★本企画では書籍『2026-2027 呼吸療法認定士“合格チャレンジ”100日ドリル パワーアップ版』に収載されている問題から1問を取り上げます。
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今回の問題は……





Q

【症例】前夜COPD増悪にて挿管人工呼吸器管理中の80歳代男性。現在の設定は P-A/C、FIO2 =40%、呼吸回数12回、実測の分時換気量は6.1L/minである。 RASS-4、尿量は1,000mL/dayで経過。今朝の血液ガスのデータから最も考えられるものはどれか
【問題レベル:★★★】


(タップして拡大↑)

a.慢性の代謝代償が働き、混合性アシドーシスの可能性も示唆される
b.慢性の代謝代償は正常であり、呼吸性アシドーシスのみが問題
c.急性の代謝代償が働き、混合性アシドーシスの可能性も示唆される
d.急性の代謝代償は正常であり、呼吸性アシドーシスのみが問題
e.過鎮静のため代謝代償が抑制され、呼吸性アシドーシスのみが問題




正解はこちら











[ a ]

• pH=7.145(アシデミア)
• PaCO2は108と高値であり、HCO3も36と高値。患者背景からもアシドーシスの原因は呼吸性因子であるのでこちらがprimaryといえます(呼吸性アシドーシス)。RASSは-4であるため自発呼吸もなく過鎮静の状態です。
• 代償反応は適切か?→HCO3>30mEq/Lと高値(代償限界を超えている)
これはCOPDを背景として高二酸化炭素血症に慢性的に曝露されていた可能性が高く、慢性の代謝代償の可能性を考えます。
⊿HCO3=0.3×(PaCO2-40)=0.3×(108-40)=20.4
つまり、20.4mEq/L代償されてHCO3が増えているはずです。
実測のHCO3=36mEq/Lと代償式によるHCO3(→24+20.4=44.4mmHg)を比較すると、実際の代償反応が乏しいため①PaCO2の値がいつもより高値か、②代謝性アシドーシスを合併している可能性が示唆されます。
• 過鎮静ですが尿量は保たれています。隠れた代謝性アシドーシスに注意しながら、分時換気量を上げることで徐々に呼吸性アシドーシスからベイルアウトし酸素化能も改善する可能性が示唆されます。

[プラスαで覚えてね]
この問題では呼吸性アシドーシスを主体とし人工呼吸器管理を行いましたが、幸い腎機能が保たれていたため代償反応も継続しました。ここに急性・慢性腎不全を伴うとさらに代償の状況も思わしくないものになります。
代謝性アシドーシスの場合を考えてみましょう。過鎮静で人工呼吸器管理されていれば、おそらく「呼吸代償」は働かないでしょう。酸塩基平衡を考察する際は全体的な状況をみることも少しヒントになります。

酸塩基平衡異常について表1図1に示します。

【表1】酸塩基平衡異常における代償性変化と限界(タップして拡大↓)



【図1】酸塩基平衡異常における評価手順 (タップして拡大↑)

[プラスαで覚えてね]
• AG開大性の代謝性アシドーシス
→ 乳酸アシドーシス、糖尿病性ケトアシドーシス、末期腎不全など
• AG正常、非開大性(高クロール性)代謝性アシドーシス
→ 尿細管アシドーシス、保存期腎不全、下痢など


▶『2026-2027 呼吸療法認定士“合格チャレンジ”100日ドリル パワーアップ版』P72-Q71より



【執筆】
真鍋徹也
公益社団法人福岡医療団千鳥橋病院 臨床工学科 主任/3学会合同呼吸療法認定士

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