「それ、前にも言ったよね?」──先輩からそう言われて、「聞いていないけど」「そんな言い方をしなくても」と引っかかったことはありませんか? その場ではとりあえず謝っても、モヤモヤが残ることもあると思います。 では、無理に納得したふりをせず、話をこじらせないようにするには、どうすればよいのでしょうか。この記事では、書籍『職場での ナースの“伝わる”フレーズ集』をもとに、先輩の「前にも言ったよね?」への返し方を紹介します。


(メディカ出版 編集部)

先輩から「前にも言ったよね?」と言われたとき

「聞いていません」と返すと角が立ち、これからどう対応すればよいのかを確認しにくくなります。かといって黙ったままでは、相手に「無視された」「反発している」と受け取られるかもしれません。とりあえず謝るだけでは、わからないことが残る場合もあります。

大切なのは、その場で「言った・言わない」の結論を出そうとすることではなく、これからどう対応すればよいのかを確認することです。そこで使いたいのが、「あらためて確認させてもらえますか」という一言です。

つい言ってしまいがちなフレーズ
「いえ、聞いていません」

☛ 「言った・言わない」が争点になり、必要な確認ができません。

仕事を前へ進めるフレーズ
○説明を受けたものの、理解できていなかった場合
「すみません、私の理解が浅かったです。あらためて確認させてもらえますか」
○認識にずれがありそうな場合
「間違って認識していたかもしれません。もう一度だけ教えてもらえますか」
☛ 状況に合う言葉を選ぶことで、わからない点の確認へ進むことができます。

本当に聞いた記憶がない場合でも、相手を否定せず、「すみません、あらためて確認してもよいでしょうか」と聞いてみましょう。なお、言い方への違和感が続く場合や、一人で受け止めることがつらい場合は、相談できる先輩や上司に共有することも選択肢の一つです。

*  *  *

先輩に指摘されたときだけでなく、後輩へ注意するときや同僚から依頼されたときにも、思わず口にした言葉がこちらの意図とは異なる伝わり方をすることがあります。

ここからは、後輩や同僚とのやりとりで、つい口にしがちな言葉と、伝えたいことがより明確になる言い換えを見ていきます。

応用例① 後輩のミスを一緒に振り返るとき

後輩のミスを振り返るとき、とっさに「なんでそのようにしたの?」と聞いてしまうことがあります。しかし、この聞き方では、後輩が責められたと受け取り、状況を説明する前に弁明を始めてしまうかもしれません。

ミスが起きたときの状況を話してもらうには、まず何が起きていたのかを尋ねることが大切です。

つい言ってしまいがちなフレーズ
「なんでそのようにしたの?」

☛ 責められたと受け取られやすく、状況を振り返る前に弁明が始まってしまいます。

仕事を前へ進めるフレーズ
「大変だったね。○○が起きたとき、どんな状況だったか教えてもらえる?」

☛何が起き、どの時点で対応に迷ったのかがわかれば、次に同じ状況になったときの対応を一緒に考えられます。

後輩の判断をすぐに「良い・悪い」と決めつけるのではなく、まず「そのとき何が起きていたのか」を一緒に確認しましょう。どの時点で何に迷ったのかがわかると、次に同じ状況になったときの対応を具体的に考えられます。

応用例② 依頼にすぐ対応できないとき

別の患者さんに対応しているとき、同僚や先輩から仕事を頼まれ、とっさに「いまはできません」と返してしまうことがあります。しかし、それだけでは、依頼そのものを断っているのか、あとなら対応できるのかが相手に伝わりません。

このようなときには、すぐには対応できない理由と、いつなら対応できるのかを伝えると、相手は待つのか、別の人へ頼むのかを判断しやすくなります。

つい言ってしまいがちなフレーズ
「立て込んでいるので、できません」

☛ 「できません」だけでは、いま対応中の業務との優先順位や、いつなら対応できるのかが相手に伝わりません。

仕事を前へ進めるフレーズ
「いまから○○さんのトイレ介助に入るので、○分後であれば対応可能です」

☛ 現在の状況と対応可能な時刻を示すと、相手が次の動きを選びやすくなります。急ぎかどうかも確認しましょう。

現在の対応と、引き受けられるタイミングを伝えることで、相手と対応方法を相談できます。急ぎの依頼であれば緊急度を確認し、必要に応じてリーダーやほかのスタッフへ協力を求めましょう。

まとめ 反射的に返さず、状況に合う言葉を選ぶ

「聞いていません」「なんで?」「できません」……焦りや戸惑いがあると、思わずこうした言葉が出ることがあります。しかし、これらの言葉は、相手を否定したり、責めたり、依頼を断ったりする意図で受け取られ、やりとりがこじれることがあります。

それを防ぐために、反射的に返すのではなく、仕事を進めるために必要な内容を具体的に伝えましょう。
 ・仕事を進めるために必要な内容をあらためて確認する
 ・相手を責めるのではなく、ミスが起きたときの状況を尋ねる
 ・すぐに対応できないときは、いつなら対応できるかを伝える
大切なのは、その場で伝えるべきこと・伝えたいことを整理し、必要な内容、知りたい状況、対応できる見通しなどを具体的に言葉にすることです。

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