本企画では書籍『2024-2025 呼吸療法認定士“合格チャレンジ”100日ドリル パワーアップ版』(詳しくはこちら)に収載されている問題から1問を取り上げます。今回の問題は……





Q

肺疾患の薬物療法について、正しい組み合わせを選べ
【問題レベル:★★★】

①ピルフェニドンなどの抗線維化薬は重症の特発性肺線維症が適応である
②ピルフェニドンはトリプルチロシンキナーゼ阻害薬である
③特発性肺線維症の第一選択薬は抗線維化薬である
④ニンテダニブの副作用として、消化器疾患や肝機能障害がある
⑤ピルフェニドンの作用機序として、線維芽細胞増殖抑制作用がある

組み合わせ
a.①②③
b.①②⑤
c.①④⑤
d.②③④
e.③④⑤




正解はこちら











[ e ]

①×→重症の特発性肺線維症は適応とならないです。すでに線維化が完成された間質には効果が乏しいため、軽傷から中等症で呼吸機能低下が軽度の特発性肺線維症が適応となります。
②×→トリプルチロシンキナーゼ阻害薬であるのはニンテダニブであり、特発性肺線維症を適応疾患とする世界初の分子標的薬で、わが国では2015 年に承認されています。チロシンキナーゼ阻害薬の作用により努力肺活量(FCV)低下率を有意に抑制します。また近年、抗線維化作用だけでなく、抗腫瘍効果も示すため肺癌に対する分子標的薬としても注目されています。
③〇→ピルフェニドンは特発性肺線維症を適応疾患とする世界初の抗線維化薬です。2008年にわが国でも承認され使用可能となっています。各種サイトカインや増悪因子を調整し、抗炎症作用とともに特発性肺線維症の病態の中心と考えられている線維化自体を抑制することで、複合的な効果を発揮すると考えられています。
④〇→主な副作用として消化管症状(下痢、悪心、嘔吐)、肝機能障害、間質性肺炎、血栓塞栓症が挙げられます。
⑤〇→主な副作用として消化管症状(悪心、嘔吐)、光線過敏症、肝機能障害、眠気、めまいが挙げられます。

[プラスαで覚えてね]
特発性肺線維症は安定期、急性増悪時ともに標準的な治療方針は確立されていません。主な治療法を表6にまとめています。
ほとんど進行しない場合や高齢者など副作用のリスクが高い場合、重篤な合併症が存在する場合などでは無治療(経過観察)とすることもあります。



▶『2024-2025 呼吸療法認定士“合格チャレンジ”100日ドリル パワーアップ版』P176-Q218より



【執筆】
八木葉奈子
独立行政法人国立病院機構 福岡東医療センターICU看護師/
3学会合同呼吸療法認定士

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目次


【プロローグ 呼吸療法認定士合格のヒケツ】

【1章 呼吸療法総論】
■問題編 Q1-10
■解説編
1 呼吸療法の歴史/2 公衆衛生/3 生命倫理/4 関連法規と保険診療

【2章 呼吸不全の病態・解剖生理】
■問題編 Q11-55
■解説編
1 胸郭と胸腔の解剖/2 気管・気管支の解剖/3 呼吸に関するリンパ系/4 呼吸に関する神経系/5 呼吸筋の解剖/6 呼吸とコンプライアンス/7 呼吸とガス交換の解剖生理/8 呼吸と換気血流比/9 動脈血酸素含量/10 呼吸中枢と調節の解剖/11 肺循環/12 換気のメカニクス/13 気道の生理学/14 気管・気管支の解剖/15 肺胞に関する解剖 COLUMN/16 呼吸不全の病態と治療/17 COPD/18 気管支喘息/19 肺炎/20 肺結核/21 びまん性肺疾患/22 ARDS COLUMN/23 肺がん/24 気胸/25 肺血栓塞栓症/26 急性心不全/27 睡眠時無呼吸症候群/28 胸部外傷 COLUMN

