2023年5月に『マンガと図説で見てわかるICF(国際生活機能分類)の使いかた』(詳しくはこちら)が発売されました。本書は、回復期リハ領域で患者さんの全体像を把握し、多職種チームで情報を共有するための必須のツールとなっているICFの活用実例を、マンガを使ってわかりやすく解説する一冊です。今回は本書に収載されている第1章「ICFのはじまりと変遷~なぜICF?~」を全文公開します。
一般社団法人日本ICF協会 代表理事
ICF誕生まで~半世紀にわたる人類の取り組み
ICIDHの誕生からICF誕生までの流れを年表で見ると、国連が「高齢化社会」という問題に向き合い始めてから、約半世紀の間の出来事であったことがわかります。つねに国連の動きと連動しつつ、まさに、「人権」を視野に、「世界的組織」で、そして「世界規模の活動」のなかで生まれたものでした。
このICIDHの新しい「障害」の概念は、誕生の翌年、1981年にはじまった、国連の「国際障害者年 世界行動計画」の策定において、その基本理念に取り入れられました。すると各方面に大きな影響を与え、「障害は単なる個人の問題ではない、環境との関係性も見るべきだ」「障害者も個性をもち、さまざまなプラスの面があるはずだ」など、多くの声が挙がり、1990年、WHOは改訂作業をスタートしました。
ICIDHの改訂作業 ~ 新たなモデルへのシフト!
ICIDHの改訂作業は、障害の「マイナス面」だけをとらえる医学モデルによるとらえ方から、「できること」や「プラスの面」にも目を向けた新たなモデル、「生活機能と障害」の分類というものへシフトしていきます。そこには、社会モデルや生活モデルといった概念が加わり、さらに環境因子との相互作用も重視されました。
さらに、1991年に国連が採択した「高齢者のための国連原則」も、この改訂作業に大きな影響を与えました。「自立」「参加」「自己実現」などが、ICF の中心概念に組み込まれているのがわかります。
こうして「障害」のとらえ方が大きく変わり、2001年、ついに「ICF(国際生活機能分類)」が誕生します。
書籍紹介
回復期リハスタッフの“わからない”が“わかる”に変わる!
「生きること」へのリハビリテーションに向けて
アセスメントとプランの視点が身につく!
ICF(国際生活機能分類)は、回復期リハ領域で患者さんの全体像を把握し、多職種チームで情報を共有するための必須のツールとなっている。しかし、完全に使いこなせているかと訊かれるといまひとつ自信が持てない…。そんなICF活用の実例を、マンガを使ってわかりやすく解説する。
▶本書の書評を読む
発行:2023年5月
サイズ:B5判148頁
価格:3.630円(税込)
ISBN:978-4-8404-8176-2
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【無料】出版記念セミナー|2023年8月27日(日)開催
「障害があっても、いきいきとその人らしく暮らす」ことを支援していくために必要な ICF の理解。
書籍のエッセンスを凝縮し、執筆者である演者たちの熱い思いとともにお届け!
「ICFはどう活用すればいいのか?」が要点とともにわかる。
<プログラム>
■ICFの理念と本質
■リハビリテーションとICFの関係
■現代に求められる「生きること」の意味
■わかったようで分かっていない『参加』の大切さ
■リハビリテーション支援のためのロジカルテクニック
日時:2022年8月29日(月)10時30分~12時
申し込み締切:2022年8月23日(水)
※予定数に達し次第 受付終了となります
対象:医療従事者
受講料:無料
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