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事例

Aさん(24歳、女性)は、20歳の時に会社の健診で糖尿病を指摘され、近医でSU剤を開始しました。22歳頃より次第に血糖が上昇し、SU剤を最大量まで増量しましたが血糖値は下がらず、数か月前より血糖が急上昇し、痩せてきたため入院となりました。肥満、飲酒歴、喫煙歴なし。空腹時血糖260mg/dL、HbA1c13%、血中Cペプチド0.4ng/mL、尿ケトン(+)、抗GAD抗体強陽性でした。

問題

 Aさんの入院時の治療方針として、不適切なものはどれですか。
<正解率50%>

(1)SU剤に加えて、インスリン抵抗性改善薬を追加する。

(2)SU剤を中止して、インスリン治療を導入する。

(3)合併症の評価を行い、血糖コントロール目標を決める。



… 正解は …











(1)

解説

(1)⇒インスリン分泌が低下しており、SU剤にインスリン抵抗性改善薬を併用しても効果は期待できません。
(2)⇒インスリン分泌が低下しているため、インスリン治療を導入すべきです。
(3)⇒4年前に発症し、数か月前より血糖が急上昇しているため、ここで一度合併症の評価をしておくことは必要です。合併症の状態に合わせてコントロール目標を決める必要があります。

SU剤は膵臓を刺激してインスリン分泌を促す働きをしますが、長期間の使用で血糖が次第に上昇していく「二次無効」となることがあるため注意が必要です。血中Cペプチドはインスリン分泌能を知ることができ、基準値は空腹時で1~3ng/mL、随時で4ng/mL以上です。0.6ng/mL未満はインスリンの分泌能が低下していると判断されます。また、1型糖尿病は自己免疫性と特発性があり、自己免疫性では抗GAD抗体や膵島細胞抗体(ICA)などの膵島関連自己抗体の陽性率が高くなります。Aさんは、発症当初はSU剤に効果を示していましたが、徐々にインスリン分泌が低下し、SU剤二次無効を示した緩徐進行型1型糖尿病(SPIDDM)です。

※2021年8月2日掲載の再掲載です。