新卒では看護師の仕事には就かず、農林大学校へ進学したまめこさんですが、コロナ禍に初めて病院で働きはじめ、農林大学校は退学することに。週3日で病院で働き始めて約2カ月。師長さんと相談して看護助手業務からスタートして、現在は緊張や不安を感じながらも周囲の温かい声かけにも助けられ、入浴介助や食事介助を担当しています……
朝の始業準備
階段の踊り場で休憩しながらゆっくりと上っていきます。頭の中ではずっと「あいさつ!あいさつ!」と唱え続けています。
ナースステーションに着き、主に看護助手が出入りするドアの前で一呼吸置いて「おはようございます」と言って中に入ると、看護助手さんたちから「おはよう~」と声が返ってきます。
看護助手さん「今日は別の階の入浴介助行くんだっけ?」
私「明後日はまた入浴介助入ってと言われていますが、今日は言われてなかったと思います」
看護助手さん「そかそか、おっけ〜」
荷物を入れようと引き出しを開けるとすでにいっぱいでした。この引き出しに入らないときは看護師が使う棚も使っていいと言われていたので看護師の休憩室に入りましたが、その棚もいっぱいでした。
仕切りで8つに分かれていて、すべてにバッグが入っていましたが、1つだけバッグが小さくて私のバッグも入れられそうな場所があり、そこに入れることにしました。
勤務開始まであと10分。
この時間が、とても長いのです。
わからないことが聞ける安心感
看護助手さん「まめこさん陰洗ボトル作ってくれるー?」
私「わかりました。ここにあるボトル全部に入れちゃっていい感じですか?」
看護助手さん「うん!」
私が微温湯をボトルに入れ、助手さんがオムツカートのワゴンに次々乗せていきます。
看護助手さん「あとのボトルは持ってきて〜。先行ってるね〜」
入職したてのころ、おむつ交換は2人で行っていましたが、最近はできるところは1人でやるようになりました。身体の大きい患者さんのおむつ交換は体位変換するのが大変なので、声をかけて手伝ってもらいますがそれ以外は1人で行います。
1人で行うといっても同じ部屋に何人か助手さんたちがいるので、わからないことがあればすぐに聞けるので安心です。
私「この方、パッド2枚入れますか?」
看護助手さん「1枚取って、もう1枚は濡れてなければそのままでいいよ〜。この方はおしっこ多いから漏れないように2枚入れてるんだよね〜」
看護学生のときは実習中にわからないことがあっても、看護師さんが常に忙しく動いているのでなかなか聞けず不安なことが多々ありました。なので、わからないことをすぐに聞ける環境で、かつ聞きやすい方々ばかりで本当に助かりました。
おむつ交換を続けているときにふと、「あれ、私いまあまり腰痛くない」と気づきました。農林大学校に荷物を取りに行く前は、腰の痛み・大腿部の痺れ・尿失禁まであり、これは腰をやってしまったと思いました。
せっかく縁があって周りにも恵まれて働けているのに、腰のせいで働けなくなってしまったらどうしようと不安になりながら整形外科を受診した結果、MRI画像は驚くほど何も問題がなかったのです(#022「意外だった診断結果」参照)。
筋膜の炎症と診断され、ロキソニン®パップを貼りながら数日過ごしてきました。おむつ交換のときに腰に負担がかかっているはずなのに、前よりはまったく気になりません。
身体の大きい患者さんの体位変換をするときに少し痛む程度です。これは気の持ちようということなのでしょうか。
ちょっとした判断
朝のおむつ交換から入浴介助の外回り、食事介助などの午前の業務を終え、看護助手の休憩所に戻ります。
看護助手リーダーさん「このバッグ、まめこさんの?」
私「そうです、私のです。」
看護助手さん「1つの枠にバッグを2つ入れないでって看護師さんから言われたから、次また入れるところがなかったら聞いてね」
心臓がバクッとしました。
私の考え方だとバッグを入れるスペースがなかったから比較的空いているところに入れてもいいと思いましたが、定型発達の人は1つの枠に2つのバッグ入れるのを嫌がるのだなと思いました。
気をつけていたけど、こうしたちょっとした判断を間違えてしまう。非定型発達者が定型発達者向けの世界で生きるのはやはり難しいなとひしひしと感じます。覚えておかないといけないことがまた1つ増えました。