看護師クリエイティブプロジェクト「fractale」のみなさんが、毎回テーマに沿ってそれぞれの看護の足跡を残していく本企画。
「学びかたを学ぶことで看護師として生きる選択肢をふやしていく」ことをコンセプトに立ち上げたメディア「メディカLIBRARY」のスタッフが、毎回、フラクタルのみなさんにテーマを伝えています。
今回は「フラクタル」の連載が100回を迎えたことを記念して、mizukiさんとsatomiさんにリアルで集まっていただきました。これだけ息の合った連載を続けていただくお二人も実に4年ぶりに直接お会いされるとのこと。たくさんのお話を聞かせていただくなかで今までの記事を振り返ってもらったり、これからの連載の方向性についてもざっくばらんに話していただきました。前編・後編の2回にわたって掲載します。
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編集部:
mizukiさん、satomiさんご無沙汰しています。この度は連載100回おめでとうございます。そして約4年にわたるご執筆ありがとうございます。さっそくですがこれまでの100回の記事で印象に残っている内容はありますか?
mizuki:
毎回大変でしたけど、たくさんありすぎて選べないですよね。
satomi:
どこから語ろうかな、から始まりますもんね。
編集部:
第1回の内容って覚えていますか。
mizuki:
第1回のテーマは「尿道カテーテル」。なんか、今より攻めてるね。
編集部:
はじめは看護技術などの臨床看護に関係するテーマでお願いしていました。
mizuki:
あーそっか、「大好きな検査値」についてのテーマとかだったんだ。
satomi:
経管栄養とかもやっていますね。手技のテーマは一通りやってる感じですね。
mizuki:
やってるね。連載を開始した直後にコロナ禍に入っちゃってさ。それで2020年の4月に特別編を書いたじゃないですか。なんか、このテーマを書く時代に連載していることってすごいなと思う。今まで生きてきてさ、そんな特別なことってあんまりなかったし、しかも日本とか世界各国でこんなに看護師が注目されることもなかったと思うし、医療現場がこんなになんか大変になったこともなかったし。で、実際病棟で働いててコロナ対策とかさ、PCR検査とか、患者さんをゾーンに分けて隔離するみたいなことを自分が生きてるうちにやるとは思ってなかったんですね。コロナでの、あの特別編を書いた時期が、1番大変だった気がするな。
編集部:
あのころは、これからどうなるかもわからない状態のなかで執筆してもらっていましたね。
mizuki:
たまに打ち合わせとか顔合わせをしたかったなとは思うんだけれども、結局、そういう時代だったから会えずじまいでした。だけど、100回も続いたのってすごいなって思う。100回続くことって、ここまできたら一つのステップかもしんないけど、それでも4年近く続いたってことは、すごいなって思う。
編集部:
4年にわたる隔週連載で定期的に締め切りがくるっていうことはどう感じましたか?
mizuki:
僕の場合は、コロナ禍でサムネイル用の写真を撮影するのが大変でした。県外への移動ができなくて、遠出もできない状態で写真を撮らないといけないっていうのがすごく難しくて。
satomi:
私もサムネイルは苦労しました。じつは毎回裏テーマを決めてるんです(笑)。過去の印象に残っている写真のなかから、文章とリンクするやつがいいなと思って選んで。コロナ禍で出かけられなかった時期の写真はたしかに苦労しました。もうネタがない、みたいな。
編集部:
最近で言うと、satomiさんの第94回の温泉の写真が印象的でした。
satomi:
地獄谷温泉! 詳しくは伏せますけど看護は大変だよっていう裏テーマでした(笑)。
編集部:
「この写真、フラクタルの連載で使えるな」と狙って撮ったものってありますか?
satomi:
ありますね。景色を見るときっていろんな感情とともにその景色を見ていると思うんですけど、写真で見返すとそのときの感情とか思い出すじゃないですか。私はどちらかっていうと理論より感情のほうが豊かな看護師なので、そういう場面の写真はいつか使うだろうなみたいな感じで撮りためていますね。
編集部:
satomiさんのなかで、このサムネイルはドンピシャだったものはどれでしょうか?
