今回は、2022年7月16日(土)に行われた、第3回のテーマ『パルスオキシメーター製造企業さんと呼吸管理の困りごとを話そう!』のご報告、PART③です。

第3回のスケジュールは図1の通りです。



PART②に引き続き、『4.こんなパルスオキシメーターが欲しいんです!』の、医療者からの発表について報告します

まずは、③訪問診療医の立場からとして、はるたか会あおぞら診療所墨田 院長の戸谷 剛先生からの発表です
小児科医の戸谷先生には、いつも未来的なご意見をお話ししていただけます。

子どもは大人しくないワイルドマン。
こんな子どもたちのパルスオキシメーターの測定をどうするか。
「動き回っても測れるパルスオキシメーターがあったらな」といつも夢見ているそうです。
また、以下のような希望をお話しされていました。

1)末梢の循環の悪い子どものSpO2が低く測定されるという事例が多いため、正確性の指標を示してほしい
2)お腹に貼りたい、腕に貼りたい、大腿部に貼りたい。どこでも貼れるパルスオキシメーターが欲しい
3)そばにいなくても値がわかる遠隔モニタリングは必須
4)子どもたちは、指が隠れてしまうパルスオキシメーターが怖いので、怖いと末梢の血管も細くなって測定しづらくなる。例えば、楽しく装着できるアンパンマンの形をしたものであったり、アンパンマンが「動かないでねー」としゃべったり、数値が出たら「元気100倍アンパンマン!」なんて言う機能があったらいいな(図2
5)子どもの立場になって作っていくことが必要
6)上下肢で数値が違ったり、センサーの劣化による数値の信頼性を示してくれるなど指標がほしい
7)反射型のセンサーがあったら、いろいろなところにつけやすい
8)壊れないセンサーはやはり大事
9)センサーの発行部や受光部が汚れると測定しにくくなるので、汚れない方法を考えてほしい
10)加速度センサーを使って体動を除去して、そのデータをスマホに送って、自由に子どもたちが遊べる環境を作れるパルスオキシメーターがあったら良いな



戸谷先生の話は、いつも未来的でおもしろいです。

次は、④看護師の立場からとして、NPOにこりの理事長をつとめる松丸実奈さんからの発表です
NPOにこりは、『できないことなんてないんだよ!』と、子どもの願いをかなえるチーム。
海にでも山でもディズニーランドでも、飛行機・新幹線に乗って、どこにでも行っちゃうんです(図3)。



こんなときに持ち歩くパルスオキシメーターですが、以下のようなものがあればと希望を挙げました。

1)小型のものは電池で動くものが多く、コードレス式で充電式のバッテリーのものが欲しい
2)小型なものでもデータの蓄積できることが必要
3)日光に当たると測定できないことが多いので改良してほしい
4)低温火傷で色素沈着している子どもたちも多いので、長時間の装着で低温火傷しないもの
5)海やプール、お風呂でも使える防水タイプ
6)スマホで動いたり、声で動くパルスオキシメーターが欲しい

ドラえもんの道具のように、「こんな医療機器(道具)があったらいいな」シリーズと題して、未来に実現していたら嬉しい機能としてあげてくださいました。

そして、今回参加できなかった学校看護師の野津美鈴さんよりコメントを頂いただきました。
医療者ではない教員にとって、パルスオキシメーターのモニターの数値だけでは判断できないことを理解しつつも、お子さんたちの体調、実態把握のための1つのツールになっていると思います。
体調不良になる前に、「こんなサチレーションだった」と、教員と看護師とで振り返って、保護者とやりとりしたり、お子さんの学習活動への取り組みかたを検討したりする指標にしています。
例えば、モニターの数値で、保護者に連絡するなどと決めています。

【こんなモニターがあったら良いなと思うこと】
1)観察のために長時間つけることがあるのでお子さんの指に負担のかからないものが良いなと思う
2)多くの肢体不自由児の指先は冷たく、なかなか数値が取れないことが多々あります。そうすると、まじめな教員たちは数値を取ることに集中してしまい、子どもたちの学習時間が短くなるので、指先足先が冷たくても測れるモニター、指先や足先以外で測れる場所があるパルスオキシメーターがあればと思う

今回は、医療者2名からの発表を報告しました。
とても身近な医療機器になったパルスオキシメーターですが、まだまだ改善点が多くあります。
医療的ケア児にとって、より良い開発に繋がればと思っています。

さて、第4回の研究会のテーマはどうしようと考え中です。
次のテーマと日程が決まりましたら、またお知らせいたします。
その際は、ぜひ、みなさまのご参加をお待ちしております。



新型コロナ病棟ナース戦記

松井 晃
KIDS CE ADVISORY代表。小児専門病院で35年間働き、出産から新生児、急性期、 慢性期、在宅、ターミナル期すべての子どもに関わった経験をもつ臨床工学技士。メディカ出版のセミナー講師も務め『完全版 新生児・小児のME機器サポートブック』などの著書がある。KIDS CE ADVISORYのHPは▶医療コンサルタント | Kids Ce Advisory