【3章 血液ガス・肺機能検査】
■問題編 Q56-86
■解説編
1 肺の解剖生理/2 低酸素血症の原因/3 A-aDO2と肺胞低換気/4 低酸素血症と臨床/5 低酸素血症と酸素解離曲線/6 酸素(エネルギー)の需要と供給/7 血液ガスの正常値/8 酸素解離曲線の理解/9 ヘモグロビン緩衝系/10 酸塩基平衡/11 アニオンギャップ/12 酸塩基平衡と代償反応/13 血液ガスの臨床 COLUMN/14 肺機能検査の基礎知識/15 肺機能検査の測定結果/16 機能的残気量(FRC)検査/17 気管支喘息の検査/18 N2単一呼出曲線/19 拡散能検査/20 各種検査と得られる情報/21 コンプライアンス検査/22 COPDの病態と検査/23 肺機能検査の臨床 COLUMN

【4章 人工呼吸】
■問題編 Q87-146
■解説編
1 人工呼吸器の基本構造/2 アラーム・安全管理/3 医療ガス・ボンベ/4 気道確保、気管挿管、気管切開/5 気管チューブ・気管切開チューブ、カフ圧/6 用手換気装置/7 加温加湿 COLUMN/8 人工呼吸の適応と特徴/9 換気様式とモード・設定/10 グラフィックモニター/11 症例から考える COLUMN/12 パルスオキシメトリー・カプノメトリー・経皮ガスモニター COLUMN/13 循環動態のモニタリング:動脈圧/14 循環動態のモニタリング:肺動脈カテーテル/15 循環動態のモニタリング:心電図 COLUMN/16 人工呼吸合併症/17 術後合併症/18 水分・栄養管理/19 ウィーニング/20 全身管理 COLUMN

【5章 酸素療法・NPPV】
■問題編 Q147-186
■解説編
1 酸素投与の方法・器具・モニター/2 高気圧酸素療法/3 ハイフローセラピー(ネーザルハイフロー)/4 在宅酸素療法(HOT)/5 在宅人工呼吸(在宅NPPV、在宅TPPV)/6 酸素療法に関わる保険適用 COLUMN/7 NPPVの適応/8 NPPVの効果/9 NPPVの設定方法、しくみ/10 NPPVの管理 COLUMN

【6章 薬物療法】
■問題編 Q187-220
■解説編
1 エアロゾル粒子/2 吸入薬剤の分布/3 ネブライザーの種類と特徴/4 スペーサーの使用/5 pMDI/6 DPI/7 SMI/8 吸入薬の種類/9 LAMA/10 LABA/11 ICS(吸入ステロイド薬)治療/12 喘息治療ステップ/13 安定期COPD の治療/14 ステロイド薬の副作用/15 pMDIの利点 COLUMN/16 気管支拡張薬/17 鎮咳薬/18 去痰薬/19 副腎皮質ステロイド薬/20 抗アレルギー薬/21 生物学的製剤/22 抗微生物薬/23 抗菌薬/24 肺疾患の薬物療法 COLUMN

【7章 呼吸リハビリテーション】
■問題編 Q221-240
■解説編
1 呼吸リハビリテーションの目的/2 呼吸リハビリテーションの実施体制/3 患者選択/4 呼吸リハビリテーションを実施する目安/5 呼吸リハビリテーションの評価/6 呼吸リハビリテーションのエビデンス/7 呼吸困難の評価/8 コンディショニング/9 口すぼめ呼吸/10 6分間歩行試験とシャトルウォーキングテスト/11 運動処方/12 パニックコントロール/13 身体障害者手帳/14 集中治療における早期リハビリテーション/15 ABCDEバンドル COLUMN

【8章 新生児・小児の呼吸管理】
■問題編 Q241-255
■解説編
1 胎児期・出生時の循環と呼吸/2 肺サーファクタント/3 新生児の呼吸と管理/4 新生児の出生時対応/5 乳児の呼吸の特徴/6 小児の呼吸の特徴と管理 COLUMN

・苦手問題をキーワードから検索できる逆引きINDEX
・早調べ略語集
・資料ダウンロード方法


発行:2024年6月
サイズ:B5判 240頁
価格:4,180円(税込)
ISBN:978-4-8404-8491-6
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