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【著者】

吉田 圭佑
福島県立医科大学附属病院 集中治療部

2024年9月に書籍『ICUナースの疑問、3分で解説します!』(以下、『ICUナースの』)が刊行されました。本書は『オペナースの疑問、3分で解説します!』(2021年、メディカ出版、以下『オペナースの』)」の続編です。今回は著者の吉田圭佑先生に刊行のきっかけやイチオシのポイントを語っていただきました。



出版しようと思ったきっかけは何ですか?

私がちょうど30歳のころ、福島県会津若松市の病院で麻酔科医として勤務していました。この病院では麻酔科とオペナースの距離が近く、オペナースの方々から麻酔やオペ室に関する質問を受けることがありました。そのつど、質問に対する回答をA4用紙1枚程度にまとめ、オペ室に置いたファイルにまとめていました。

このファイルが充実してきたころ、『無名の医療者が医学書を出版するまでの道』(2020年、メディカ出版)という本に出会いました。オペナースから受けた疑問に対しての回答をまとめたファイルを書籍として出版すれば、同じような疑問を持っている全国のオペナースにも喜んでもらえるのではと思い、『無名の~』を参考に企画書をつくり、メディカ出版に送ったところ、『オペナースの』の出版の企画が進んでいったという感じです。  2021年に『オペナースの』が出版されましたが、拙書を読んでくれているオペナースが各地にいることを知り、ちょうどそのころに私の所属が集中治療部(ICU)になったこともあり、続編として『ICUナースの』を執筆することとしました。

本書のイチオシのポイントを教えてください!

『ICUナースの』の特長は、全身管理をするうえでコアとなる考え方を丁寧に説明している点だと思います。私は全身管理の究極の目標を、「全身の臓器に酸素を適切に届けること」ととらえています。本書は、この究極の目標を達成するためにICUナースが意識すべきことや必要な知識を、イラストを使いながら丁寧に解説させていただきました。

ICUナース向けの類書は複数ありますが、『ICUナースの』のように生理学的な内容を中心にして一貫性を持って丁寧に解説している書籍は、あまりないのではと思っています。全身管理に携わるうえで、枝葉の部分ではなく幹となる部分をしっかり理解することで、根拠に基づいたICU看護につながるのではないかと思っています。

読者へのメッセージをお願いします

ICUナースは、複雑で多様な病態や環境に置かれた重症患者さんと日々かかわっています。さまざまな知識や経験、柔軟性が求められる、たいへんな、でもとてもかっこいい仕事をしていると思います。

ICUでは想定外の出来事が発生することもよくあります。そんなとき、「全身管理をするうえでコアとなる考え方」を身につけていれば、これまでに経験していないことでもなんとか対応できる可能性があります。ICUの業務内容は施設による差も大きいと思いますが、施設のマイナールールだけにとらわれず、「全身管理をするうえでコアとなる考え方」を身につけ、「世界標準からはずれていないか?」という目線も持ちながら仕事をできれば、よりかっこいいICUナースだと思います。

「Think Globally, Act Locally」という言葉があります。もともとは「地球規模で考え、地域で行動する」という環境問題へのアプローチを示した言葉ですが、これは医療にも当てはまります。世界標準の医療を意識し、目の前の患者さんに実践できたらかっこいいと思います。本書がThink Globally, Act Locallyを実践する一助になればうれしい限りです。

書籍の案内




ICUナースの疑問、3分で解説します!

ICUナースの疑問、3分で解説します!
人工呼吸器、循環管理、鎮痛・鎮静、栄養療法……、ICUナースにほんとにきかれたことをまとめました
検索だけでは解決しない疑問がゆるわかり!


根拠に基づいた回答だから納得できる!
日々感じるちょっとした疑問ほど、「どんな検索語だったら、私の知りたいことがわかるの?」と思ったりしないだろうか。そんな「今さら」、しかも「漠然としている」、でも「本当に知りた~い!」という40の疑問をわかりやすい言葉で簡潔に解説。Q&A形式で好きなところから読める!

