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医療現場で当たり前に使っているカタカナやアルファベットの業界用語、「多分英語だからそのままでも外国人患者さんに通じるかも!」と思っていませんか?
じつは、医療現場は通じないカタカナ英語や英語以外の外来語、おかしな造語が飛び交っています。
そんな業界用語に注目し、外国人患者さんに通じる正しい英語の発音やそのポイント、現場で困ったときに使えるフレーズを紹介します。

本日のカタカナ英語:ゼプ/ゼプシス

「ゼプったらしいよ」「ゼプシスだって」
看護師さんなら「ゼプ/ゼプシス=敗血症」という意味で使ったことや聞いたことがあるのではないでしょうか。
「敗血症」は、定義や診断基準の変遷を経て2016年から「感染に対する制御不能な宿主反応に起因した生命を脅かす臓器障害」となりました。
なんともイメージしづらい定義ですよね……。
ザックリいうと、「感染症の反応でかなり重症」です。

「ゼプ/ゼプシス」はカタカナだし、そのままでも通じる英語なのでは、とみなさんは思っていませんか?

「ゼプシス」は、英語で敗血症を意味する「sepsis」のドイツ語読みなので、英語としては通じません。通じる英語にするには、頭文字の濁音「ゼ」を「セ」にして、「セプスィス」が英語に近い発音です。

みなさん、なぜ「敗血症」に「敗(れる)」という漢字が含まれているか疑問に思ったことはありませんか?
漢字だけを見ると、赤血球や白血球などの血球が、何かに敗れて減ってしまう血液疾患なのかと誤解を招きそうですよね。
「sepsis」の語源を調べると、ヒントがみえてきます。
「sepsis」の語源は、ギリシア語で崩壊や腐敗を意味する「septikos」です。
敗血症の「敗」は、この語源からきています。
「なぜだろう?」と疑問に思う病名や医療用語の歴史を調べると、かなりの確率でヒポクラテスの時代までさかのぼる歴史の旅がはじまりますよ。

•Most sepsis is caused by bacterial or viral infections including COVID-19.
(細菌や新型コロナなどのウイルス感染症が敗血症の原因です)





30歳を過ぎてからアメリカで看護師をめざした私は、偉人たちの言葉や名言に何度も背中を押してもらい、一歩ずつ前に進む勇気をもらいました。
人はみな、多かれ少なかれ何かに悩んでいます。
そんなときに立ち止まってほしい言葉を紹介します。


アメリカの作家、ロイ・T・ベネット(Roy T. Bennett)の言葉です。
2005年にスティーブ・ジョブズがスタンフォード大学の卒業式で行ったスピーチの一節によく似ていますが、よりわかりやすくシンプルにまとめられています。

「follow your heart」は、直訳すると「自分の心に従え」です。
歌詞やスピーチなどにも頻繁に使われるフレーズです。

次の「listen to your inner voice」は、「follow your heart」とセットでよく使われます。
「inner voice(内なる声)」 は「intuition(直感)」に置き換わることもありますが、どちらも自分を信じて心の声や直感に従い行動することを説いています。

自分の心の声や直感を邪魔するものは、他人の声です。
20代・30代は、経験や自信のなさから「やめておいたほうがいいよ」「そんなの無理だって」など他人の言葉に惑わされることが多いでしょう。

しかし、40代になるとちょっと状況が変わってきます。
他人の声よりも自分の内なる声が「大丈夫?」「やめといたら?」とささやいてくるのです。

最近は、そんな自分を奮い立たせるために、「40代をあきらめて生きるな」(永松茂久著)など40代をキーワードにした本を漁り始めました。
20代のときに背中を押してくれた言葉が、20年後にまた40代の自分の背中を押してくれています。
そして、私はいつか自分の子どもにもこのフレーズを伝えていくでしょう。
こうして素敵な言葉は、世代を超えて語り継がれるんだなぁと実感しています。

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佐藤まりこ
生まれも育ちも北海道。しかし、寒いのが苦手で大学卒業とともに上京し大学病院に勤務。さらなる暖かさを求めて2009年、米国・ロサンゼルスに留学。2010年、California RN(Registered Nurse) Licenseを取得するが就職先が見つからず無念の帰国。2012年、駐在妻として米国・オレンジカウンティーにカムバック。2013年、Refresher/Reenter-Update Education Programで総合病院の急性期病棟実習を修了。その後、念願のRNとして内視鏡センターに勤務し充実した日々を送るが、2016年、夫が日本に帰りたいと言い出しふたたび無念の帰国。帰国後は、子育てに奮闘しながらも幸せな田舎暮らしを謳歌し大学病院に勤務中。
幸せな時間は、「川の字で寝る休日のお昼寝」。