第一線で活躍する医師や看護師、医療従事者が講師として登場し、わかりやすく解説する「メディカのセミナー」。今回は「血液ガス分析から何がわかる?」解説チャプターをメディカLIBRARYだけで特別配信します。

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講師
中西秀彦
北里大学医学部附属新世紀医療開発センター 先端医療領域開発部門 新生児集中治療学 教授

<どんなセミナー?>
こんな悩みはありませんか?
「呼吸は勉強しているけど、循環は自信がない…」
「血圧・胸部X線・心エコーのみかたがわからない…」
「強心薬、血管拡張薬、血液増加薬、ステロイド、NOなどの薬が苦手…」
「RDS、PDA、PPHN、晩期循環不全、先天性心疾患の観察ポイントが知りたい!」

このセミナーでは、循環生理の基本から、循環評価に使う検査画像の読みかたまで、とことんやさしく解説します。

ボリューム満点の3時間30分。ふだんは見られない検査画像や動画で、苦手を得意に変えましょう!


配信|血液ガス分析から何がわかる?



とことんやさしい新生児循環管理01


血液ガス分析は、循環の評価において非常に重要な指標です。

血液ガス分析では、ガスの均衡、つまり酸塩基平衡を評価できます。呼吸性アシドーシスや代謝性アシドーシスによるアシデミアの有無を確認し、循環器系の状態を評価できます。

また、ヘモグロビン・貧血・電解質・血糖・アニオンギャップといった項目も読み取れます。アニオンギャップは高ければ高いほど酸が蓄積していることを示しており、アセスメントにおける重要な指標となります。

とことんやさしい新生児循環管理02


血液ガス分析は、ステップを踏んで読めばこわくありません。

ステップ1ではpHを確認し、酸血症なのかアルカリ血症なのかを見ましょう。

とことんやさしい新生児循環管理03


ステップ2では、pHの変化の原因を見ます。

確認すべき項目は、PCO2とHCO3-です。PCO2を確認することで呼吸性の要素、つまり呼吸性アシドーシスや呼吸性アルカローシスの有無がわかります。

同様に、HCO3-の変動から代謝性の要素を調べます。

とことんやさしい新生児循環管理04


ステップ3では、代謝性アシドーシスがある場合、すなわち循環が破綻して酸が蓄積している場合には、アニオンギャップを確認します。

アニオンギャップが上昇していれば酸の蓄積、変化がなければ他の要素で何かが起きていると判断します。

とことんやさしい新生児循環管理05


ステップ4では、たとえばアシデミアがあった場合、アルカローシスに傾くような代償性変化が起きているかどうかを血液ガスで評価し、適切な循環の治療を進めるための重要な情報を集めます。

血液ガスは児のリアルタイムの訴えそのものであり、それを読み取ることが大切です。

とことんやさしい新生児循環管理06


特に問題となるのは、やはり代謝性アシドーシスがある場合です。ステップ1でpHを確認し、ステップ2でPCO2またはHCO3-を確認しましたよね。このとき、HCO3-が下がっていて代謝性アシドーシスがあれば、必ずアニオンギャップを確認します。

アニオンギャップが高値の場合は、酸が蓄積しています。原因はいろいろありますが、ひとつは酸産生の増加、もうひとつは排泄障害です。酸産生の増加は循環が悪いことによる循環不全、排泄障害は腎臓の機能低下によるものです。

とことんやさしい新生児循環管理07


原因検索として、代謝性アシドーシスによるアシデミアがあれば循環器系の問題が否定できないため、心臓エコーで心収縮能を評価します。また、感染症による代謝性アシドーシスとアニオンギャップ上昇も考えられるため、血算・CRP・血清クレアチニンを確認し、場合によっては培養検査も行います。

腎障害による排泄障害についても、クレアチニンを確認して評価します。こうした検査によって病態を突き止めて、はじめて治療へと進むことができます。

とことんやさしい新生児循環管理08


代謝性アシドーシスへの一般的な対応としては、まず人工呼吸管理中であれば呼吸器の設定を上げ、腎臓が代償できない分を呼吸で代償します。

循環が破綻している場合には、CO2をしっかり吐き出すことでpHを保つ代償が可能となるため、まず呼吸サポートや呼吸条件を変更します。その後、原因検索を行いながら輸液を実施し、原因が判明すればプラスアルファの治療を加えていきます。

とことんやさしい新生児循環管理09


次に、PCO2の値に応じた対応についてです。

血中のPCO2の目標値はおおむね45~55mmHgですが、人工呼吸管理中にPCO2が高い場合、肺が回復してきて呼吸器設定が相対的に高くなっている可能性があります。

この場合は、視診・聴診で呼吸器設定を確認し、血液ガス分析を行います。酸血症があれば設定を上げ、pHが正常範囲内であればPermissive Hypercapniaとして現状維持とします。

とことんやさしい新生児循環管理10


一方、PCO2が低いとき、つまりCO2がよく吐けている場合は要注意です。同様に視診・聴診・呼吸器設定の確認を行ったうえで、血液ガス分析のpHを確認します。

アルカリ血症であれば、CO2がよく吐けてpHが高くなっている状態なので、設定を下げます。これは児が快方に向かっている証拠です。

しかし、酸血症に傾いている場合は要注意です。PCO2が低いのに酸血症になっているのは不思議に思えますが、これは代謝性アシドーシスがあるために肺が懸命に換気を行い、酸を体外に出そうとしている可能性があります。ここから、代謝性アシドーシスの有無を確認しながら循環を評価するという、次の話へとつながっていきます。