satomi:
第10回ですね。赤と青の噴水の写真なんですけど、テーマがポジショニングで、血流に関することにも触れた内容でした。静脈が青で動脈が赤っていう表現ってするじゃないですか。だからこのテーマにはこれしかないって思いました。
編集部:
確かにあれは記憶に残ってますね。
mizuki:
第52回のポストが2つ曲がってるやつも覚えてる。
satomi:
かわいかったですよね。けっこう感覚的なところもあるので、伝わる人にしか伝わんないだろうなって思いつつ……(笑)。
編集部:
mizukiさんは今までで1番苦労した写真はどれでしょうか。
mizuki:
僕もただ数字を載せるだけじゃなくて、なるべく1週間前、古くても1カ月前に撮ったものを載せるようにしてて。けど100を超えてくる数字って、けっこう探すのがむずかしいの。今までは4桁の数字があったら、その最初の2桁とか最後の2桁とかを駆使してきたんだけど、そもそも9っていう数字も電車にとっては特別な数字で、あんまりありえないの。試運転だったりとか、試作車両だったりとか、そういう特別なものが、9なのね。まずサムネイルに使うための数字を探すために、ネット上で全部調べて、仕事が終わってからその電車に合わせて駅で待ち伏せしたりする。59までは時刻表のなかに数字があるの。けれど60からはないわけなんだよ。だから60を過ぎてから、結構きつくなったかな。
だから印象に残っているのは、第61回のやつだったり、第72回だったり。第72回のやつは、ほんとはバスを撮りたかったんだけど、LEDライトのせいできれいに撮れないの。だからこのときはバス停を撮ったっていう苦渋の選択をした。撮りに行った日はすごい雨が降ってて、バスが来たと思って写真撮ったら、全部ボツ。その一方で、第57回は切れずによく撮れたなと自分でも思っていて。先頭でずっと待ってたの。このときは40分ぐらい駅の先頭でずっとリュックサックしょって待ってた。
あとは、この第94回のとき。
satomi:
これってなんの機械ですか? わからないです(笑)。
mizuki:
前の踏切が鳴ってから94秒後にこの踏切が鳴るというセッティングが書いてある。
satomi:
なんで94秒って決まってるんですかそれ。
mizuki:
電車の速度がだいたい決まってるから。ほんとはこれからもこういう写真を撮りたいんだけど、できない。
編集部:
これは、100秒以上だったら3桁になるんですか?
mizuki:
うん、多分、102とかなんじゃないですか。でも、そこまで間隔が大きい踏み切りがあんまりないかも。それ以外にも近くの信号が青になってから60秒とかになる。なんかいろいろルールがあるの。あの、今回のトークはタモリ倶楽部じゃないからそんなに突っ込まないで(笑)。
あとは第41回のときはこれを撮りにいったら偶然41の車両が通ったの。
これは誰かのX(旧twitter)で画像を見つけたから、その日に行けばいいやと思って行ったら、たまたま乗ってた車両が41だったの。
satomi:
SNSに載っている画像とかも、使える数字がないか普段からアンテナはっておかないといけないですね。
mizuki:
うん、つねにサムネイルに使えそうなものがないかなって探している感じ。写真を見てほしいわけじゃなくて、一番は記事を読んでほしいんだけど、ただ、やっぱりここまで来たら、意地でもやってやろうかなと思います。
(後半に続く)
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fractale~mizuki~
twitter:mizuki@おぬ12年目看護師(@c_mikzuki)
乗り物好きな看護師。事務職、データベースエンジニアを経て31歳で看護師に。脳外科、回復期、精神科病棟を経験。その後は在宅医療を経験し、再度精神科病棟へ。看護師クリエイティブプロジェクト「fractale」管理者。医療メディア「メディッコ」メンバー。看護師のキャリアについて考える「ナスキャリ部!」副部長(仮)。その他多数プロジェクトに参加。好きな言葉は「まだ見ぬ誰かの笑顔のために」。好きな看護技術はひげ剃り(その他ほぼ不得意)。好きな看護業務はリーダー業務。好きな都バスの路線は【業10】新橋~とうきょうスカイツリー駅前。
fractale~satomi~
twitter:さとみ(@minisatominy)
三度の飯よりお酒が大好きな飲兵衛看護師。仕事終わった瞬間からが本番だと思っている。仕事は真面目な自信あり。大学病院消化器外科3年、民間病院ICU2年、公立病院脳外科夜勤専従、訪問入浴、デイ、老健など1年の派遣生活を経て、メルボルンへ10ヶ月の看護留学。帰国後から訪問看護師として働き3年目。座右の銘は「笑う門には福来たる」。根からの明るい性格を最大限に利用し、日々楽しく訪問中。マルチポテンシャライトだから特技っていう特技はないけど、強いて言えばラポール形成が無駄に得意。今までクレームや担当変更がないのが密かな自慢。ちゃっかり保健師免許所有。
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