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約1カ月間の抗がん剤・放射線治療も終わり、ついに退院しました。入院中はほぼ毎日失語症のリハビリに通い、術後よりは改善してきたと思います。まだ会話中に単語がでてこなかったり、数字を間違えてしまったり……。そんなこともありますが“普通に会話ができるくらい”になりました。しかし、私は“普通に会話ができるくらい”なので、見た目では障害があることがわかりません。きっともし腕にギプスが巻かれていたら「もしかしたら怪我をしたのかな?」とわかると思うのですが、私の場合は見た目はどう見ても健常人。リハビリの成果はとても喜ばしいことですが、日常生活について困ったこともでてきました……。例えば、スーパーのレジ。店内は常にBGM がかかっており、さらに買い物客の話し声があり、いろいろな音が聞こえます。リハビリ中は静かな場所で1対1だったから会話ができていましたが、スーパーではレジの店員さんが何か言っていても理解ができませんでした。何度も聞き直しましたが、どうしてもわかりません。じっと怪訝そうに見られて、心がボロボロに……。焦れば焦るほど、言葉がでなくなりました。そこで、対策として「失語症があります。ゆっくり話してください。単語がでないことがあります」と書いたカードを持ち歩くようになりました。
“手術や治療が終われば、普段通りの生活が戻ってくる!”そう信じていましたが、あっという間に夢は破れました……。私が手術室看護師に復帰するには、言葉の壁を乗り越えなくてはいけません。しばらくはリハビリが必要だと痛切に感じました。“いくら失敗しても、笑われてもいいから、できるだけたくさん喋っていこう!”と心に決めました。
退院前にOT(作業療法士)さんと一緒に料理実習をしました。「レシピを頭の中で覚えて調理する」が難しかったです。すぐに忘れてしまうので……。でも、こまめにメモを見ればできることが判明! ちゃんと対策を考えれば、日常生活でも料理はできそうです!
本コラムは『OPE NURSING(オペナーシング)』2023年7月号からの再掲載です。
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