この連載は、英語の先生でも医師でもない、看護業務を知り尽くした現役看護師が医療現場で本当に使える英会話を紹介します。

検温、点滴、清拭、おむつ交換など医療現場で頻度の高い看護業務に焦点を当て、使えるフレーズを丁寧に解説します。

【看護師の看護師による看護師のための英会話:Episode3】は、「検温:脈拍編」です。

今日は外国人患者さんを受け持っています。
日本人の受け持ち患者さんの検温を終え、残るは外国人患者さんの検温です。

こんな普段の会話を英語にしてみましょう。

(血圧を測り終わったあと)

①「脈を測りますね」
②「手首で脈を測りますね」
③「脈は62回です。問題ないですよ」
~脈が速いとき~
④「脈は135回です。かなり脈が速いですね」
⑤「胸がドキドキしませんか?」
⑥「胸が締め付けられる感じや重苦しさ、押しつぶされるような胸の苦しさはないですか?」
⑦「しばらくベッドで休んでください。また15分後に測ってみますね」
~脈が遅いとき~
⑧「脈は40回でかなり遅いですね」
⑨「頭がくらくらしたり、ぼんやりしてフラフラしたり、ふわふわ浮いているような感じはないですか?」
⑩「心臓のモニターをつけて心臓の動きを見ていきましょう」
⑪「すぐに心電図を持ってくるのでベッドで休んでいてください」
⑫「上着のボタンをはずして心電図をつけますね」
⑬「トイレに行くときやベッドから起き上がりたいときは、ナースコールでおしえてください」

Knock, knock.

①Let me take your pulse.
②Can I place my fingers on your wrist to check your pulse?
③Your pulse is 62. It is normal.
~脈が速いとき~
④Your pulse is 135. It is too fast.
⑤Do you feel your heart is racing?
⑥Do you have any chest pain such as tightness, heaviness, or feeling like an elephant sitting on your chest?
⑦Please rest in bed for a while. I am going to check your pulse again in 15 minutes.
~脈が遅いとき~
⑧Your pulse is 41. It is rather slow.
⑨Do you feel any symptoms like you are spinning, light-headed, or floating?
⑩You need to wear a heart monitor to see your heart rhythm.
⑪Please stay in bed. I will grab a heart monitor right away.
⑫I will unbotton your shirt and place heart monitor leads on your chest.
⑬Please press a nurse call button when you want to go to the bathroom or get out of your bed.

今日は、検温で使えるフレーズ⑧【脈拍編】「脈は40回でかなり遅いですね」を深掘り解説します。

「脈は40回です」は、「your pulse is 40」を使いました。
「だれの」のいう所有格「your」を忘れないようにしましょう。

「pulse」は、「heart rare」に置き換えてもOKです。
厳密には、「pulse」=「末梢の脈拍」、「heart rate」=「心拍」と医療従事者は区別します。
でも、患者さんが区別して使う必要はありません。
患者さんがわかりやすい言葉を選ぶとすれば、「heart rate」のほうがいいかもしれません。

脈の正常範囲は60~100回/分なので、今回の値はかなり遅いです。
「遅い」は、「slow」です。
「slow」は、日本でもお馴染みの言葉ですね。スピードや動作が遅いときに使います。
ちなみに、時間が遅いときは「late」を使います。

「かなり」は、「rather 」を使いました。
「rather」は、「かなり」や「だいぶ」という意味で、医療現場や文献などでもよく使います。
もちろん、「rather」は「very」などに置き換えてもいいでしょう。

さて、医療従事者は、脈40回の状態を「徐脈」といいます。
「徐脈」は、「bradycardia(ブラディー・カーディア)」です。
「brady-」は「遅い」、「-cardia」は「心臓」という意味です。
医療現場では、「徐脈」を「ブラディー」と言ったりしますよね。
この「ブラディー」は、「bradycardia」からきています。

「bradycardia」は、難しい医療用語なので患者さんに伝えても理解してもらうのは難しいでしょう。
簡単な「slow」という言葉を使ってシンプルに伝えたいですね。

いかがでしたか?
次回は、徐脈による自覚症状がないか確認していきましょう

では、Let’s wrap it up for today. Have a good one.(今日はこのへんで、またね~)



佐藤まりこ
生まれも育ちも北海道。しかし、寒いのが苦手で大学卒業とともに上京し大学病院に勤務。さらなる暖かさを求めて2009年、米国・ロサンゼルスに留学し、翌年California RN(Registered Nurse) Licenseを取得。サンディエゴの総合病院で急性期病棟実習を修了後、内視鏡センターに勤務。帰国後は、看護師・医療通訳・医療翻訳を兼任しながら大学病院に勤務中。

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