●書評
一人の素朴な疑問はみんなの切実な疑問でもある
なんとなく疑問に思ったことを気軽に投稿すると、文献やガイドラインを吟味した専門家からプロの私見を交えた回答が届く。とある施設のICUにはこんな素晴らしいポストがあるという。だがうらやむ必要はない。この秀逸なポストから生まれたQ and Aが書籍化されたからだ。一人の素朴な疑問はみんなの切実な疑問でもある。難しい呼吸生理や循環の話、各種デバイス、緊急対応、薬の使い分け、異常時対応、小児、外傷、熱傷と範囲は幅広い。
なにより現場で使える形で書かれているのがよい
なにより現場で使える形で書かれているのがよい。たとえば気管挿管中の手技者に、モニタのどの値を報告するだろうか。酸素飽和度? 間違いではないが、酸素飽和度はモニタの音、つまり耳で聞こえている。「(Aラインの収縮期血圧を)声に出して共有してくれると助かります」という一文から、著者が現場の第一線に立つ臨床医であることが垣間見える。
読みやすさの点でも本書は頭一つ抜けている
読みやすさの点でも本書は頭一つ抜けている。たとえば、ページをめくるごとに現れる和やかなイラストはすべて補足説明の意味を持ち、効果的に配置されていてわかりやすい。ICU領域で頻出の難しい英語や略語には、初出時にほぼすべてカタカナ読みが付く。鉱質コルチコイドにあえて「ミネラル」とルビ(読み方)を振るのも現場向きだ。語呂合わせや年号を使った著者ならではの暗記法もある。ここまでわかりやすくできるのかとその気配りに頭が下がる。
まさに百聞は一見に如かず。本書の帯に書かれた「疑問がゆるわかり」の言葉に偽りはなし。
書籍紹介
人工呼吸器、循環管理、鎮痛・鎮静、栄養療法……、ICUナースにほんとにきかれたことをまとめました
検索だけでは解決しない疑問がゆるわかり!
根拠に基づいた回答だから納得できる!
日々感じるちょっとした疑問ほど、「どんな検索語だったら、私の知りたいことがわかるの?」と思ったりしないだろうか。そんな「今さら」、しかも「漠然としている」、でも「本当に知りた~い!」という40の疑問をわかりやすい言葉で簡潔に解説。Q&A形式で好きなところから読める!
発行:2024年9月
サイズ:A5判 248頁
価格:2,970円(税込)
ISBN:978-4-8404-8513-5
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著者インタビュー
著者の吉田圭佑先生に刊行のきっかけやイチオシのポイントを語っていただきました。
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