このたび、メディカのセミナー(リアルタイム/オンライン)として、「リン・カルシウム管理まるわかり教室セミナー」を開催いたします。本セミナーは、『透析ケア』28巻8号特集「透析室スタッフ必修ですよ! リン・カルシウム管理 まるわかり教室」(詳細はコチラ)と内容が連動していて、誌面を見ながら学ぶスタイルになっています。

今回はセミナー開催を記念して、その一部を特別に公開いたします。

リンって何?

まずリンについて紹介します。リンやカルシウムが私たちの体内に存在することは、生物の進化過程と密接に関連しています。生物がリンやカルシウムが豊富な海水の中からミネラルの少ない淡水へ、さらには乾燥した陸に上がる過程で、重力に耐えながら長い距離を移動するために、リンやカルシウムを貯蔵する骨をつくり、さらに筋肉を発達させました。つまり、陸上に進出した生物は細胞周囲の環境を進化後も維持するだけでなく、移動を支える骨にリン、カルシウムを貯蔵するシステムを発達させました。

リンは体内のどこにいるの?

前述したとおり、リンは骨に多く分布しています。骨のコラーゲン線維の中に約85%が取り込まれており、細胞外液、すなわち血液や細胞間の組織にはわずか1%しかありません。
血中のリン濃度の正常値は、施設によって多少異なりますが、2.5~4.5mL/dLです。

透析患者からは悪者扱いされるリンだけど…

リンには、生きていくためのエネルギーであるアデノシン三リン酸(ATP)を産生するという大事な仕事があります。私たちはATPをつくることで、エネルギーをつくって生活しています。そのほか、リンは細胞膜や骨を構成しています。
透析患者では悪者扱いをされるリンは、じつは生きていくために必要なミネラルなのです。また、体内で酸とアルカリのバランス調整、浸透圧の調整、筋肉のエネルギー代謝、神経伝達、蛋白質のリン酸化などの役割も担っています。

体内におけるリンのイン・アウトは?

ヒトは食事から1日あたりおおよそ1,000mgのリンを摂取します。食事に含まれるリンは、活性型ビタミンDによって小腸から吸収されます。その一方、リンは消化液として分泌されます。腎臓の糸球体を通過したリンは、約80~90%が再吸収されます。
腎機能が正常な人だと、このようにしてリンのイン・アウトが行われているのです。

リンを多く含む食材や体内へのリンの吸収率は?

リンが多く含まれるものには、魚介類・穀類・卵類・乳類・豆類があり、食品添加物として使われる各種リン酸塩などにも注意が必要です。
リンの吸収率は食材によって異なります。植物性たんぱく質は動物性たんぱく質より、リン吸収率が低いです。一方、食品添加物に含まれる無機リンは、80~100%が吸収されます。
「だったら、無機リンの摂取を抑えないといけない!」と思われるかもしれませんね。無機リン(食品添加物)が多く使われている食品は控える必要があるのですが、じつはリンの摂取源は食品添加物よりも食事のほうが圧倒的に多いです。ですから、食品添加物ばかりに目を向けるのではなくて、食品としてリンを多く含むたんぱく質の適量を把握して、食事をコントロールすることが大切なのです。

リン・カルシウムについて
いまよりもっと説得力のある指導ができるようになりませんか!?


今回は、「リンとは何者なのか?」ということを中心に紹介しました。
実際のwebセミナーでは、上記のような基本的な知識から、血清リン値が高い・低いと生命予後や合併症の発症にどのようにつながっていくのか、どう指導につなげていけばよいのかなどについて、たくさんの根拠とともに解説します。
リアルタイムセミナーでは質問コーナーも設ける予定ですので、ふだんのお悩みを解決する場としても、ぜひご活用くださいね。




案内

■リアルタイム配信
配信日時:2022年8月28日(日)10:00~11:20(約80分)
申し込み締切:2022年8月26日(金)
対象:医療従事者
受講料:3,000円(税込)
詳細・受講申し込みはコチラから

■オンライン(アーカイブ)配信
視聴期間:~2023年9月30日(土)
対象:医療従事者
受講料:3,000円(税込)
詳細・受講申し込みはコチラから

////// 専門誌案内 //////

『透析ケア』28巻8号
『透析ケア』28巻8号
透析室スタッフ必修ですよ!
リン・カルシウム管理 まるわかり教室


特集内容
1 リン・カルシウムって何?
2 腎臓のはたらきが低下するとなぜ血液中にリンが溜まるの?
3 血清リン値が高いとどうして問題なの? ~慢性腎臓病に伴う骨・ミネラル代謝異常(CKD-MBD)~
4 食事・栄養はどうする?
5 透析はしっかり行おう!
6 服薬やPTHの管理は大丈夫?
7 低リン血症≒食事不足
8 リンの食事・栄養管理


定価:1,980円(税込)
刊行:2022年8月
ISBN:978-4-8404-7685-0

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