学生教育から学びを考える|学びカンタービレ|#004|小浜さつきさんと白石弓夏さん(後編)

看護師兼ライターの白石弓夏です。

看護師として現場で働いていると、“継続的に学びが必要である”と痛感することがあります。大人になってからの『学び』は、自分のなかに落とし込み、現場で活用できるか、応用できるかが重要になってくると思います。みなさんは実際にどのように『学び』を深めているでしょうか。

この連載では、さまざまな場所で活躍されている看護師にインタビューを行い、自身の『学び方』について、一緒に考えてみようと思います!

今回は看護教員として働く、小浜さつきさんの後編です。
※前編はこちら


プロフィール:
聖マリア学院大学看護学部基盤臨床看護学領域准教授。脳神経外科と耳鼻咽喉科頭頚部外科の病棟で1年間、その後は回復期リハビリテーション病棟で勤務。現在は脳卒中後のリハビリテーション看護を専門に教育と研究に取り組んでいる。

白石>前編では、小浜さんの学び方についてお聞きしました。後編では、学生に教育する立場である小浜先生が、どのように学ぶことを伝えているのかについてお伺いしたいです。

小浜>そうですね~。勉強自体は“楽しいものだ”ということを、授業で伝えられるようにしています。たとえば解剖生理を勉強すると、人間の身体ってよくできていると感じますよね。腎臓はそら豆みたいな形で、糸球体がろ過装置になって尿がつくられるとか。脳のなかには錐体路という神経線維路が走っていて身体の動きに指令を出しているとか。不思議なことがたくさんありますが、勉強することで輪郭が見えてきて身体のすごさがわかってきます。私が生きていることってすごいなと、勉強をとおして実感することができるのです。

白石>勉強した先のおもしろさを、小浜先生の言葉で伝えているのですね。

小浜>「人間の身体って素晴らしいじゃないか」と、学生によく話していますね。看護だけでなくほかの学問も勉強していくと、身体のことだけでなく人間が地球上で生活していること、他人と関係性をつくって生きていることの素晴らしさにも気づいたり。自分のなかで一つひとつ、点と点の知識が線になってつながると、すこしずつ面白さがわかると思うんです。

人間の身体の素晴らしさについて、丁寧に説明していただきました。


白石>小浜先生とお話ししていると、すごく伝わってきます……! 広い視点で看護や医療、患者さんをとらえるような感覚なんですね。ただ、学生さんだと、目の前の患者さんだけに注目しがち、課題だけをこなしがちかもしれませんが……。

小浜>たしかに課題だけをこなしてしまうことは多いですよね。看護師は専門職として知識やスキルをアップデートしないといけないので、学生のうちから「なんでだろう?」という考え方を養ってもらいたいと思います。また、勉強して調べていくうちに、「本当にそうなのだろうか?」と疑問に出てくる気持ちも大事にしてほしいです。そんな学生さんたちと一緒に学んでいくことが、私にとってまた学びになるのでおもしろいですね。

白石>考え方を養う工夫っていろいろありますね……。学生さんの勉強といえば、国家試験もかなり大きなイベントだと思いますが、どんなことをされていますか?

小浜>そうですね……。「看護師に求められる仕事が今年から大きく変わる、ということはない」と、毎年話をしていますね。なので、月並みではありますが、過去問と模試をしっかり復習するように、と言っています。国家試験対策では、ゼミの学生さんに集まってもらって、知識の強化をすることがあるんです。『レビューブック』を私がすごい勢いで読み上げるんです。読み上げるなかで、ときどき言葉を抜かすんですよ。その抜かした言葉を学生に答えてもらっています。

急にキリっとした表情に……。


白石>急に1,000本ノックみたいなやり方が出てきましたね……(笑)。

小浜>そうなんです(笑)。この方法が苦手な子にはしませんけどね。慣れてくるとポンポンと答えが出てきます。

白石>すごいですね。読み書きだけではなくて、こうしたゲーム要素を含めるのは気分が変わっていいですね。

小浜>あと、4年制の大学といっても、実習に行けるところや経験できることは限られているんですよね。そのため、私自身が経験してきた話を間に挟んだり、時事的な話をしたり、授業のなかでもインパクトを残すようには心がけています。授業自体、国家試験のためのものではないですし。

白石>先生たちも、いろいろと悩みながら教えているのですね……。

小浜>そうですね。私が学生のときを思い返せば、自分の悩みや好奇心を真摯に受け止めてくださり、リーダーシップをとってくださる先生が近くにいたんです。その先生と出会えたから今の自分がいると断言できます。その経験から、学生のうちから貪欲(どんよく)にやりたいことをアピールしたらいいと思います。看護師になってからも出会えると思います。すごくいい看護を教えてくれた先生や先輩。勇気をもって相談してみると、いろいろと手を差し伸べてくださると思います。

恩師との十数年来の関係を説明していただきました。


白石>学生のうちから、目標となるような先生や看護師と出会えるといいですよね。また、「なんでだろう?」「本当にそうなのか?」と考える癖をつけることで、学ぶことの楽しさをすこしずつでも感じてくれたらいいなと思います。私自身、学校の勉強がすごく嫌いだったので、テストはいつも下から数えたほうがはやかったんですけど……(笑)。現場に出てから後追いで勉強することが多くて、苦労しました。学生のうちから、もうすこし学び方の土台をつくっておきたいものですね。小浜さん、ありがとうございました!

//バックナンバー//

#001  自分の基盤にどうのせるかで学びを考える|吉岡純希さんと白石弓夏さん(前編)
#002  お互いの領域をリスペクトする|吉岡純希さんと白石弓夏さん(後編)
#003  わからないことを追求する奥深さ|小浜さつきさんと白石弓夏さん(前編)


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白石弓夏
看護師兼ライター。整形外科病棟とクリニック、施設で働きながらライターとして活動中。ポジティブ思考、フットワークの軽さが強み。ライターとして情報収集、発信向けにTwitterをはじめたが、いつのまにか飯テロ垢と化したので、軌道修正中。
Twitter→https://twitter.com/yumika_shi