このたびオンライン講義『なるほど!わかる!!心肺蘇生の時間』(詳しくはこちら)がリリースされました。講師の三谷雄己 先生(広島大学 救急集中治療医学 / 県立広島病院 整形外科)、新人看護師役のゆきえさん、先輩看護師役の鳥ボーイさんに本セミナーについてお話を伺いました。




編集室:このたびはリリースおめでとうございます。あらためまして、皆さまの役どころと自己紹介をお願いします。

三谷先生:はい、県立広島病院 整形外科で勤務しています。広島大学救急集中治療医学所属の三谷雄己と申します。僕自身は救急専門医であり、救急医学会の公認のICLSインストラクターの資格を持っています。その他にも、JTCR(日本外傷診療研究機構)のJATECのインストラクターの資格も持っていて、そういった講演活動に携わっていた流れで、今回誘っていただきました。このセミナーの中で演じているのは結局同一人物の僕自身ではあるんですけど、心肺蘇生のことについて「やさしく教える」っていうところがキーワードかなと思ったので、そういうところを意識しながらレクチャーできる医師を演じました。

編集室:ありがとうございます。「やさしく教えるドクター」まさにその通りだなと思っております。続きまして、今回、新人看護師役を演じていただきました、ゆきえさん、よろしくお願いします。

ゆきえ:関西にある循環器内科と脳神経外科病棟で看護師として勤務しています。この4月から主任になりました。今回、新人ナースということで、フレッシュに若々しく演じるよう意識しました。

編集室:ありがとうございます。新人ナースも演じられて、実は主任っていう頼もしい存在感でした。 そして、今回、初のパペットという形で登場になりました、鳥ボーイさん、あらためて役どころと自己紹介をお願いします。

鳥ボーイ:今回、パペットの鳥ボーイとして登場しています。先輩看護師役です。芸人と看護師を経て、今は医療デバイスメーカーで働いています、鳥ボーイです。よろしくお願いします。

編集室:ありがとうございます。今日も“ええ声”ですね(笑)早速ですが、今回の「心肺蘇生の時間」は新人ナース役のゆきえさんが院内のBLS研修で寝てしまったところを、鳥ボーイ先輩が「なんであの研修で寝れんねん! 一番からだ使う研修やろ!」と突っ込むところから始まります。実際のBLSの研修で、思い出に残るエピソードがあればお伺いできますか?

三谷先生:そうですね。BLS研修は、今となってはレクチャーする側の経験の方が多いんですけど、初めてBLSを受けるのって――多分皆さんそうだと思うんですけど、自動車免許の教習所で初めて受けることが多いのかなと思います。そのころ、僕は医学生になりたてだったんで、ぜんぜん医学のことがわかっていなかったんです。

教習所には、僕、大学一年のときに行き始めたんですけど、いろんな大学の人たちが集まっていて、友達と一緒にいたり、あとはなんか「あの隣の隣にいる子が可愛いな」とか思いながらぼーっと講義を受けてたんです。すると、なんか、授業の途中でBLSの研修が突然入ってきて、席の近くでペアを組まされて、急に「ちょっと気になるな」って思っていた人と組むことになって、そこで「人が倒れています!」とかやらされるもんだから、もう、なんか「めちゃくちゃ恥ずかしいな」って思った思い出があります。

研修医になって、あらためて医学のことがしっかりわかってからもう一度BLSの研修を受けたときは、「これめちゃくちゃ大事なことなんだな」って思うようになりました。BLSって結構声を出したり、みんなとコミュニケーションをとったりするので、日本人的に考えると、ちょっと恥ずかしかったり、ちょっと嫌だなぁみたいに感じることもあると思うんですが、楽しんでできるような「実習の工夫」や「研修の大切さ」みたいなのがわかってくるとしっかり聴けると思うので、最近は「楽しくレクチャーすること」を意識しています。あと「恥ずかしくさせない」ところは大事かなと思っています。

編集室:ありがとうございます。確かにそうですね。では、ゆきえさん、先ほど三谷先生がおっしゃられた「恥ずかしさが吹っ切れた」みたいな経験はありますか? BLSを初めてされたとき、少し恥ずかしかったっていうのはあったと思うんですが……。

ゆきえ:そうですね。配役みたいなのがあるじゃないですか。患者役、先生役、看護師役とか……。順番に回されるんですけど、一番初めに恥ずかしい役をやっておくと、後が楽だなっていうのはありました(笑)

鳥ボーイ:はははは。

編集室:ちなみにどの役が恥ずかしかったんですか?

