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事例

Aさん(65 歳、男性)は、肝細胞がん(hepatocellularcarcinoma)と診断され、肝右葉切除術を受け、肝切離面にドレーンが留置されています。既往に糖尿病があり、インスリン注射でコントロールしています。術後3日目になりました。

問題

Aさんの全身状態は良好のため創部の自己管理が習得できれば退院の方針となりました。創部の退院指導として最も適切なのはどれですか。
<正解89%>

(1)「次の外来まで傷がどのように変化するかをみたいので、何か異常があったとしても受診する必要はありません」

(2)「シャワー浴は可能ですが、創部は濡れないように保護をしてください。シャワー後消毒薬を使って消毒してください」

(3)「熱が出たり、創部から膿が出る場合は受診してください」



… 正解は …











(3)

解説

(1)⇒創部にどのような変化があったときが異常かを指導し、その際は受診する必要があります。
(2)⇒創部には連日消毒薬を使用する必要はありません。医師の許可があれば、連日シャワーなどで洗浄することが良いとされています。消毒は新しい細胞を破壊するため、治癒を遅らせるといわれています。
(3)⇒発熱や膿の滲出を認めた場合は創感染を起こしていると考えられ、治療が必要な場合があるため受診をする必要があります。


退院後、自宅で創部などの自己管理が必要になった場合は、患者は非常に不安を抱きます。その不安を一つひとつ解決する指導が必要です。

※2021年6月4日掲載分の再掲載です。