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事例

Aさん(24歳、女性)は、20歳の時に会社の健診で糖尿病を指摘され、近医でSU剤を開始しました。22歳頃より次第に血糖が上昇し、SU剤を最大量まで増量しましたが血糖値は下がらず、数か月前より血糖が急上昇し、痩せてきたため入院となりました。肥満、飲酒歴、喫煙歴なし。空腹時血糖260mg/dL、HbA1c13%、血中Cペプチド0.4ng/mL、尿ケトン(+)、抗GAD抗体強陽性でした。

問題

Aさんの血糖値は安定し、無事に退院することになりました。退院指導で適切でないものはどれですか。
<正解率32%>

(1)食事療法、運動療法を徹底して行うことを指導する。

(2)食事ができないときは、超速効型のインスリンは打たないよう指導する。

(3)体調が悪いときは、血糖値が上昇しやすいため、普段から血糖値を測ってみるよう指導する。



… 正解は …











(1)

解説

(1)⇒Aさんは緩徐進行型1型糖尿病(SPIDDM)です。また肥満もありません。そのため、治療の基本はインスリン療法であり、食事制限や運動療法を積極的に行う必要はありません。
(2)⇒超速効型インスリンは、食事摂取によって上昇する血糖値を抑えるための追加分泌を補うインスリンです。そのため基本的に、食事ができないのであれば打つ必要がありません。
(3)⇒シックデイです。シックデイは、炎症性サイトカインやインスリン拮抗ホルモンが増加するため、インスリンの作用は著しく低下します。また、発熱や下痢、嘔吐などによって水分が喪失されると、脱水傾向となります。そのため血糖値は上昇しやすい状態です。普段から血糖測定を行い、高血糖状態になっていないか確認が必要です。

1型糖尿病の治療の基本はインスリン療法です。インスリンに対する正しい知識をもって、生活の中でうまく血糖コントロールをしていくことが求められます。また、糖尿病患者への指導において、低血糖やシックデイの知識と対処は重要です。自分でできる対処方法と、受診が必要な場合をしっかりと指導しておく必要があります。

※2021年8月6日掲載の再掲載です。