臨床でひと通りの経験を積んでこれからのキャリアプランについて考えている看護師のみなさんに向けて、これまで臨床11年の経験に加えて、YouTubeでの性教育の発信、企業研修講師などフリーランスとしてもさまざまな活動を展開されているマッキーさんの「ヒントになるお話」をお届けします。




こんにちは看護師マッキーです。

突然ですが看護師のみなさん、最近眠れないということはありませんか? 急に涙がこぼれ落ちていませんか? もしあれば、それは身体からのSOSのサインです。気のせいだと抑え込まず、一度立ち止まってください。

今回は、ついついがんばり過ぎてしまう看護師さんにぜひ知っておいていただきたいと思うことをお話しします。

頭より正直なのは身体

学生時代の解剖生理学の講義では、脳がすべての中枢であると習いましたが、いまはいろいろな研究が進み、脳よりも身体のほうが情報を把握しているという結果が出ています。虫の知らせではありませんが、看護師である私たちは身体からのSOSサインについて考えるだけではなく感じることができるのです。実際に、私も身体からのSOSサインを感じたことがありました。

私が電車を途中下車して涙が止まらなくなった理由

いまから3年前、看護師国家試験対策予備校に転職をしました。それ以前に日々YouTubeで訓練を重ねた結果、私は話すことを仕事にしたいと思うようになったのです。またそのときに勤めていた訪問看護ステーションよりも大きな年収アップも見込めたため思い切って転職をしました。

予備校講師の経験はゼロでしたので、半年から1年かけて一人前になる予定でした。しかし、事情があり新人の私がすぐに解剖学をはじめ複数の講義を担当することになりました。もともと学生時代から解剖学が大好きだったことと、話すことをメインに仕事ができることにワクワクしていました。しかし、現実はそんなに甘くありませんでした。

予備校の仕事は夏期講習だけでなく、オンライン収録の準備があり、また看護学校でも対面で生徒さんに小児看護学概論や解剖生理学の講義を担当していました。そのため都内から茨城や栃木などへ移動することもありました。

講義は話すだけではなく事前準備と組み立てに時間がかかります。深夜まで準備をして翌朝は5時台に出発するため寝不足が続き、些細なことでイライラして子どもたちに当たっていました。このときふと、私が予備校講師に転職したのは自分の夢を叶えるためと年収を上げるためであって、子どもたちに怒りをぶつけるためではないのに……という大きな喪失感を覚えました。しかし、そこで立ち止まることはできませんでした。

そんな日々を過ごしていた矢先、ある大きな仕事を依頼されました。いまでさえいっぱいいっぱいなのに、その仕事を引き受けたら自分はどうなってしまうのだろうと、心臓が大きく震えました。講義終了後、仕事の説明を受けるために電車で事務所に戻っていたところ、これまで感じたことがない身体の反応が現れました。

下車駅が近づくにつれドキドキと動悸がしてくるのです。呼吸は浅く早く過呼吸気味になり、指先が冷たくなっていました。自分でも「あっ、危ない」と思い途中下車をしました。落ち着かせるためにホームの椅子に座ると、途端に涙が溢れ出し、数分間、ただ呆然と流れ落ちる涙の温かさを頬で感じていました。

これまでの人生のなかで、このような涙の流し方をしたことは一度もありませんでした。自分はどうしてしまったのだろうと不安に思いましたが、すぐにこれは身体からのSOSのサインだとわかりました。

このままではいけない、本当はどうしたいのか、どうなりたいのかを一度立ち止まって考えることにしました。その結果、受け持たせていただいている講義量の調整を依頼することにしました。幾度と話し合いを行いましたが、それは叶うことなく、入職してたった数カ月で退職することとなりました。

もちろん悔しかったです。自分は能力がないんじゃないか、我慢が足りないんじゃないかとしばしば思いました。しかし、身体からのSOSサインは自分の人生において大切なことを教えてくれるサインだと知ってしまうと目を背けられなくなりました。

この大きな挫折のお陰で独立することになり、このように連載させていただく機会を頂戴できました。いま振り返ると、いい学びでした。

身体からのSOSサインを観察しよう

キャリアを考える上で、私のように数カ月で退職をすることは一般的には恥ずかしいことだといわれます。職務経歴書を見ると、この人は我慢ができない人、協調性がない人とみなされます。しかし、そこから挽回する方法はいくらでもあることをみなさんに知っていただきたいです。

キャリア選択において失敗は付きものです。常に正解を選び続けることはできません。不正解を選んだときこそ、身体からのSOSサインに蓋をし続けることがないよう、本当にこれでいいのか? と一度立ち止まることが必要です。

看護師として、一般的なキャリア選択をしていない私から看護師さんたちにぜひ知っていただきたいお話でした。




看護師マッキー

1985年生まれ、看護師。日本メンズヘルス医学会所属。約11年間看護師として勤務(小児科10年、泌尿器科6年)し、独立。看護師国家試験対策予備校や都内看護学校で教鞭をとる傍らYouTuber、性教育講師としても活動。自らが運営する「看護師マッキー【メンズヘルス専門チャンネル】」は登録者数10.2万人、5000万再生を超える(2024年1月現在)。主な著書として「メンズヘルスナースがこっそり教える教養としての射精」(ライフサイエンス出版)。産経新聞をはじめメディア多数出演。
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