とことんやさしい新生児循環管理11


PCO2に関連して、CO2はもっとも身近な血管作動薬であるという話があります。

ある研究で、PETを用いてヒトの脳血流量を評価しています。ベースラインのコントロールと、過換気によりCO2を多く吐き出した状態、逆にCO2を貯留させた状態を比較すると、脳血流量に明らかな差が見られます。

PCO2が低い低炭酸ガス血症の状態では脳血流が低下し、逆にPCO2が貯留している状態では脳全体の血流が著しく増加します。つまり、CO2は脳血流量を直接左右する血管作動薬として機能しているわけです。

とことんやさしい新生児循環管理12


CO2が貯留して脳血流が増加・鬱滞した場合、新生児では脳室内出血を引き起こす危険性が高まります。

一方、CO2が低下して脳血流が減少した場合にも問題が生じます。まず、呼吸器設定が高いと気道圧の上昇が肺に影響を与え、慢性肺疾患の要因になることがあります。

また、CO2 が過剰に吐き出されると、聴力に異常が生じることがあると言われています。詳しい原因はわかっていませんが、これも脳血流の問題と関連している可能性があります。

さらに、脳室周囲白質軟化症(PVL)という重篤な合併症を引き起こす危険性もあります。PVLについては、後のセクション「循環器疾患これだけは」で改めて詳しく解説します。

とことんやさしい新生児循環管理13




ご購入いただくとすべてのプログラムがご覧いただけますのでぜひご検討ください。





プログラム


1.まずはおさらい! 新生児の循環生理
・赤ちゃんの循環を助ける3つのバイパス 動脈管・卵円孔・静脈管
・動脈管・卵円孔・静脈管の生理的閉鎖と機能的閉鎖の注意点
・心拍数はどのようにコントロールされているの?
・未熟な心筋の特徴と弱点
・生理的多血ってなぜよくないの?
・実はコワい四肢冷感 ショックの入り口
・酸素が足りなくなってきたら、血液はどこへ行くの?

2.新生児の循環評価
・循環器系の異常を示唆するサインは?先天性心疾患を疑う所見は?
・心雑音 いつ・どこで・どのくらい・どんな音かが重要
・実際に【心雑音】を聞いてみよう
・SpO2モニタリングから何がわかる?
・至適な血圧をどう考えるか?
・超重要!体血圧を決定する3つの因子
・【写真】で理解する胸部X線のみかた
・【写真】で理解する心エコーのみかた
・循環管理上、血ガスデータで重視すべき項目は?
・尿量が教えてくれる循環動態のいま

3.新生児の循環治療
・カテコラミンサポート 受容体の種類と効く場所
・NICUにおけるドブタミンとドパミンの併用
・重症時の切り札 エピネフリン、ノルエピネフリン、イソプロテレノール
・カテコラミンで動かない心臓に次の一手 ミルリノンの役割
・「何を増やしたいのか?」 目的別に理解する血液増加薬
・早産児におけるステロイド治療
・同じ“ステロイド”でも作用は違う ~使い分けの基本~
・ステロイド投与後に“注意すべき”副作用
・肺における一酸化窒素(NO)投与の効果
・NO投与中の看護のポイント

4.新生児循環疾患これだけは!~RDS編~
・RDSは、サーファクタント投与後が大事!
・血圧●●と●●●症候化に注意!
・HFOV管理における循環管理では循環抑制に注意!
・【動画】で理解するHFOVとIMVとの基本波形の違い
・HFOVの原理と呼吸波形
・一定の振幅圧下における適切な肺リクルートメントと換気量の関係

5.新生児循環疾患これだけは!~PDA編~
・【図解】未熟児動脈管開存と心臓の仕事量の関係
・PDAにおける循環の観察ポイント
・【動画】で理解するインダシン投与前後のPDAの変化
・PDAを疑う症状とインドメタシン投与後の注意点

6.新生児循環疾患これだけは!~PPHN編~
・新生児遷延性肺高血圧がおこるメカニズム
・【動画】で理解するPPHNの代表的なエコー所見
・PPHNに対する診断と治療
・NO投与中の看護のポイント

7.新生児循環疾患これだけは!~晩期循環不全編~
・晩期循環不全はベッドサイドから発見された!?
・脳室周囲白室軟化症(PVL)はコワい疾患
・晩期循環不全は発達期大脳白質がもっとも脆弱な時期に好発する
・早産児は副腎皮質機能が未熟で胎盤と協力したステロイド合成ができない
・出生後ステロイドの投与基準
・晩期循環不全で見逃してはいけないポイント

8.新生児循環疾患これだけは!~先天性心疾患編~
・「動脈管依存性」か「肺血流増加減少」かでシンプルに2分して考える
・【症例】で理解する大動脈縮窄症
・その酸素、本当に安全ですか? Ductalショックと肺うっ血
・プロスタグランジン投与中に“絶対に見逃さない”観察ポイント
・心エコー上、似た所見を持つ2つの疾患 酸素投与は必須と禁忌
・【症例】で理解する総肺静脈還流異常症における血行動態

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中西先生のとことんやさしいシリーズ3部作!
「とことんやさしい新生児呼吸管理」「とことんやさしい新生児のからだのみかた」と合わせて受講することをおすすめします。

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