臨床でひと通りの経験を積んでこれからのキャリアプランについて考えている看護師のみなさんに向けて、これまで臨床11年の経験に加えて、YouTubeでの性教育の発信、企業研修講師などフリーランスとしてもさまざまな活動を展開されているマッキーさんの「ヒントになるお話」をお届けします。




\28歳ナース/
「マッキーさん、転職を考えています。どうやって探したらいいでしょうか?」

\マッキー/
「終わりを決めて探す方法はいかがでしょうか? 人の3倍短期間でスキルが身に付き、キャリアを戦略的に構築できますよ。」




こんにちは看護師マッキーです。

今日みなさんにお伝えをしたいのは「終わりを決めて転職先を探す」という方法です。「終わり」というのは「そこで何年働くか」ということです。一般的に、転職するときは採用条件を念入りに調べますが、退職するときのことまでは考えません。終わりを決めて転職すれば、そこでの在職期間に人の3倍スキルが身に付くと思っていますので、参考になれば幸いです。

終わりを決めてから転職するために見つけてほしいもの

みなさんは「あの人みたいになりたいな」と思うような、ロールモデルにしている看護師さんはいますか? できれば会話ができる範囲に1人いるといいのですが、いない場合はSNS上でもかまいません。ロールモデルがいると3年後や5年後の自分の姿を想像しやすくなります。想像できたらこっちのもの。その人に近づくために、いまの自分に何が必要なんだろう?と考えてみてください。

私が新卒1年目のときにロールモデルとしたのは、40代のスタッフナースの看護師さんでした。その方は、病院、訪問看護、企業の保健室、献血バス、保育園などで働いた経験をお持ちでした。いまでは転職は当たり前ですが、少し前はそれほど活発ではありませんでした。転職とは悪であり、職場にいられない人が逃げることだと思っていました(この後、私はさんざん転職を繰り返しているのですがw)。

ロールモデルのようになりたいと思ったら、退職しようと決断できた

この先輩は、とにかく知識の引き出しが豊富で、いつの間にか病棟内で自然と相談役になっていました。特に、退院指導に関してはピカイチで、私も経管栄養を退院後も続ける子どもへの家族指導では大変お世話になりました。

この先輩のようになりたいなと思ったら、いまの病院は長くて5年いれば十分。その後は専門看護師のような深い知識ではなく、クリニックや訪問看護へ転職し、幅広い知識を獲得しようと自然と道が見えてきました。そこから派生して、私はいままで20種類以上の仕事を経験することができました。

終わりを考えて転職する時に考えて欲しいこと

もし、みなさんが終わりを考えて転職しようと思ったときにしていただきたいのは、欲しいスキル・知識を得るにはどれくらいの期間が必要かをあらかじめ予測することです。

私が訪問看護に転職したときに獲得しようと思っていた知識は、療養者さんはどのように生活されているのか、ケアマネジャーさんとはどのような仕事をしているのか、訪問看護の仕事はどんなものなのか、ということでした。

これらを知るには最低1〜2年あれば習得できると予測しました。そして、私は丸1年で退職し別の職場に転職をしました。

もし、退職したいけれどできないという方は、退職届をあらかじめ書いておくことです。内容は「私は20〇〇年〇月〇日 医療法人〇〇を退職」と紙に書いて置くだけでも意識が変わります。

終わりを決めて転職するメリット

終わりを決めておくことで、とにかくスキルが人の3倍早く身につきます。なぜなら積極的になるからです。入職と同時に退職までの時間が迫ってくるのでおのずと時間を大切にします

私が訪問看護に転職したときは、積極的に営業に行き、先輩に同行できるところは同行させてもらい、訪問看護の仕事が把握できることに関しては積極的に手を上げていました。時には周りの方から「大丈夫?」と言われましたが本人が知りたくてたまらないので体が動くわけです。

訪問看護に携わったのはたった1年ですが、経験が積めたことで、訪問看護経験者の看護師さんと共通言語が生まれ、知り合いが訪問看護を検討している時に相談が来たりとまずまずの成果です。もちろん訪問看護を極めている方と比べれば知識は1/10以下かもしれませんが、私としては大満足の結果です。

終わりを決めて転職するときに気をつけてほしいこと

できれば転職サイトを使わず、自分で応募をしてほしいと思います。なぜなら手数料として6~7桁のお金が採用時に動くからです。私は訪問看護で働くのは短期間と決めていたので自分で電話やメールをして応募しました。

このときに考えていたのは、働かせていただき、短期間でスキルを身に付けさせていただく代わりに、余計な採用コストを発生させないということです。もし、働く期間を3年未満と考えている場合は検討してみてください。退職するときに後ろめたさを感じず伝えることができるはずです。

レッツアクション!終わりを考えて転職するために考えてみましょう

ロールモデルがいる方は、その人に近づくために自分に足りないことは何だろう? と想いを馳せてみてください。思い浮かべるだけでも積極的になれますし、やり残していることがいっぱいある!と自覚できるかもしれません。目的意識があると優先順位付けができるようになるので、仕事にメリハリができます

ロールモデルがいない場合は、雑誌、書籍、SNSでもかまいません。いろいろな媒体から好きな看護師さんを探してみてください。3人くらい見つけられると、自分がなりたい姿の傾向がわかるようになります。

終わりを考えておくことで、漠然と転職するより達成感も得られますし、スキルもぐんぐん吸収できます。これを読み終わったら、3分間ロールモデルについて考えてみてくださいね。




看護師マッキー

1985年生まれ、看護師。日本メンズヘルス医学会所属。約11年間看護師として勤務(小児科10年、泌尿器科6年)し、独立。看護師国家試験対策予備校や都内看護学校で教鞭をとる傍らYouTuber、性教育講師としても活動。自らが運営する「看護師マッキー【メンズヘルス専門チャンネル】」は登録者数10.2万人、5000万再生を超える(2024年1月現在)。主な著書として「メンズヘルスナースがこっそり教える教養としての射精」(ライフサイエンス出版)。産経新聞をはじめメディア多数出演。
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