第一線で活躍する医師や看護師、医療従事者などが講師として登場し、わかりやすく解説する「メディカのセミナー」。今回は「がっかりしない・させない9つの教え方」解説チャプターの一部をメディカLIBRARYだけで特別配信します。

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講師
内藤 知佐子
愛媛大学医学部附属病院 総合臨床研修センター 助教

瀧澤 紘輝

神戸市立西神戸医療センター 看護部 主任/救急看護認定看護師

<どんなセミナー?>
新人教育の“がっかり”が続き、指導に迷う実地指導者・プリセプターへ
教え方を「ひとつ」変えるだけで、そのモヤモヤがパッと晴れるかもしれません。
・“がっかり”の正体を知る
いまどきの新人さんの実態をとらえ、ギャップを埋めるヒントを探ります。
・9つの教え方+あるある寸劇+お悩み相談室
思わずイラッとしたときに相手を受け止めるコツや、成長を促す「PNP法」など具体策を伝授。
・「教えること」で自分も育つ
新人教育を、あなた自身の自己成長につなげるマインドセットを届けます。


配信|がっかりしない・させない9つの教え方 ⑦~⑨



新入職スタッフを育てるかかわり方01


⑦「そうきたか、斬新~★」で受け止める

さあ、「がっかりしない・させない9つの教え方」の7番目です。
「そうきたか、斬新~★」で受け止めましょう。

目的は、アンガーマネジメントです。感情のマネジメント・怒りのコントロールをして、適切な指導につなぐというのがポイントです。

「怒り」というのは悪い感情ではなく、自分を守る大事な感情だと言われています。想定外のことに驚いたからこそ、それが「怒り」としてあらわれてしまうんですね。

ただ、その怒りをやみくもに相手にぶつけるのはよくないので、上手に怒りをコントロールしていきましょう。新入職スタッフにとっての「安心・安全基地」を作っていく。これがポイントです。

新入職スタッフを育てるかかわり方02


最近は「フキハラ(不機嫌ハラスメント)」という言葉もありますよね。新人たちは、先輩たちの不機嫌さを敏感に感じ取っています。それで新人のパフォーマンスが落ちて、「インシデントまっしぐら」になっては困りますよね。

リーダーの感情は伝染するといわれています。皆さんが不機嫌になりますと、新人だけでなく若手の皆さんまで、グーッとパフォーマンスが落ちてしまいます。なので、自分の感情はしっかりと自分でコントロールしていきたい。

そんな時の魔法の言葉が、「そうきたか、斬新~★」です。

「えっ!」と思うようなこともたくさん起きますが、想定外のことにびっくりして怒ってしまうのではなく、驚きを受け止める言葉として「そうきたか、斬新~★」と唱えてみてください。

新入職スタッフを育てるかかわり方03


過去は変わらないですが、未来は変えられます。

「より良くするために」という未来志向型にするためにも、まずは自分の感情をフラットにして、方法を一緒に考えていきましょう。「ああしなさい、こうしなさい」と押し付けるだけだと、指示待ち看護師が育ってしまいますので、「一緒に考える」というところがポイントになってきます。

新入職スタッフを育てるかかわり方04


⑧PNPで成長を促進

次は⑧「PNPで成長を促進」です。
「満足で終わらせず、さらなる成長を促す」。これがコツになります。

私たちは褒められて育った世代じゃないでしょう?
だから無理に褒めなくていいんです。その代わり、できていることをそのまま「できてるね」と認めていく。これがポイントです。

「承認」っていうのは、マズローの欲求5段階にもありますよね。私たちには、承認されたいっていう欲求があるんです。これは新人だけじゃなく、中堅、ベテラン、プラチナナース、管理職だって同じです。お互いに承認することをどうぞ大事にしてください。

いまどき世代に活用するときのコツは、彼らは「承認され慣れ」をしているので、承認だけで終わると逆に不安になるんです。そこで、「PNP法(ポジティブ・ネガティブ・ポジティブ)」を活用しましょう。

P(承認): 「今日もありがとう、助かったよ」

N(リクエストorミッション): 「ここがポイントね。改善しましょう」

P(承認): 「明日からもまたよろしくね」

こうやってサンドイッチにして伝えてください。できている新人に対しても、さらなる高みを目指して「ここをさらに良くしよう」というポイントを一つ見つけてあげてください。そうすることで、モチベーションがアップしていきます。

