看護師クリエイティブプロジェクト「fractale」のみなさんが、毎回テーマに沿ってそれぞれの看護の足跡を残していく本企画。

「学びかたを学ぶことで看護師として生きる選択肢をふやしていく」ことをコンセプトに立ち上げたメディア「メディカLIBRARY」のスタッフが、毎回、フラクタルのみなさんにテーマを伝えています。

今回のテーマは「好きな検査値」です。


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私が好きな検査値、それはヘモグロビン量、Hbだ。

1番はラクテートが好き。
だけど血液ガス分析でしか測定することができないため、なじみがない人にはまったくないと思う。

よって却下。

Hbは、血算というもっとも実施される可能性が高い検査で数値が出るので、採血をするとなればすぐにその数値がわかることも大きな魅力のひとつだ。

『ハーベー』とはじめて声に出して言ったとき
『うわ、プロっぽい……』と思ったことも覚えている。

Hb、はご存じのとおり赤血球に含まれている血色素のことで、正常値は男性で13~19g/dL、女性で12~18g/dLとなっている。

血液内科の病棟では血球減少の有無などを、外科病棟・ICUなどでは出血の有無などを確認するため、また術後などで大量の輸液で血液が希釈されていないかを確認するために採血をされている。

もちろん輸血を実施するかなどを確認する重要な指標になる。

術後の早期離床を行ううえで、術翌日にとくに注意して確認していたのがHb。
値だけではなくて、入院時や術前と比較して確認。
それからオペの記録で出血量を、入室時から翌日までの輸液量と尿量も確認。

術後はカタボリックになるため疲労感・倦怠感が起こりやすいが、それが生理的変化から逸脱していないかをアセスメントするときにも、Hbは重要だ。
(もし出血してる場合は赤血球も血漿も同時に減少しているため、検査データでは貧血をきたしていない可能性もある……)

Hbだけを単独で見ることはないが、全身のガス交換を担っているHbは、循環にも呼吸にも影響が大きいので、とくに気にして確認していた。

『これだけHbが下がってたら、怠(だる)いし、苦しいかもなぁ』

そんな想像をしながら術翌日の患者さんの元へ向かう。
夜間は酸素吸入をしながら安静にしていた患者さん自身も、自分の変化に気が付いていないことがある。

離床の前には清拭をして、バイタルサインを測定するが、清拭のときから離床への準備は始まっていて、『ギャッチアップをして血圧は下がらないかな?』『袖を通すときに痛みは出てこないかな?』『清拭をしてすこし動いてみて、変化は起こらないかな?』検査データと実際の患者さんを結びつけながら、アセスメントをしながら、看護も提供していく。

『Hbが7.9g/dLだけど、意外と平気そう。もともとすこし低めだったからかな。回診でもなにも言ってなかったし……』

と、思っていたら医師がすっ飛んできてとつぜん輸血実施の指示が出る場合も、たまにある。たまに。


疾患によって目標とするHbは異なってくる。

正常値と輸血実施の基準値、目標とするHb値まで余裕があったら覚えておきたい。

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#001 孤独にDance in バベル


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twitter:のぞみ(@sratsylenol

看護師クリエイティブプロジェクトFractaleのエモ担当。なぜか気が付いたら在宅沼に片足突っ込んでいた7年目看護師。外科・脳外科病棟→救命救急センター→集中治療室→2020年2月から在宅。新米訪問看護師。輸液ポンプ、シリンジポンプのコード整理の特技が活かせなくなってしまった。元葬儀屋、病院栄養科勤務経験のある社会人から看護師パターンのやつ。ケアの原点を在宅に感じて、改めて生と死を見つめ直そうとしている。趣味は筋トレと読書とロードバイクと音楽鑑賞。B'zに対する並々ならぬ執着心がチャームポイント。 好きなトレーニングはレッグエクステンション。


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