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目次


【第1章 呼吸生理をマスターすればこわくない】
Q01 SpO2が何パーセントならOKですか?
Q02 ICUで気管挿管するときのポイントを教えてください
Q03 人工呼吸器のモードについて教えてください。アシストコントロール(A/C)、SIMV、プレッシャーサポートをどのように使い分けていますか?
Q04 患者さんの呼吸がつらそうなときの対応を教えてください
Q05 酸素を投与する際に、ベンチュリーマスク、ハイフロー療法、非侵襲的陽圧換気(NPPV)療法、フェイスマスク、鼻カニューラなどをどのように選択していますか?
Q06 抜管するときの評価をPSVで行うときとTピースで行うときがありますが、どちらがよいですか?
Q07 いろいろな人工呼吸器やモードがあって困ります。最近の人工呼吸器についているモードの特徴と観察ポイントを教えてください
Q08 ARDSの患者さんの観察ポイントを教えてください
Q09 腹臥位療法をするときの注意点を教えてください
Q10 ECMO中の呼吸管理のポイントについて教えてください
Q11 経肺圧ってなんですか?
Q12 最強の人工呼吸器設定を教えてください
〈Column 01〉低酸素血症の原因は?

【第2章 いまさら聞けない 循環の話】
Q13 血圧はどのくらいあればよいですか?
Q14 フロートラックの見かたとポイントを教えてください
Q15 輸液の速度はどうやって決めていますか?
Q16 心エコーをするときに、どんなところを見ていますか?
Q17 機械的循環補助を使っている場合の注意点を教えてください
Q18 小児の心臓手術後の血行動態と管理ポイントが理解しにくいです。わかりやすく教えてください
〈Column 02〉Aラインとカフで測定した血圧が違う!?

【第3章 緊急事態に慌てないために】
Q19 心停止に対する対応のポイントを教えてください
Q20 敗血症性ショックの初期対応について教えてください
Q21 重症外傷の対応について教えてください
Q22 急変対応をするときに緊張してしまって、うまく対応できません
〈Column 03〉ABCDEFバンドル

【第4章 ICUでよく使う薬剤の話】
Q23 プロポフォール、ミダゾラム、デクスメデトミジンなど鎮静薬の使い分けについて教えてください
Q24 フェンタニルやモルヒネなど、鎮痛薬の使い分けについて教えてください
Q25 栄養としての輸液について教えてください
Q26 抗てんかん薬の使い分けについて教えてください
Q27 ノルアドレナリンとバソプレシンの使い分けについて教えてください
Q28 抗菌薬はどのように選択していますか? バンコマイシンはどんなときに使いますか?
Q29 ステロイドはどんな効果がありますか?
〈Column 04〉オーバーラップスイッチ法って必要なの?
〈Column 05〉小児の持続投与は、薬液の濃度 or 流量、どちらで調整?

【第5章 デキるICUナースになるために】
Q30 発熱時の対応について、クーリングのみにするか発熱時指示の解熱薬を使ったほうがよいのか迷います
Q31 患者さんが眠れないときの対応はどうすればいいですか?
Q32 せん妄の対応を教えてください
Q33 血液ガス分析の結果は、まずどの項目をチェックしていますか?
Q34 血液浄化療法はどんなときに行いますか? 看護のポイントも教えてください
Q35 経腸栄養を始めるタイミングはどうやって決めていますか?
Q36 頭部外傷患者の看護のポイントについて教えてください
Q37 意識レベルをGCSで評価するときのポイントを教えてください。鎮静中の場合も迷います
Q38 熱傷患者の看護のポイントについて教えてください
Q39 便秘や下痢の対応を教えてください
Q40 全身管理をするうえで、ICUナースにこれだけは絶対におさえておいてほしいポイントがあれば教えてください
〈Column 06〉DNAR

発行:2024年7月
サイズ:A5判 248頁
価格:2,970円(税込)
ISBN:978-4-8404-8513-5
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オペナースの疑問、3分で解説します!

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そうだ、麻酔科の先生に聞いてみよう!


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質問しやすい麻酔科医に「ねえ先生、あのときはどうしてこうしたんですか?」と聞いたことはないだろうか。改まっては聞きづらい、でも本当は知りた~い!という68個の疑問をわかりやすい言葉で簡潔に解説。Q&A形式で好きなところから読める!

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