新入職スタッフを育てるかかわり方05


【あるある寸劇4】

(BADパターン)
指導者:今日も一日お疲れ様でしたー。
新人:ありがとうございました。
指導者:もう、めちゃくちゃ良かった! もう最高やし、これで全然いけるから。全然問題ないよ、うん。

(GOODパターン)
指導者:今日もお疲れ様でした。
新人:ありがとうございました。
指導者:今日の件、もうすごい改善されてたなーっていうふうに思って。時間的にも早くなってたし、それでいて前回同様の丁寧さはあっていいなというふうに思いました。
新人:ありがとうございます。
指導者:よくできてたので、一個だけリクエストしていいですか?
新人:はい。
指導者:もしかすると、患者さんに遠慮があるんかなーっていうふうに思って見てたんだけど。血圧測定しやすいように、患者さんの体の位置を整えたり、ベッドの周囲の物品を整えても全然大丈夫ですよ。
新人:あ、ありがとうございます。確かにちょっと遠慮してました。
指導者:やっぱり? そうよね。なんかちょっとずつできてること増えてきてるから、明日からもまたよろしくお願いします。
新人:はい、明日からもよろしくお願いします。ありがとうございました。

新入職スタッフを育てるかかわり方06


いかがだったでしょうか。
「承認」って言われると、「褒めなきゃいけないんだ」と感じる方も多いと思うのですが、褒めなくていいんです。
さっきの寸劇のように、感謝の気持ちを伝えたり、できていることを「できているね」って伝えていく。
これが「承認」のポイントになっていきますので、ぜひやっていきましょう。

新入職スタッフを育てるかかわり方07


さあ、最後に9番目、「感謝の心」です。
心まるく穏やかに、新人教育を通して自己成長につなぐ。これがポイントになります。

私も長いあいだ人材育成に関わってきましたが、やはりすべては出会いであるということを感じております。
辛いこと、困難なこともたくさんありましたが、すべてが自分を育てるための出来事だったんだなあと、今振り返って思います。

皆さんも困難な学習者と出会ったときは、「なんやねんこいつ…」ではなく、「今の自分の課題をクリアするために出会わされた人なんだな」というふうに捉えて関わっていきましょう。
困難と感じることは、自分自身の課題でもあります。それをクリアすることは、皆さんの成長につながっていきます。

ポイントは、感謝の心を持つこと。これが大事です。
「ありがとう」という言葉を、意識的に現場でも発信していきましょう。

新入職スタッフを育てるかかわり方08


もうひとつのポイントは、謙虚さです。
新人が責められている場面には、だいたいおごり高ぶっている指導者の後ろ姿がありますよ。
謙虚さを持てば心の安寧が訪れますので、ぜひやっていきたいですね。

というのは、実は最近「日本人がどんなリーダーシップを求めているか」という東大の研究で、「謙虚なリーダーシップが求められている」ということが明らかになったんです。
だから謙虚さを持つこと、大事にしましょうね。

皆さんが謙虚さを忘れずに新人教育に携わっていると、自然と周囲も協力してくれるようになります。
「あの指導者さん頑張ってるな、私もちょっと協力しよう」という風になっていきますからね。

そういう形で周りを巻き込んでいってください。
一人で頑張らないでくださいね。新人教育は大変ですからね。
いろんな人を巻き込んで、みんなで育てるっていう文化を作っていってほしいです。

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「教えることは二度学ぶこと」。これはフランスの素敵な言葉です。
教えることによって一番育つのは、実は指導者だと言われています。

新人教育を通して一緒に成長していきましょう。自己の成長につなげること、これがポイントです。

「めんどくさいな」「なんで私がやらなきゃいけないんだ」ではなく、「あ、成長するチャンスをいただいているな」と思って、成長につないでいきましょう。

さあ、ここまで「がっかりしない・がっかりさせない9つの教え方」の解説をしてまいりました。
既にできていることもたくさんあったのではないでしょうか。でも、その中で課題も見えましたよね。

その課題、クリアできるように一緒に頑張っていきましょう!

新入職スタッフを育てるかかわり方010




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