ゆきえ:先生とか看護師役は結構、声を出すんで恥ずかしいなっていう感じでした。それか、患者役をはじめにやって、頭の中でシミュレーションをしてから、(他の役を)やるのもありかなとは思いますけど(笑)

編集室:なるほど、なるほど、ありがとうございます。鳥ボーイさんは、声を出す芸人のお仕事を一時期されていたと思います。恥ずかしさを乗り切るコツはありますか?

鳥ボーイ:恥ずかしさを乗り切るコツはね、一回大きい声を出してしまうっていうのが一番やと思います。まぁ研修なんかも「大丈夫ですかー?」って、大きい声で言っちゃえば、別にもうあとは流れのままなんですけどね。

今、僕もゆきえさんや三谷先生の話を聞いて思い出したことがあるんですけど、やっぱ僕たち男性看護師って、傷病者役に当てられやすいですよね。

三谷先生:あるあるですね(笑)

鳥ボーイ:あるあるなんですけど(笑)。ある時、僕が傷病者役で倒れてるっていう状況でワンシーンやろうかって研修が始まったんですけど。そこで講師の先生のスイッチが入ったのか、僕が倒れてる状態のままで15分ぐらい講義が始まるっていう(笑)。僕、寝たまま聴いていたらいいのか、座って聴いたほうがいいのか、わからへん時間があったんですよ。

一同:あははは。

鳥ボーイ:あれは確かに恥ずかしかった(笑)

編集室:そういうのを乗り越えて、鳥ボーイさんの今があるということですね。

鳥ボーイ:そうですね。あれを“乗り越えた”と言うと、僕の人生のハードル低すぎる気がしますけど(笑)

編集室:(笑)ありがとうございます。そんなBLSから始まる今回のセミナーなんですけど、今回の一番の見どころを教えていただけますか?

三谷先生:そうですね。今回は「なぜこの勉強をすることが大切か」「どういうところで疑問を持つか」といった点からストーリー仕立てで学べるのはすごくいいところかなと思っています。

演者が出てきて話が展開していく中で、無理なく勉強していける感じっていうのは、初めて勉強する方にとってはスムーズに頭に入ってきやすいし、「勉強するぞ」と思って本を開いたり、「動画を見なきゃ」って思うような高いモチベーションじゃなくても、仕事終わりとかでもすんなり楽しく見られるっていうところがいいと思います。

編集室:まさに「仕事終わりに気軽に見始められる内容」その通りだなと思います。では、ゆきえさん、今回の見どころについて、印象に残っているところも含めて教えてください。

ゆきえ:そうですね。いわゆる研修動画っていろいろありますけど、淡々と講義を聴くだけだと2倍速とかで聴くこともあるんです。けど、先生もおっしゃったように今回のはストーリー仕立てになっているので入りやすいですし、コメディ要素もあって、笑いもあって、そういう番組になっているのが一番の見どころじゃないかなと思います。

編集室:本当にそう思います。その“笑い”を担っていただいたのが鳥ボーイさんです。

鳥ボーイ:いや、そうですね。見どころ聞きどころで言うと、やっぱり先生もゆきえさんも言ってましたけど、僕はやっぱり一番はね、三谷先生が用意してくれたスライドが非常にシンプルでわかりやすいってとこだと思います。動画をしっかり見て勉強しようっていう意気込みがなくても、シンプルに頭に残るスライドかなと思います。通勤のときでも、それこそ寝る前のお菓子つまみながらとかでも見られる気軽さがある、いいスライドだなと本当に思っていたので、あれはぜひ見ていただきたいところですね。

まあ、あともう一点加えるなら、鳥ボーイのパペットの動きが意外とプロじみてるところも見てほしいですね(笑)

編集室:そうですね(笑)。まずは、三谷先生のスライドをぜひご覧ください! ちなみに先生のスライドはPDFでダウンロードできます。

鳥ボーイ:それ素晴らしいですね。



編集室:この記事が掲載される頃は、新人の看護師さんが入職されて一か月、まだまだ現場に慣れていない時期かと思います。新人の看護師さんはじめ、心肺蘇生についての初心者の方へのメッセージをいただけますでしょうか。

