# 心カテ中、何に気をつければいいかわからない
# 心カテ前の患者さまを安心させたい
# 患者さまからの心カテについての質問に答えられない
# この患者さまはカテ室でどのようなことをされてきたのか?
# カテ終わり 術後合併症?!
さてさて、今回で30回目! ありがとうございます!
みなさんのおかげで長く続けさせていただいております。
ネタが尽きるまで……まだまだ続けさせていただきますのでお付き合いよろしくお願いします。
今回は、冠動脈造影(CAG:coronary angiography)で冠動脈を見るコツ パート3!
今回のお話にお付き合いいただくと、
・カテスタッフから病棟スタッフへ冠動脈造影の結果を申し送るべきこと。
・申し送り受けた病棟スタッフであれば、カテスタッフが何を伝えたいのか。
・施行医が治療する必要があるかどうか悩んでいる理由。
・冠動脈造影の注目すべきポイント。
などがわかることを目標に下記の順にお話を進めていきたいと思います。
「冠動脈造影ココがポイント!1・2・3」
1.よく見えるビュー(角度)を探せ!(前々回の#028参照)
2.3本の冠動脈どれが大きくてどれが小さい?(前回の#029参照)
3.狭窄の度合いはどれくらい?(今回はコチラ!)
おまけ:冠動脈の特徴を見極めろ!
・糖尿病患者さんの冠動脈
・透析患者さんの冠動脈
・痙攣する冠動脈
冠動脈造影ココがポイント3「狭窄の度合いはどれくらい?」
今回は冠動脈狭窄の度合いについて考えていきましょう。動脈硬化によって細くなった冠動脈の狭窄がどのくらいなのか? みんながわかりやすいように数値的評価をします。それをAHA分類と言います。
カテ室の申し送りでよく聞く「◯番◯◯%」っていうやつですね。AHA分類の◯◯%の数字はある程度決まっています。
0% 狭窄なし
25% 25%以下の狭窄
50% 25%超‐50%以下
75% 50%超‐75%以下
90% 75%超‐90%以下
99% 90%超‐99%以下
100% 完全閉塞
といった具合です。
このAHA分類(狭窄度評価)は冠動脈造影をして、その病変の映り具合によって術者が判断するものです(図)。
このなかで通常の待機症例に関しては75%以上の狭窄と判断されたなかで、下記のいずれかが認められた場合はPCI治療の対象になります。
①FFR(fractional flow reserve:機能的評価法)などで心筋虚血が証明された場合(FFRについてはまた後日お話しします)
②90%以上の狭窄
③その他医学的必要性が認められる病変(複数医師によるカンファレンス等により医学的な必要性を検討すること)
99%以上の狭窄の場合には、さらに血流の流れ具合を判断する必要があります。それをTIMI分類(thrombolysis in myocardial infarction trial)っていいます。詳しくは表1の通りです。完全に閉塞していて血流がないものをGrade0(グレードゼロ)で、Grade1・2は造影上血流がゆっくりに見えるもの、Grade3が末梢まで正常に造影されることを評価します。
そして、冠動脈が完全閉塞している場合、その部分を栄養している心筋の助け舟として活躍する側副血行路にも、その活躍ぶりを評価するグレードがあります(表2)。
Grade0は側副血行路がない、Grade1・2は助ける本幹は造影されるが……Grade3は側副血行路が本幹まで届いていて、造影上十分な血流を認めた場合を指します。
まとめ
冠動脈造影で細いところを見つけたら、
(1)どれくらい細いのかを評価しましょう
【アドバイス】
先生に結果を聞く前に自分で◯番◯◯%とかを評価してから先生の評価を聞いて当てっこしていくと、だんだん狭窄が見えてくるようになります。冠動脈解剖の勉強にもなりますしね。
(2)99%以上のすごく細い狭窄の場合には血流の流れ具合の評価をしましょう
【アドバイス】
血流流れ具合の評価はPCI中もすごく大切です。治療中に末梢にプラークなどが飛んでしまった場、血流の流れ具合が悪くなる場合があります。日ごろから冠動脈血流流れ具合もしっかり評価しておくとPCIのときに役に立ちますよ!
今回は、狭窄の度合いについてお話ししました。
冠動脈造影を見るときやカテ室からの申し送りを受ける際に意識してみてくださいね!
今回もお付き合いありがとうございました。
新生会総合病院 高の原中央病院
臨床工学科 MEセンター
西日本コメディカルカテーテルミーティング(WCCM)副代表世話人
メディカセミナー『グッと身近になる「心カテ看護」~カテ出しからカテ中の介助、そして病棟帰室後まで~』など多数の講演や、専門誌『HEART NURSING』、書籍『WCCMのコメディカルによるコメディカルのための「PCIを知る。」セミナー: つねに満員・キャンセル待ちの大人気セミナーが目の前で始まる! 』など執筆も多数。