▼バックナンバーを読む
医療現場で当たり前に使っているカタカナやアルファベットの業界用語、「多分英語だからそのままでも外国人患者さんに通じるかも!」と思っていませんか?
じつは、医療現場は通じないカタカナ英語や英語以外の外来語、おかしな造語が飛び交っています。
そんな業界用語に注目し、外国人患者さんに通じる正しい英語の発音やそのポイント、現場で困ったときに使えるフレーズを紹介します。
本日のカタカナ英語:アテレク
「アテレク所見あります」
看護師さんなら「アテレク=無気肺」という意味で使ったことや聞いたことがあるのではないでしょうか。
無気肺は、肺の一部もしくは全体に空気が入っておらず、つぶれた状態をいいます。
「アテレク」はカタカナだし、そのままでも通じる英語なのでは、とみなさんは思っていませんか?
「アテレク」は、英語で「無気肺」を意味する「atelectasis(アテレクタスィス)」の略語です。
「atelectasis」はギリシャ語が由来です。
「ateles-」は「incomplete(不完全)」、「-ektasis」は「expansion(拡大)」という意味があります。
英語から取った略語ですが、英語圏の医療現場で「アテレク」は通じません。
略語は使用せず、そのまま「atelectasis」を使います。
患者さんに無気肺を説明するときには、肺がつぶれていることを指す「collapsed lung」を使います。
「collapsed」は「つぶれた」という意味です。
ちなみに、「collapsed lung」は気胸にも使います。
「気胸」は、何らかの原因によって肺から空気が漏れて、肺がしぼんでしまう病気です。
タイヤのパンクを想像するとイメージしやすいと思います。
「気胸」は英語で「pneumothorax」です。
「pneumothorax」もギリシャ語が由来です。
「pheumo-」は「air(空気)」、「-thorax」は「chest(胸)」という意味があります。
どちらも「collapsed lung」ですが、言葉の由来が異なるのでまったく違う2つの医療英語になります。
Getting out of bed and early walking after surgery is an effective way to prevent collapsed lung.
(術後の早期離床は無気肺を予防する効果があります)
30歳を過ぎてからアメリカで看護師をめざした私は、偉人たちの言葉や名言に何度も背中を押してもらい、一歩ずつ前に進む勇気をもらいました。
人はみな、多かれ少なかれ何かに悩んでいます。
そんなときに立ち止まってほしい言葉を紹介します。
今日の言葉は、留学中行きつけだったコーヒーショップに飾られていたポスターのフレーズです。
「a bad day」は「悪い日=ついてない日」という意味です。
直訳すると、「コーヒーがあるついてない日は、ついてるけどコーヒーがない日よりマシ」です。
なんとなく意味が伝わるかもしれませんが、心には響きませんよね。
これを意訳すると、「ついてない日でもさ、コーヒーがあればいい日になるって」くらいでしょうか。
“嫌なことあってついてなくてもコーヒー飲んでひと息つこう”というニュアンスが伝わればOKだと思います。
アメリカ留学中は、ロサンゼルス近郊の語学学校に通っていました。
学校のまわりにはStarbucks Coffee、Peet's Coffee、The Coffee Bean and The Leafなどのコーヒーチェーン店があり、毎朝立ち寄ってほっとひと息つくのが日課でした。
聞こえてくる店員さんとお客さんの会話に耳を傾け、生きた英語で耳を慣らす充実した時間でした。
何をおしゃべりしているのかわからなくても、なんとなく雰囲気で「仕事うまくいってないんだ……」とか「彼氏とケンカしたんだ……」など伝わってきました。
留学生にとって、コーヒーショップで朝の一杯は贅沢品。
でも、出勤前にくつろいでいるアメリカ人のなかでコーヒーを飲んでいると、アメリカの生活に溶け込んでいるような気がして、つらい日でも心が満たされました。
私は、自分の体験から「coffee」がぴったりきますが、「coffee」の部分は、なんにでも置き換え可能です。
自分の好きなものに置き換えて、みなさんオリジナルのフレーズをつくってみるのはいかがでしょうか?
------------------------------------------
佐藤まりこ
生まれも育ちも北海道。しかし、寒いのが苦手で大学卒業とともに上京し大学病院に勤務。さらなる暖かさを求めて2009年、米国・ロサンゼルスに留学。2010年、California RN(Registered Nurse) Licenseを取得するが就職先が見つからず無念の帰国。2012年、駐在妻として米国・オレンジカウンティーにカムバック。2013年、Refresher/Reenter-Update Education Programで総合病院の急性期病棟実習を修了。その後、念願のRNとして内視鏡センターに勤務し充実した日々を送るが、2016年、夫が日本に帰りたいと言い出しふたたび無念の帰国。帰国後は、子育てに奮闘しながらも幸せな田舎暮らしを謳歌し大学病院に勤務中。
幸せな時間は、「川の字で寝る休日のお昼寝」。