三谷先生:このセミナーの中でも最後の方で触れているんですが、「チームで医療する」っていうところが、最初に入職したときにはイメージがつきにくいと思います。それぞれ、医師としての役割とか、看護師としての役割とか、それぞれその役割を全うするというか。どういう風に仕事するかっていうことに結構目が行きがちなんです。

だけど意外と大切なのは、ちょっと見逃してたところとか、補い合わないといけないようなところに気づくこと。あと、それをお願いしたりお願いされたりするのをスムーズにできるコミュニケーションかなと思います。

最初のころは、覚えることも指摘されることも多くて、つらい毎日が続くこともあります。だけど、楽しく挨拶をして、コミュニケーションをとって関係性を作っていく、みたいなところはやっぱり本質的にすごく大事なところだと思います。

なかなか毎日ついていけなくても、楽しくご機嫌に、人とコミュニケーションをとりながらできるっていうのが一番いいことなのかなと思うので、そこがポイントかなと。

編集室:ちなみに三谷先生がコミュニケーションをうまくやるコツはあったりするんですか?

三谷先生:初期研修医の立場で言うと、僕らって各施設とか各診療科を一か月おきとかにローテーションするんですね。だから指導医の先生に初めに教えられたのは、「自分は営業のセールスマンで売り込みに行く人だと思って、必ず出会った人、初めて会う人には挨拶をしたり、自己紹介をしなさい」「何かを教えてもらう前やお願いする前には、他の職種の方にも逐一、自己紹介をしてからにしなさい」って教わりました。例えば「外科研修中の研修医一年目の三谷です」と言ってから何かお願いをする、みたいな感じです。そういう「挨拶の大事さ」をよく言われていたのを覚えています。

編集室:なるほど。自己紹介をするのが一つ関係性を築くうえで大事ってことなんですね。ありがとうございます。では、実際にセールスマンとしてご活躍の鳥ボーイさんから新人看護師さんに向けてメッセージをお願いします。

鳥ボーイ:いや、そうですね。三谷先生が言った通り、しっかりとね、自分の名前だったり、キャラを売り込めば、しっかりと先輩たちは教えてくれると思うので、まず本当に声を出す。現場では声を出すっていうのと、あとは心肺蘇生の場面でも業務の場面でも、ちゃんと「ヘルプを出せる」「誰かを呼べる」っていうことができれば、まずはオッケーかなと思います。気軽に先輩を頼るっていうことが、一年目の仕事かなと思います。

編集室:ありがとうございます。いい言葉いただきました。ちなみにそのヘルプの出し方のコツを教えてもらえますか?

鳥ボーイ:ヘルプのコツですか? 大きい声で人を呼ぶだけです。

編集室:何かあったら「すみませんー!!」

鳥ボーイ:そうです! 心肺蘇生と一緒やで。

編集室:なるほど。「心肺蘇生と一緒」ということで、ありがとうございます。 最後にゆきえさん、4月から主任になられたということで……新人看護師さんに向けてのメッセージをお願いします。

ゆきえ:心肺蘇生の研修って、うちの病院の研修プログラムだと、本当に最後の方になるんです。そんな中でも急変っていつ起こるかわからないので、その時その時カンファレンスで振り返ったりしています。やっぱり課題として一番出てくるのは、コミュニケーションのことですね。自分から「ヘルプを出すこと」は勇気がいると思うんです。

最初はね、(心肺蘇生の)その場の雰囲気を、その場にいて、先輩たちの動きを見るだけでも、すごく自分のためになると思うので、その経験を持ち帰って、この動画を見て振り返りをするのに役立ててもらえたらすごく嬉しいなと思います。

編集室:そうですね、4・5月はいろんなことを覚えないといけないので、現場の経験を持ち帰って、あらためて見直してもらって、ぜひ活用してもらえたらと思います。

ちなみになんですけど、三谷先生。今回の企画について最初にお話を聞いた時に、そのままストンと納得してお引き受けいただけたものでしょうか?

