスタグラム @sugar.openurse


「しゅがーさーん、わかりますか? 今、手術室ですよー!」

はっと気がつくと、私はビニールのようなものに囲まれていました。オペナースさんが手術室入室時に預けていたメガネをかけてくれて視界が開け、私はドレープの下にいるのだとわかりました。

上を見ると、吸引管のチューブのようなものが見えました。挿入されていたであろうラリンゲルマスクはすでに抜去されており、すぐに声を出して返事ができました。

今思うと、抜去時は口周りがよだれで汚くなっていてもおかしくないのに、私の口周りはとてもキレイな状態でした。もしかしたら、覚醒前に麻酔科医の先生かオペナースさんが清拭をしてくれたのかもしれません。

術中は、脳外科の先生や担当の言語聴覚士さんがそばにいてくれて、言語タスクを行ったり、雑談をしたりしていました。そうやって術中に常にしゃべっていることが、言語の評価としてとても大事なんだそうです。

ただ、手術は長時間にわたりますし、もちろん水も飲めません……。それがとても大変でした。そんなときにオペナースさんが、身体は痛くないか、喉が渇いていないかなど、優しく声を掛けてくれました。長時間同じ体勢なので、途中で背抜きをしてくれたり、喉が渇いたら濡らしたガーゼで口腔内を潤わせてくれたりして、本当に助かりました。

また、私はドレープの下にいるため時計が見られず、進捗状況もわからないので、たまに時間を教えてもらっていました。“あとどのくらいで終わるのかなぁ……、思ったより悪くなってたから時間がかかっているのかなぁ……”と、ソワソワしていたら、ついに執刀医の先生から待っていた言葉が!

「お疲れさまです。あとは頭を閉じるので、終わったらまた声を掛けますね」

“手術が終わったらまずはお水が飲みたいなぁ。あと、のど飴も……”なんて考えながら、目をつぶりました。



オペナースしゅがーの脳腫瘍日記#007

私は視力がとても悪いので、入室時にオペナースさんにメガネを預けていました。体位は右側臥位です。術中、術野の邪魔にならないように、執刀医の先生と相談して左側のつるを外しておきました。


本コラムは『OPE NURSING(オペナーシング)』2023年3月号からの再掲載です。



オペナーシング2023年3月号

OPE NURSING(オペナーシング)2023年3月号
[特集]
【4月に向けて!先輩力UP↑シリーズ②】
“後輩からのありがち質問”集めました!
外回り看護の知識
説明上手になれるブック


≪術前編≫
■1 術前の情報収集~手術室の準備
術前の情報収集ではどのように情報を集めるのですか? それをどのようにアセスメントするのですか? / 不安な患者さんに対してどのような声掛けをしてよいかわかりません。どのような声掛けをするとよいでしょうか? ほか

≪術中編≫
■2 麻酔の介助
挿管前に患者さんに酸素をしばらく吸入させているのはなぜですか? また喉頭鏡を渡したときに、喉を押すように指示があることがありますが、どういう目的ですか? / 麻酔導入時にどのような準備をしておくべきですか? ほか
■3 体温管理
手術開始後、患者さんの腕を触ってみたら温かいので加温しなくてよいですか? / 体温管理のために術前訪問で気をつけることや何かできることはありますか? ほか
■4 輸液・輸血
術中、輸液量が少ないってどのように判断しているのですか? / 輸液が多いとどうしてダメなのですか? 脱水よりはいいのでは? ほか

≪術後編≫
■5 情報の提供・術後訪問
病棟への申し送りのときに「病棟看護師がメモするのってそこなの?」って思うんですけど、要点を押さえた申し送りってどんな内容ですか? / 術後訪問って、いつごろ行けばいいんですか? 行くタイミングにいつも迷います。 ほか
■6 術後疼痛管理
術後疼痛はどのような痛みですか? どうして適切な管理が必要なのですか? / 術後疼痛管理にはどのような方法がありますか? それぞれの方法にはどんな特徴がありますか? ほか

▼詳しくはこちらから