2024年5月に刊行されるインフェクションコントロール別冊『地域連携に役立つ!感染管理認定看護師のための感染対策フォローアップ実践BOOK』(詳しくはこちら)の編者のお一人である森美菜子先生に、感染対策が必要とされている高齢者施設や療養病床などで感染管理認定看護師が果たす役割や注意すべきポイントについてお話を伺いました。

▼お話を伺った方
森 美菜子先生(広島大学病院 感染制御部〈感染管理認定看護師〉)



Q1.コロナ禍を経て、高齢者施設や療養病床など、急性期病院以外の施設でも、感染対策が注目されています。なぜでしょうか?

病院や施設内で対策が必要な感染症はCOVID-19だけではありません。近年は、薬剤耐性菌の地域での拡大や、高齢者施設での薬剤耐性菌保有率の高さが報告されております。そのため、薬剤耐性菌対策は地域全体で行う必要性があり、高齢者施設や療養病床などでの感染対策が重要です。一方で、高齢者施設等には感染対策の専門家がいないことが多いことから、急性期病院が支えることが求められています。

Q2.感染管理認定看護師は、高齢者施設や療養病床などへ介入するケースが増えています。どのような取り組みを行っていますか?

これまで、COVID-19対応の支援として、ゾーニングやPPE着脱、クラスター発生時の対応や職員の就業制限に関する助言等を行ってきました。さらに、今年度の診療報酬及び介護報酬改定によって、医療機関と高齢者施設等が連携し、実地指導や助言を行うことが求められるようになりました。感染症発生時のみならず、日頃の感染対策について、ご施設に適した対策を提案いたしますので、お困りの時はどうぞ連携医療機関にご相談ください。

Q3.最後に、高齢者施設や療養病床などの感染対策で、注意すべきポイントは何ですか?

高齢者施設では培養検査が行われないため、薬剤耐性菌の保菌状況が把握できず、接触予防策を行うべき対象が明らかではありません。このような中では、標準予防策の遵守が最も重要であり、手指衛生や個人防護具の適切な使用がポイントです。特に、排泄ケアなどの湿性体液を扱うケアは薬剤耐性菌の伝播リスクが高いため、これらのケアに関連した対策に注意が必要です。

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発行:2024年6月
サイズ:B5判 192頁
価格:4,400円(税込)
ISBN:978-4-8404-8492-3
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