三谷先生:初めての企画っていうことで、メディカ出版さんの中でも、キャッチーさとかユーモアみたいなものを入れた動画コンテンツを作りたいという話を伺って、初めのアイデア出しのところで、僕が「踊る救急医」名義で活動してるから、「踊ってなんかいろいろ問題を解決してください」とかすごい無茶振りの提案があったりして、ちょっとそれはできないかもしれないとか思ってたんですけど……(笑)

一同:あははは。

三谷先生:結果としてなんかとても楽しく見られるコンテンツになったし、今回いろんな繋がりができたんで、お受けしてよかったなと思っています。

編集室:ホッとしました。それでは最後に読者の方にメッセージをお願いします。

三谷先生:スライドを作るときに、BLSやALSのポイントをミニマムにまとめるっていうところはすごく意識したんですけど、そうは言っても結局、現場でどんなミスがあるか、どんなことを誤解しやすいかといったところは本を読んでもわかりにくいかなと思っています。

本を読むだけで、数値や管理目標、処置方法とか学べることもあるんですけど、その一方で、結局現場でいろんな先輩たちが今まで経験したり、例えば「ちょっとうまくいかなかったこと」を学べたりするのが、こういう動画コンテンツとか、人のレクチャーのすごくいいところだと思います。

そういった意味で言うと、実際に僕自身が現場でよく聞く質問もたくさん盛り込みましたし、あとは、早期購入者特典にまとめた「BLSデモ 絶対やったらあかんやつ 編」は、結構コミカルに描かれているようで、本当に現場の院内急変で駆けつけると起きてるんですよね。全部起きてる「あるある」なので、これを見て、今まで経験をたくさん積まれている方も反面教師にするというか――こういう風に自分もなっていないかな?――と我が振りを直すきっかけにもなると思います。あとは後輩を教えるときに役に立つコンテンツだと思うので、いろんな人に見ていただけると嬉しいです。



編集室:ありがとうございます。ゆきえさんお願いします。

ゆきえ:心肺蘇生という言葉だけで、みんな苦手意識をもってしまうと思うんですが、三谷先生のわかりやすいスライドと、鳥ボーイさんの笑いの要素と、角野さんのイラストで、かわいらしく、わかりやすい素敵な動画に仕上がっていますので、新人さんだけじゃなく経験を積んだ方にも――こういう風にまとめたらわかりやすいんだなとか、参考にもなりますので――たくさんの方に引き続きご覧いただきたいなと思います。

編集室:ありがとうございます。最後に、鳥ボーイさんお願いします。

鳥ボーイ:皆さんがね、この研修の素晴らしさを伝えてくれたんで、僕からはもう一言だけです。「鳥ボーイのあのパペットが可愛い」という応援コメントだけ、どんどんいただければありがたいです(笑)

講師

三谷雄己
広島大学 救急集中治療医学/県立広島病院 整形外科
救急科専門医/救急医学会公認ICLSインストラクター/JATECインストラクター


ゆきえ
循環器内科・脳外専門病院の病棟看護師

鳥ボーイ
医療デバイス企業のクリニカル・コンサルタント、元ICU看護師、元芸人





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▼プログラム


1 心肺蘇生が必要かどうか、どう判断する…? (12分)
・まずは近づく前に…
・心肺停止の判断方法
・心肺停止の判断が遅れやすい要因
・【質問】心肺停止の判断に悩んだらどうしたらいい…?
・【質問】反応を確認、反応があったらどうする…?

2 心肺蘇生のキホン BLSとは…? (10分)
・BLSの実際の流れを確認しよう
・効果的な胸骨圧迫を身につけよう
・心肺停止遭遇! AEDを正しく使えますか?
・【質問】AEDを使うとき、こんなときはどうしたらいい…?

3 心肺蘇生のキホン ALSとは…? (16分)
・ALSの実際の流れを確認しよう
・心電図波形に応じたアルゴリズムの理解が何よりも重要です!
・ALSで要求されるBLS+αの知識 ~気道管理、除細動
・【質問】BVM換気がとても苦手です…コツはありますか…?

4 心停止の原因検索と心拍再開後の対応は…? (13分)
・PEAの原因を検索する
・ALSで要求されるBLS+αの知識 ~輸液・薬剤
・自己心拍再開(ROSC)後の対応はどうする?
・【質問】チームでうまくコミュニケーションが取れないです…

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