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医療現場で当たり前に使っているカタカナやアルファベットの業界用語、「多分英語だからそのままでも外国人患者さんに通じるかも!」と思っていませんか?
じつは、医療現場は通じないカタカナ英語や英語以外の外来語、おかしな造語が飛び交っています。
そんな業界用語に注目し、外国人患者さんに通じる正しい英語の発音やそのポイント、現場で困ったときに使えるフレーズを紹介します。

本日のカタカナ英語:ターゲス

「102号室の患者さん今日ターゲスあります」
看護師さんなら「ターゲス=血糖の日内変動をみる検査」という意味で使ったことや聞いたことがあるのではないでしょうか。
朝食前・朝食後2時間・昼食前・昼食後2時間・夕食前・夕食後2時間・夜中の7回血糖値を測定して血糖値の変動を見ます。

「ターゲス」はカタカナだし、そのままでも通じる英語なのでは、とみなさんは思っていませんか?

「ターゲス」は、ドイツ語で「1日の」を意味する「tages」が由来です。
「tag」はドイツ語で「1日」という意味です。
ちなみに、ドイツ語で「こんにちは」は「Guten Tag(グーテン・ターク)」です。

「ターゲス」は、英語で「7-point SMBG profile」「7-point glucose testing」「7-point blood glucose monitoring(BGM)」などと呼ばれています。
「SMBG」は、「Self-Monitoring Blood Glucose」の頭文字をとった略語です。
「SMBG」は、外来や病棟でよく使っている血糖測定器を指しています。

血糖値の測定が4回の場合は「4-point SMBG」、6回の場合は「6-point SMBG」です。

さて、医療の進歩は日進月歩と言われています。
血糖測定も例外ではなく、Needle-freeの時代に突入しています。
例えば、日本でも紹介されている「Freestyle Libre(FreeStyleリブレ)」は、センサーパッチ(心電図の電極に似ています)を腕にペタッと貼りリーダーをかざすだけで血糖値が測れます。センサーの内側には小さな針が付いており14日間測定可能です。しかも、自動的に記録し日内変動がグラフ化され、アプリを登録すればレポート作成や医師との共有が可能です。

テクノロジーの進化って、どんどん医療現場の常識と行動を変えていきますよね。数年後、どんな現場でどんな働き方が主流になっているのか楽しみです。

•You have a 7-point glucose test tomorrow. Your nurse will come to check your blood sugar before breakfast.
(あした血糖測定が7回あります。朝食前に看護師が来て血糖を測ります)





30歳を過ぎてからアメリカで看護師をめざした私は、偉人たちの言葉や名言に何度も背中を押してもらい、一歩ずつ前に進む勇気をもらいました。
人はみな、多かれ少なかれ何かに悩んでいます。
そんなときに立ち止まってほしい言葉を紹介します。


シェイクスピアに次ぐ巨匠として知られるアイルランド出身の劇作家「ジョージ・バーナード・ショー(George Bernard Shaw)」の言葉です。
1925年にノーベル文学賞を受賞、あのオードリー・ヘップバーンが主演した映画「マイ・フェア・レディ」の原作者としても有名です。

彼は数多くの作品と名言を残していますが、なかでも私が刺激を受けたのが今日の言葉です。
彼の言葉に出会ったのは、ちょうど「自分探しの旅」が流行っていた時代です。
私は、この「自分探し」という言葉に違和感がありました。
「自分探し」って、自分がどこかにあること前提ですよね。1つひとつの経験から積み上げていくものが「自分」だとしたら、さも完成形がどこかにあるような考え方は、けっこう図々しいと思ったのです。
そんなモヤモヤした気持ちをスカッと晴らしてくれたのが、今日の言葉です。

私が「自分探し」に厳しい見解を持っているのは、理由があります。
プーケットに滞在していたとき、自分探し真っ最中の男女によく遭遇しました。そんな彼らが異国の解放感から酒を飲み大麻を吸ってバカ騒ぎする光景を今でも覚えています。
「観光」と言っていたら何も思わなかったのですが、彼らが口にしたのは「自分探し」で、なかには仕事を辞めてきたという若者もいました。

「自分探し」は、行動を起こすきっかけにすぎません。
その行動によって、五感で感じたものすべてが自分を創る材料になります。だから、一部の人は「自分が見つかった」と錯覚を起こすのかもしれません。
自分探しで何も見つからなかったと感じる人は、ただ五感で感じることが少なかっただけなので、落ち込む必要はありません。

「自分を探す」ではなく「自分を創る」に考え方をシフトチェンジして旅行に行かれることを、私はおすすめします。

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佐藤まりこ
生まれも育ちも北海道。しかし、寒いのが苦手で大学卒業とともに上京し大学病院に勤務。さらなる暖かさを求めて2009年、米国・ロサンゼルスに留学。2010年、California RN(Registered Nurse) Licenseを取得するが就職先が見つからず無念の帰国。2012年、駐在妻として米国・オレンジカウンティーにカムバック。2013年、Refresher/Reenter-Update Education Programで総合病院の急性期病棟実習を修了。その後、念願のRNとして内視鏡センターに勤務し充実した日々を送るが、2016年、夫が日本に帰りたいと言い出しふたたび無念の帰国。帰国後は、子育てに奮闘しながらも幸せな田舎暮らしを謳歌し大学病院に勤務中。
幸せな時間は、「川の字で寝る休日のお昼寝」。