コロナ禍でよく耳にするようになった「心理的安全性」――今やチーム運営には欠かせない考えかたです。
心理的安全性がどうして注目されているのか? 心理的安全性があれば職場・現場がどう変わるのか? 心理的安全性を生み育てていくにはどうすればいいのか?
チームリーダーとして、医療現場で「心理的安全性」をどのようにとらえ、育ててきたか、眼科医で経営学をご専門とされている田淵仁志 先生を講師におむかえし、このたび、WEB講義『うまくいくチーム最高の秘密 心理的安全性の高めかた』をリリースいたします。
講師の田淵仁志 先生(広島大学医療のためのテクノロジーとデザインシンキング寄付講座教授/社会医療法人三栄会ツカザキ病院眼科主任部長)にこの動画に込めた“思い”について語っていただきました。

――昨今(コロナ禍)でよく耳にするようになった「心理的安全性」ですが、今やチーム運営には欠かせない考えかたと思います。 まずは「心理的安全性」とは、どういったものでしょうか? また、「心理的安全が高まれば」チームはどういった状態になりますか?

「心理的安全性」とは女性経営学者であるエイミー・C・エドモンドソン博士が提唱する経営心理学用語で、誰からも責められることなくお互いの考えを躊躇することなく交換し合える職場環境のことです。

心理的安全性が高い職場環境の場合、ミスが生じたときに犯人捜しではなく要因捜しを行えるようになります。実際に起きたミスを当事者たちが堂々と認め、それをみんなで分析し改善策を職種や上下関係に関係なく自由に提案しトライアンドエラーに持ち込めるようになります。ミスが起きない職場などどこにも無いわけですから、心理的安全な職場はミスが生じる度にチームが成長し、成果がどんどん積みあがるようになっていきます。

――リーダーは叱ってはいけない(一方、真面目なリーダーほど叱りたくなる)。リーダーにとってはかなり我慢を強いられると感じたのですが……現場で実践していくポイントは?

リーダーもメンバーと同様に、ある視点から見ると「叱られる」立場だということをまず自覚しているかが重要です。リーダーはチームの成果について責任を問われて、職場環境によっては「叱られる」ことがあるわけです。そのときに、心理的安全環境がよいのか、逆の心理的危険環境がよいのか、つまり、自分の力がどちらの環境下で発揮できるかについて“自問自答すること”が大切です。
誰からも責められることなく、ただただ成果について合理的な分析を行い、みんなでアイデアを出し合い、成果を高めていくという環境がよいに決まっているわけです。

――春になると新入職スタッフが入ってきます。離職対策は医療・看護現場でも大きな課題かと思いますが、その点について「心理的安全性」との関連はどうでしょう?

リーダーは経営者と異なり、給料を決めるのが仕事ではありません。ただ、メンバー、特に新人については職業人としてのキャリア形成の機会を与え、実際にキャリアパスの階段を着実に上がらせていく責務があります。
内的欲求と呼ばれる自発的なキャリア形成に結びつけるところが非常に重要ですので、「ミスを責める」ことに象徴される心理的危険な環境は、モチベーション啓発の視点からもメリットがないことが理解できると思います。
メンバー自身からキャリア形成の意欲が出てくるように、どのような発言も遮らない、否定しない、という心理的安全環境は基本的な職場環境だと言えるのです。

――田淵先生のこの動画を見ると、スタッフとしては「心理的安全性」が整ったところで働きたいと感じるかと思います。「心理的安全性」をチェックするポイントがあれば教えてください。

組織は結局のところリーダーの雰囲気で決まるという部分も現実としてあります。
リーダーと話をして、「何がしたいですか?」「どのような将来像を描いていますか?」「どんなアイデアがありますか?」などの問いかけをしてくれるリーダーはおそらく心理的安全環境を形成するタイプだと思われます。
もうひとつはフラットな関係性を感じることができるかも重要です。こわもての性格の人はどこにでもいるものですが、ちゃんとその人を“既読スルー”できているか、ということも注意点かもです。軍隊的な雰囲気は要注意ですね。

――最後に受講者へメッセージをお願いします!

チーム運営・経営の鉄則は、若いメンバーの活躍をいかに引き出すかにあります。元気で、やる気もあって、思いやりもある、純粋でいつも患者さんのことを考えている。それが若い医療従事者の皆さんの特徴だと思います。そんな素晴らしい医療従事者の皆さんを活かすも殺すもリーダー次第です。
自分自身も心理的安全環境に置くのだという視点を持って、誰も責めることなくチームとして改善していく心理的安全な職場環境をぜひ形成していってください。

田淵仁志
広島大学医療のためのテクノロジーとデザインシンキング寄付講座教授/社会医療法人三栄会ツカザキ病院眼科主任部長
大阪市立大学医学部卒。同大学院で大脳視覚生理学、とくに視覚情報処理を研究。眼科臨床データベースを自主開発し、数多くの英語論文、人工知能の眼科応用アプリケーションを生み出した。名古屋商科大学経営学修士号取得。最近読んだ本でオススメは『多様性の科学』マシュー・サイド、『恐れのない組織』エイミー・C・エドモンドソン著。





うまくいくチームの最高の秘密 心理的安全性の高めかた
リーダーに求められる姿勢とチーム・スタッフが知っておきたいこと

▼プログラム 【収録時間:約100分】
CHAPTER 1:「バカにされないだろうか」「叱られないだろうか」という不安が払拭された環境 ~心理的安全性とは~
・良い成果をあげているチームの特徴は?
・心理的安全性とは?
・良い病院はミスが多い?

CHAPTER 2:リーダーは怒ってはいけない!?
・病院業務に必要な能力は?
・「自分の頭で考える」ということ
・成果とは“真逆のマネジメント”をしていませんか?

CHAPTER 3:わかっていても、自分が思いたいようにしか思えない ~認知バイアスとは~
・認知バイアスの落とし穴
・「バイアスの盲点」を意識してバイアスを理解する

CHAPTER 4:自分も新人の時期があり、また将来くだり坂を迎える ~ライフサイクル理論とは~
・「論理的に接する」ことが急成長につながる
・人材育成がいかにチームの成長の源になるか?

CHAPTER 5:全員が優秀なチームなんて存在しない ~ABC理論とは~
・私が一番働いている。どうしてあの人は働かないの?
・そもそもチームとはそんなもの?

CHAPTER 6:“チームの目的”と“心理的安全性”
・心理的安全が学習する人材に育てる


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