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医療現場で当たり前に使っているカタカナやアルファベットの業界用語、「多分英語だからそのままでも外国人患者さんに通じるかも!」と思っていませんか?
じつは、医療現場は通じないカタカナ英語や英語以外の外来語、おかしな造語が飛び交っています。
そんな業界用語に注目し、外国人患者さんに通じる正しい英語の発音やそのポイント、現場で困ったときに使えるフレーズを紹介します。

本日のカタカナ英語:ガーレ

「ガーレ様の排液出ています」「血性からガーレ様の排液に移行しています」
看護師さんなら「ガーレ=胆汁色」という意味で使ったことや聞いたことがあるのではないでしょうか。
胆汁色とは、透明な茶褐色~黄金色です。時間がたつと酸化して緑色になります。
胆管閉塞や細菌感染が起こると胆汁は混濁した緑色となり、前回紹介した膿性になると白っぽい粘液性になります。

「ガーレ」はカタカナだし、そのままでも通じる英語なのでは、とみなさんは思っていませんか?

「ガーレ」は、ドイツ語で「胆汁」を意味する「Galle」が由来です。

「ガーレ」は、英語で「bile」です。
最初の「バ」にアクセントを置いて「バァイル(báil)」が英語に近い発音です。
ちなみに、肝臓で作られた胆汁をためておく胆のうは「gallbladder」、胆汁の通り道である胆管は「bile duct」です。
正常な胆汁色は、通常「yellow(黄色)」「yellowish-brown(黄茶色)」「brown(茶色)」「yellowish-green(黄色がかった緑色)」「greenish-yellow(緑がかった黄色)」などと表現されます。緑色っぽくみえても、透明であれば酸化しただけなので問題はありません。

さて、色の表現はお国柄がよく表れるものです。
例えば、
「yellowish-brown(黄茶色)」は「mustard(マスタード)」
「yellowish-green(黄緑色)」は「avocado green(アボカド)」
「dark green(深緑色)」は「spinach green(ほうれん草)」

どれも日本ではあまり使われない色の表現ですよね。
日本の色彩表現も、海外の方からすると大変興味深いものかもしれませんね。

•Bile is the yellowish-green liquid made by the liver and stored in the gallbladder.
(胆汁は黄緑色の液体で、肝臓で作られ胆嚢に貯蔵されます)





30歳を過ぎてからアメリカで看護師をめざした私は、偉人たちの言葉や名言に何度も背中を押してもらい、一歩ずつ前に進む勇気をもらいました。
人はみな、多かれ少なかれ何かに悩んでいます。
そんなときに立ち止まってほしい言葉を紹介します。


前回紹介した100 Days of Rejection Therapyの生みの親「ジア・ジアン(Jia Jiang)」の言葉です。彼の著書『拒絶される恐怖を克服するための100日計画』では、100日間拒絶され続ける実験から得られた教訓が書かれています。
みなさんは「多分断られるからやめておこう」「たぶん迷惑だから言わないでおこう」と、言いたいことを言わずに我慢した経験はありませんか? 協調性を重んじ自己主張を控える日本の社会ではありふれた光景かもしれません。しかし、アメリカに留学してこの考えによって自分が大損していることに気づきました。
アメリカ人は、良くも悪くも自己主張がはっきりしています。自分の主張が通るまでどかない、電話は切らない、空気は読まない、など粘り勝ちに勝利する人たちを私は何度も見てきました。そこまでする必要はありませんが、「自分で無理と決めない」「自分から逃げない」という姿勢は学ぶに値します。

そして、Jia Jiangは拒絶される経験のなかで発見した、相手の「NO」を「YES」に変える魔法の言葉を伝授してくれています。それが、マジックワード「WHY」です。
「NO」と言われても「Do I know why?(どうしてダメなんですか)」と理由を聞きます。
この言葉が、次のチャンスにつながるというのです。

日本のことわざ「転んでもただでは起きない」という言葉にすこし似ていませんか?
私はこの“転んでもただでは起きない精神”で、断られたらなるべく理由を聞くようにしています。はじめは抵抗がありますが、だんだん楽しくなります。

人が断るときは、人間性が出ますからね。
断り方が上手な人は、言葉の選び方が洗練されており勉強になります。
断り方が威圧的な人は、今後の対応を考え直すいい機会になります。
みなさんもよかったらはじめてみませんか?
自分でチャンスを放棄せず、頼んでなんぼです。
断られたら「Do I know why?」です。

怖れることはありません。だって、取って食われることはありませんからね。

それよりも、マジックワードが運んできてくれる意外なプレゼントを楽しみにしてみませんか?

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佐藤まりこ
生まれも育ちも北海道。しかし、寒いのが苦手で大学卒業とともに上京し大学病院に勤務。さらなる暖かさを求めて2009年、米国・ロサンゼルスに留学。2010年、California RN(Registered Nurse) Licenseを取得するが就職先が見つからず無念の帰国。2012年、駐在妻として米国・オレンジカウンティーにカムバック。2013年、Refresher/Reenter-Update Education Programで総合病院の急性期病棟実習を修了。その後、念願のRNとして内視鏡センターに勤務し充実した日々を送るが、2016年、夫が日本に帰りたいと言い出しふたたび無念の帰国。帰国後は、子育てに奮闘しながらも幸せな田舎暮らしを謳歌し大学病院に勤務中。
幸せな時間は、「川の字で寝る休日のお昼寝」。